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7.岐路の章_9
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数分後―――
身の丈の数倍あると思われる、高いフェンスの前で立ち尽くすヤマト達。
フェンスの向こうは小規模の軍事基地で、あちこちから炎と黒煙を上げ、兵士達の怒声が飛び交っていた。
「何があったんだ……」
遠目でも分かる、派手な戦闘でもあったかの様な惨状。
しかし、この場所に辿り着くまでの間、戦闘車両などとのすれ違いも無く、きな臭い気配など微塵も感じなかった。
原因不明の状況を前に、ヤマト達はどうしたものかと思案していると、ジャックが「ケェ」といつも通りの一鳴きし、
「混乱してんなら、好都合じゃねぇか」
フェンスを蹴破り、敷地内に入って行ってしまった。
「ちょ、ジャック!」
慌てるヤマト。ジャックを追いつつ振り返り、
「ジゼ、マリア! アリアナを頼むよ!」
「分かった!」
「あのお馬鹿の御守りは、頼みましたわぁ!」
アリアナを抱き、見送るジゼとマリア。
基地内はいたる所から火の手が上がり、小規模の誘爆を繰り返していた。
慌ただしく走り回る兵士達は、消火活動や、負傷兵の治療で上よ下よの大騒ぎ。
怒号が飛び交い、異分子二人の侵入など気付く余裕も無い様であった。
行き交う兵士達を気にする素振りも見せず、ズンズン奥へと進むジャックの後を、冷や冷やしながらついて歩くヤマト。
「な、なぁジャック……基地の連中、反撃する間もなく一方的に攻撃を受けた感じに見えるけど……奇襲でも受けたと思うか?」
「知るかよぉ……まぁ、聞くのが一番なんじゃねぇのか?」
「聞く?」
ヤマトがキョトンとした顔をすると、ジャックは慌ただしく通りすがろうとした一人の兵士の首根っこをムンズと掴み、強引に物陰に連れ込んだ。
「ちょ、ジャック! 派手にやり過ぎだって!」
「ウッセェ! チンタラしてるヒマはねぇんだよ!」
ジャックは言い放つと、
「オイ、テメェ、何があった?」
「何だお前等は!?」
「ウッセェ! 質問してんのはコッチだァ!」
今にも噛みつきそうなジャックの気迫に、
「ひぃ」
捕まった兵士は小さな悲鳴を上げ、
「お、女二人がぁ、村の用心棒の女二人が子供取り戻しに来たんだぁ!」
「村だぁ?」
顔を見合わせるヤマトとジャック。
「オイッ、どう言う事だぁ! 人さらいの親玉はゲリラじゃなく、この国の軍隊だってのかぁ!?」
不愉快そうに眉間にシワを寄せると、
「だ、誰なんだお前達は!」
「ウッセェ! 言え! 誰の指示だァ!」
「し、知らない! 俺達は、この基地の司令官の命令で、傭兵崩れを雇ってやらせていただけで!」
「クソ共がァ!」
「ヒィ!」
兵士は怯えた表情で身を縮め、
「俺達は……とんでもないのを本気にさせてしまったんだぁ……」
「とんでもねぇだ?」
「アレはバケモノだぁ……銃も効かない……突然現れて二人で基地を破壊しまくって……」
「「…………」」
「こ、子供がいないと分かると……悠然と出て行った……」
「そうかよぉ。それより、拉致ったガキの村は何処にある!」
「し、知らない!」
「はぁ? ならぁ知ってる情報を!」
ジャックが語気を強めると、通りの方から、
「貴様ら何をやっとるかァ!」
尋問している姿を、別の兵士に発見されてしまった。
すると捕まえていた兵士がここぞとばかり、
「た、助けて下さい! 新たな侵入者でぇす!」
大声を張り上げ、
「ジャック、マズイ! 逃げよう!」
「チッ!」
(これからって時にィ!)
ジャックは口惜し気に舌打ちし、
「わぁてる!」
尋問していた兵士を、通りの兵士に向かって軽々投げ飛ばすと、ヤマトと共に逃走した。
身の丈の数倍あると思われる、高いフェンスの前で立ち尽くすヤマト達。
フェンスの向こうは小規模の軍事基地で、あちこちから炎と黒煙を上げ、兵士達の怒声が飛び交っていた。
「何があったんだ……」
遠目でも分かる、派手な戦闘でもあったかの様な惨状。
しかし、この場所に辿り着くまでの間、戦闘車両などとのすれ違いも無く、きな臭い気配など微塵も感じなかった。
原因不明の状況を前に、ヤマト達はどうしたものかと思案していると、ジャックが「ケェ」といつも通りの一鳴きし、
「混乱してんなら、好都合じゃねぇか」
フェンスを蹴破り、敷地内に入って行ってしまった。
「ちょ、ジャック!」
慌てるヤマト。ジャックを追いつつ振り返り、
「ジゼ、マリア! アリアナを頼むよ!」
「分かった!」
「あのお馬鹿の御守りは、頼みましたわぁ!」
アリアナを抱き、見送るジゼとマリア。
基地内はいたる所から火の手が上がり、小規模の誘爆を繰り返していた。
慌ただしく走り回る兵士達は、消火活動や、負傷兵の治療で上よ下よの大騒ぎ。
怒号が飛び交い、異分子二人の侵入など気付く余裕も無い様であった。
行き交う兵士達を気にする素振りも見せず、ズンズン奥へと進むジャックの後を、冷や冷やしながらついて歩くヤマト。
「な、なぁジャック……基地の連中、反撃する間もなく一方的に攻撃を受けた感じに見えるけど……奇襲でも受けたと思うか?」
「知るかよぉ……まぁ、聞くのが一番なんじゃねぇのか?」
「聞く?」
ヤマトがキョトンとした顔をすると、ジャックは慌ただしく通りすがろうとした一人の兵士の首根っこをムンズと掴み、強引に物陰に連れ込んだ。
「ちょ、ジャック! 派手にやり過ぎだって!」
「ウッセェ! チンタラしてるヒマはねぇんだよ!」
ジャックは言い放つと、
「オイ、テメェ、何があった?」
「何だお前等は!?」
「ウッセェ! 質問してんのはコッチだァ!」
今にも噛みつきそうなジャックの気迫に、
「ひぃ」
捕まった兵士は小さな悲鳴を上げ、
「お、女二人がぁ、村の用心棒の女二人が子供取り戻しに来たんだぁ!」
「村だぁ?」
顔を見合わせるヤマトとジャック。
「オイッ、どう言う事だぁ! 人さらいの親玉はゲリラじゃなく、この国の軍隊だってのかぁ!?」
不愉快そうに眉間にシワを寄せると、
「だ、誰なんだお前達は!」
「ウッセェ! 言え! 誰の指示だァ!」
「し、知らない! 俺達は、この基地の司令官の命令で、傭兵崩れを雇ってやらせていただけで!」
「クソ共がァ!」
「ヒィ!」
兵士は怯えた表情で身を縮め、
「俺達は……とんでもないのを本気にさせてしまったんだぁ……」
「とんでもねぇだ?」
「アレはバケモノだぁ……銃も効かない……突然現れて二人で基地を破壊しまくって……」
「「…………」」
「こ、子供がいないと分かると……悠然と出て行った……」
「そうかよぉ。それより、拉致ったガキの村は何処にある!」
「し、知らない!」
「はぁ? ならぁ知ってる情報を!」
ジャックが語気を強めると、通りの方から、
「貴様ら何をやっとるかァ!」
尋問している姿を、別の兵士に発見されてしまった。
すると捕まえていた兵士がここぞとばかり、
「た、助けて下さい! 新たな侵入者でぇす!」
大声を張り上げ、
「ジャック、マズイ! 逃げよう!」
「チッ!」
(これからって時にィ!)
ジャックは口惜し気に舌打ちし、
「わぁてる!」
尋問していた兵士を、通りの兵士に向かって軽々投げ飛ばすと、ヤマトと共に逃走した。
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