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青木 森

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7.岐路の章_10

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 数分後―――
 黒煙を上げる大騒ぎの基地を背に、車を走らせるヤマト。
「だらしないですわぁ~。大口叩いて、結局収穫は「ゼロ」ですのぉ?」
 後部座席で、長い髪をたなびかせて皮肉るマリアに、
「あはははは……耳が痛い」
 申し訳なさげに半笑いでハンドルを握るヤマトと、
「うっっせぇ。文句なら、先に騒ぎを起こしやがった、どっかの馬鹿どもに言えや!」
 不愉快そうにソッポを向くジャック。
 助手席で困惑笑いを浮かべるジゼは、膝の上にちょこんと座る、何も思う所がない様な無表情で前を向くアリアナに、
「ねぇ、アリアナちゃん」
「?」
「何か覚えているモノはない? 川とかぁ」
 しかしアリアナは、無言で、フルフルと首を横に振った。
「困りましたわねぇ」
 マリアが困り顔して眉間にシワを寄せると、ジャックがソッポを向いたまま、
「どうせ近くに、他の基地があんだろぉが」
「お馬鹿の一つ覚えですのぉ? また騒ぎを起こして、」
「ちげぇよ!」
「?」
 首を傾げるマリアに、ヤマトはバックミラー越し、
「謎の女二人組はアリアナを探して基地を襲った。けど見つけられなかった。そうなると他の基地も襲うだろうから、その二人組に直接聞けば良いって事なんだろ?」
 ジャックはフッと小馬鹿にした笑みを浮かべ、
「ケッ。言わなきゃ分かんねぇのかよぉ」
 横目でマリアをチラリと見ると、マリアはムッとして、
「キィーーーッ! ジャックのクセに! ジャックのクセにですわぁぁあぁぁぁぁ!」
 金切り声を上げて駄々っ子パンチをお見舞い。
「て、テメェ、死神ぃ! 止めろぉ! 止めねぇかぁ! ガキかテメェはぁ!」
 後部座席でもめ合う二人に、呆れ笑いのヤマトとジゼ。
「大人げないねぇ~」
 膝の上のアリアナに、ジゼが笑いかけると、
「「シャロおねぇちゃん」と「ナヤスおねぇちゃん」も、よくケンカしてた」
「へぇ~村を守ってくれてた二人って、シャロさんと、ナヤスさんて言うんだぁ~」
「うん。「シャーロットおねぇちゃん」と「ナヤスおねぇちゃん」」
「へぇ~」
 ジゼがにこやかに頷くと、
「「ナヤス!?」」
 ケンカ中であった後部座席の二人が ギョッとした顔で振り向いた。
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