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青木 森

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5.愁嘆の大地の章-36

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 A班はヤマトが運転する水上バイクの後部座席にジゼが乗り、島を反時計回りに警戒。
 B班のマシューとルーク、そしてナクアは島に上陸し、異常が無いか確認。しかし実際には斥候と言うより、ナクアの散歩と化していた。
 黄色や紫、メガハーブと呼ばれる大振りの草花に歓声を上げたかと思うと、全長八十センチを超え、翼を広げると二メートル近くにもなる、白い躯体を持ったアホウドリに興味津々近づき、動きを真似て羽ばたくフリをする。
 好奇心の塊ナクア、縦横無尽に動き回り、振り回されっ放しのマシューとルーク。

 C班のジャックとマリア……は、未だ巡回に出ていなかった。
 水上バイクでヤマト達と反対周り、時計回りで警戒に当たる筈が二人はバイクを前に、
「何で俺が動かして、テメェが後ろで「おくつろぎ」なんだ!」
「貴方と二人きりで、くつろげる筈がおありですの!」
「ならオメェが動かせやぁ!」
「冗談ではありませんわぁ! 背後に貴方が居るんてゾッとしますわ!」
「んだとぉ!」
 乗る前からの大モメ。
「コッチだってな! 死神が後ろに居たんじゃ、いつ刺されるか冷や冷やモンで、」
「何ですってぇ! わたくしが、そんな卑劣な真似を、」
「いい加減にしねぇかガキ共がァ!」
 ブッチギレたブレイクが二人の尻を蹴飛ばし、
「とっとと行けやぁ! 敵が来てたらどうする気だァ!」
「「…………」」
 最もな指摘に、尻を擦りながら渋々運転席座るジャックと、デジタル双眼鏡を手に、ため息交じりに後部座席に座るマリア。
 お互い物言いたげな不服顔を残し離艦して行くと、呆れ顔で見送るブレイクの傍ら、ダニエルが誤魔化し笑いで、
「いやぁ~姐さん、実は僕、今日なんか体調がすぐれなくてぇ……」
 てい良く自室に逃げようとするも、
「お待ちィ!」
 ブレイクは襟首ムンズと掴むと、皮肉交じりの笑みを浮かべ、
「アタシ等も、艦内デート(パトロール)と洒落込もうじゃないかぁ」
 半泣きのダニエルを引きずりながら、格納庫を後にした。
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