209 / 535
7.岐路の章_14
しおりを挟む
一縷の望み(美味しそうな中身)を賭け、恐々レーションの缶詰を開けるマリア。
「…………」
しかし中身は予想通りと言うか、半液体状の、一言で言えば流動食。
げんなりするマリアの一方、ジゼは中身を見るなり、
「ねぇヤマト、これならアレが出来るんじゃない?」
「ん? あぁ~エマ母さんに教えてもらったアレかぁ。クルミもあるし、出来るかもなぁ」
二人は頷き合うと、
「マリア、ちょっとアリアナをお願い」
ジゼは膝の上でお昼寝中のアリアナをマリアに託し、
「じゃあ、ヤマト。始めよぅっか」
「おぅ!」
二人は手始めに、誤使用を防ぐ為にカラフルキノコを破棄。
「あぁ、俺のキノコさんがぁ……」
悲嘆に暮れるジャックを尻目に、それ以外の食材を使った調理を始めた。
上向きに広げた両掌の上に、青いフィールドを小さく展開するヤマト。
ジゼの目の前に、皿の様に差し出すと、ジゼは食材をヤマトのフィールドの上に乗せ、自身は青いフィールドを右手に展開。小さな直角三角形に形状を変化させ、ヤマトのフィールドの上に乗せた食材を切り始めた。
要するに「まな板」と「包丁」である。
「「…………」」
考えた事も無いフィールドの使い方に、呆気にとられるジャックとマリア。
ジゼは切った食材を皿代わりの大きな葉の上に移し替えると、フィールドの上が空になったヤマトは、次に右手だけフィールドの密度を薄く調整、色が透明に近い青に変わると、たき火の上に浮遊させ、採って来たクルミの実を殻ごと乾煎りし始めた。
今度はフライパン代わりである。
中まで火が通って乾煎りが終わると、クルミをジゼが左手に展開した皿代わりの小さなフィールドに乗せた。
右手にもフィールドを展開して、棒状に形状を変えるジゼ。
その棒で、左手のフィールドに乗るクルミを叩き割った。
こん棒代わりである。
あらかた割り終わると、右手のフィールドだけ消して実を取り出し、たき火の上に展開したままの、ヤマトのフィールドの上に乗せた。
弱火で、じっくりクルミを炒めるヤマト。
その間に、ジゼは左手のフィールドの上に、レーション、葉に乗せていた切った食材、ヤマトが採って来た木の実、缶詰パンから取り出したパンを乗せると、右手で粘り気が出るまでこねてタネを作り、再び皿代わりの大きな葉の上に置くと、手のひらサイズに人数分ちぎり分け、丸めて小判型に形を整えた。
ヤマトのフィールドの上のクルミからは油が出て、ヤマトはクルミを取り除くと、ジゼは小分けにして小判型に丸めたタネを、その油の上に置いた。
ジュウジュウと、小気味よい音を立てるタネ。
左手にドーム型のフィールドを展開するヤマトは、右手に乗せられたタネを覆う様に被せた。いわゆる蒸し焼きである。
火が中まで十分に通るのを待つ間、ジゼは左手にフィールドを展開して、ヤマトが炒めたクルミ、潰した果実などを混ぜ合わせて火にかけ、ソース作り。
二人が作っていたのは、ハンバーグである。
食欲をそそる香りが漂い始める中、一連の作業を呆れ顔で見つめていたジャックとマリアは、
「オメェ等(防御フィールドを)投げるだけでも変態的なのに……」
「何でもありですわねぇ……」
「「変態言うなぁ!」」
苦笑いでツッコミ返すヤマトとジゼ。
「…………」
しかし中身は予想通りと言うか、半液体状の、一言で言えば流動食。
げんなりするマリアの一方、ジゼは中身を見るなり、
「ねぇヤマト、これならアレが出来るんじゃない?」
「ん? あぁ~エマ母さんに教えてもらったアレかぁ。クルミもあるし、出来るかもなぁ」
二人は頷き合うと、
「マリア、ちょっとアリアナをお願い」
ジゼは膝の上でお昼寝中のアリアナをマリアに託し、
「じゃあ、ヤマト。始めよぅっか」
「おぅ!」
二人は手始めに、誤使用を防ぐ為にカラフルキノコを破棄。
「あぁ、俺のキノコさんがぁ……」
悲嘆に暮れるジャックを尻目に、それ以外の食材を使った調理を始めた。
上向きに広げた両掌の上に、青いフィールドを小さく展開するヤマト。
ジゼの目の前に、皿の様に差し出すと、ジゼは食材をヤマトのフィールドの上に乗せ、自身は青いフィールドを右手に展開。小さな直角三角形に形状を変化させ、ヤマトのフィールドの上に乗せた食材を切り始めた。
要するに「まな板」と「包丁」である。
「「…………」」
考えた事も無いフィールドの使い方に、呆気にとられるジャックとマリア。
ジゼは切った食材を皿代わりの大きな葉の上に移し替えると、フィールドの上が空になったヤマトは、次に右手だけフィールドの密度を薄く調整、色が透明に近い青に変わると、たき火の上に浮遊させ、採って来たクルミの実を殻ごと乾煎りし始めた。
今度はフライパン代わりである。
中まで火が通って乾煎りが終わると、クルミをジゼが左手に展開した皿代わりの小さなフィールドに乗せた。
右手にもフィールドを展開して、棒状に形状を変えるジゼ。
その棒で、左手のフィールドに乗るクルミを叩き割った。
こん棒代わりである。
あらかた割り終わると、右手のフィールドだけ消して実を取り出し、たき火の上に展開したままの、ヤマトのフィールドの上に乗せた。
弱火で、じっくりクルミを炒めるヤマト。
その間に、ジゼは左手のフィールドの上に、レーション、葉に乗せていた切った食材、ヤマトが採って来た木の実、缶詰パンから取り出したパンを乗せると、右手で粘り気が出るまでこねてタネを作り、再び皿代わりの大きな葉の上に置くと、手のひらサイズに人数分ちぎり分け、丸めて小判型に形を整えた。
ヤマトのフィールドの上のクルミからは油が出て、ヤマトはクルミを取り除くと、ジゼは小分けにして小判型に丸めたタネを、その油の上に置いた。
ジュウジュウと、小気味よい音を立てるタネ。
左手にドーム型のフィールドを展開するヤマトは、右手に乗せられたタネを覆う様に被せた。いわゆる蒸し焼きである。
火が中まで十分に通るのを待つ間、ジゼは左手にフィールドを展開して、ヤマトが炒めたクルミ、潰した果実などを混ぜ合わせて火にかけ、ソース作り。
二人が作っていたのは、ハンバーグである。
食欲をそそる香りが漂い始める中、一連の作業を呆れ顔で見つめていたジャックとマリアは、
「オメェ等(防御フィールドを)投げるだけでも変態的なのに……」
「何でもありですわねぇ……」
「「変態言うなぁ!」」
苦笑いでツッコミ返すヤマトとジゼ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる