208 / 535
7.岐路の章_13
しおりを挟む
だいたい一時間後―――
帰って来た男子二人を前に、呆れ顔の女子二人。
アリアナは未だジゼの膝の上でお昼寝中。
男子二人が取って来たのは色とりどりなキノコの山と、クルミや小さな果実など。
あれ程の大口を叩き合っておきながら、肉や魚の気配は毛ほども無かった。
バツが悪そうな顔して視線を逸らす男二人は、
「しぃ、仕方ないだろう! 川が無かったんだから!」
「お、おぅよ! 獣もよぅ、ケの字もねぇんだ! ねぇモノは獲りようねぇだろうがぁ!」
マリアはため息を吐き、
「まぁ、木の実を採って来たヤマトは良いとして……ジャック……何ですの、このカラフルな(皮肉)キノコの山はぁ……」
しかしジャックは、
「うまそうだろ!」
何処からくる自信なのか、満面の笑み。
「論外ですわぁ」
「何でだよ!」
憤慨するジャックに、ヤマトは集めて来た努力は認めつつ、
「ジャック……百歩譲ってこん中に食った事のあるキノコがあったとしても、キノコは食えるヤツとそっくりな見た目をした、毒を持ってるヤツもあるんだ。そんな危ない物を、アリアナに食べさせる訳には、」
「何言ってやがるヤマトォ! キノコは串刺して焼けや、みんな食えんだろうが! キノコさんに謝りやがれ!」
「キノコさんて……いやいや、それより何言ってんだ? 命に関わる猛毒を持ってるヤツだってあるんだぞ」
「んなモン最初はちょっと腹イテェかも知んねぇが! スグにナノマシンで分解されんだろうが!」
「「………」」
絶句するヤマトとジゼ。
マリアも呆れ顔で頭を抱え、
「そんなモノを食していたから、頭のネジが外れてしまいましたのねぇ……」
「ケンカ売ってんのかぁ、死神ィ!」
ヤンキーばりのイキ顔を向けるジャックに、大きなため息を吐くと、
「?」
ふと、ジゼの視線が気に留まった。
それは、本当にジゼがそう思っていたか定かではないが、マリアの目には、
『うちのヤマトは食べられる物を採って来たけど、プププぅ~、貴方のところのジャックさんは、そんなモノしか採って来れないんだぁ~』
小馬鹿に、そう言っているように映った。
しかしどうあがいても今回の「カレシ自慢対決」はマリアの敗け。
(クッ!)
マリアは悔し気に、
「ジャック!」
「お、おぅ?」
「次こそは、お願いしますわよ!」
「お、おぅよ……?」
(あんで俺よりキレてんだ?)
意味は理解出来なかったが、マリアの気迫に押され一先ず頷くジャック。
乙女の機微が分からない男子二人は、不思議そうな顔を見合わせた。
帰って来た男子二人を前に、呆れ顔の女子二人。
アリアナは未だジゼの膝の上でお昼寝中。
男子二人が取って来たのは色とりどりなキノコの山と、クルミや小さな果実など。
あれ程の大口を叩き合っておきながら、肉や魚の気配は毛ほども無かった。
バツが悪そうな顔して視線を逸らす男二人は、
「しぃ、仕方ないだろう! 川が無かったんだから!」
「お、おぅよ! 獣もよぅ、ケの字もねぇんだ! ねぇモノは獲りようねぇだろうがぁ!」
マリアはため息を吐き、
「まぁ、木の実を採って来たヤマトは良いとして……ジャック……何ですの、このカラフルな(皮肉)キノコの山はぁ……」
しかしジャックは、
「うまそうだろ!」
何処からくる自信なのか、満面の笑み。
「論外ですわぁ」
「何でだよ!」
憤慨するジャックに、ヤマトは集めて来た努力は認めつつ、
「ジャック……百歩譲ってこん中に食った事のあるキノコがあったとしても、キノコは食えるヤツとそっくりな見た目をした、毒を持ってるヤツもあるんだ。そんな危ない物を、アリアナに食べさせる訳には、」
「何言ってやがるヤマトォ! キノコは串刺して焼けや、みんな食えんだろうが! キノコさんに謝りやがれ!」
「キノコさんて……いやいや、それより何言ってんだ? 命に関わる猛毒を持ってるヤツだってあるんだぞ」
「んなモン最初はちょっと腹イテェかも知んねぇが! スグにナノマシンで分解されんだろうが!」
「「………」」
絶句するヤマトとジゼ。
マリアも呆れ顔で頭を抱え、
「そんなモノを食していたから、頭のネジが外れてしまいましたのねぇ……」
「ケンカ売ってんのかぁ、死神ィ!」
ヤンキーばりのイキ顔を向けるジャックに、大きなため息を吐くと、
「?」
ふと、ジゼの視線が気に留まった。
それは、本当にジゼがそう思っていたか定かではないが、マリアの目には、
『うちのヤマトは食べられる物を採って来たけど、プププぅ~、貴方のところのジャックさんは、そんなモノしか採って来れないんだぁ~』
小馬鹿に、そう言っているように映った。
しかしどうあがいても今回の「カレシ自慢対決」はマリアの敗け。
(クッ!)
マリアは悔し気に、
「ジャック!」
「お、おぅ?」
「次こそは、お願いしますわよ!」
「お、おぅよ……?」
(あんで俺よりキレてんだ?)
意味は理解出来なかったが、マリアの気迫に押され一先ず頷くジャック。
乙女の機微が分からない男子二人は、不思議そうな顔を見合わせた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる