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青木 森

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7.岐路の章_14

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 一縷の望み(美味しそうな中身)を賭け、恐々レーションの缶詰を開けるマリア。
「…………」
 しかし中身は予想通りと言うか、半液体状の、一言で言えば流動食。
 げんなりするマリアの一方、ジゼは中身を見るなり、
「ねぇヤマト、これならアレが出来るんじゃない?」
「ん? あぁ~エマ母さんに教えてもらったアレかぁ。クルミもあるし、出来るかもなぁ」
 二人は頷き合うと、
「マリア、ちょっとアリアナをお願い」
 ジゼは膝の上でお昼寝中のアリアナをマリアに託し、
「じゃあ、ヤマト。始めよぅっか」
「おぅ!」
 二人は手始めに、誤使用を防ぐ為にカラフルキノコを破棄。
「あぁ、俺のキノコさんがぁ……」
 悲嘆に暮れるジャックを尻目に、それ以外の食材を使った調理を始めた。
 上向きに広げた両掌の上に、青いフィールドを小さく展開するヤマト。
 ジゼの目の前に、皿の様に差し出すと、ジゼは食材をヤマトのフィールドの上に乗せ、自身は青いフィールドを右手に展開。小さな直角三角形に形状を変化させ、ヤマトのフィールドの上に乗せた食材を切り始めた。
 要するに「まな板」と「包丁」である。
「「…………」」
 考えた事も無いフィールドの使い方に、呆気にとられるジャックとマリア。
 ジゼは切った食材を皿代わりの大きな葉の上に移し替えると、フィールドの上が空になったヤマトは、次に右手だけフィールドの密度を薄く調整、色が透明に近い青に変わると、たき火の上に浮遊させ、採って来たクルミの実を殻ごと乾煎りし始めた。
 今度はフライパン代わりである。
 中まで火が通って乾煎りが終わると、クルミをジゼが左手に展開した皿代わりの小さなフィールドに乗せた。
 右手にもフィールドを展開して、棒状に形状を変えるジゼ。
 その棒で、左手のフィールドに乗るクルミを叩き割った。
 こん棒代わりである。
 あらかた割り終わると、右手のフィールドだけ消して実を取り出し、たき火の上に展開したままの、ヤマトのフィールドの上に乗せた。
 弱火で、じっくりクルミを炒めるヤマト。
 その間に、ジゼは左手のフィールドの上に、レーション、葉に乗せていた切った食材、ヤマトが採って来た木の実、缶詰パンから取り出したパンを乗せると、右手で粘り気が出るまでこねてタネを作り、再び皿代わりの大きな葉の上に置くと、手のひらサイズに人数分ちぎり分け、丸めて小判型に形を整えた。
 ヤマトのフィールドの上のクルミからは油が出て、ヤマトはクルミを取り除くと、ジゼは小分けにして小判型に丸めたタネを、その油の上に置いた。
 ジュウジュウと、小気味よい音を立てるタネ。
 左手にドーム型のフィールドを展開するヤマトは、右手に乗せられたタネを覆う様に被せた。いわゆる蒸し焼きである。
 火が中まで十分に通るのを待つ間、ジゼは左手にフィールドを展開して、ヤマトが炒めたクルミ、潰した果実などを混ぜ合わせて火にかけ、ソース作り。
 二人が作っていたのは、ハンバーグである。
 食欲をそそる香りが漂い始める中、一連の作業を呆れ顔で見つめていたジャックとマリアは、
「オメェ等(防御フィールドを)投げるだけでも変態的なのに……」
「何でもありですわねぇ……」
「「変態言うなぁ!」」
 苦笑いでツッコミ返すヤマトとジゼ。

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