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青木 森

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4.偽りの新天地の章-31

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「南極を統治する女王ナクスカムアに、会いに行きたいのでございますの!」
「「「「「「「「「「南極の女王ぉ!?」」」」」」」」」」
 ジャックは不敵に笑い、
「なんだ。俺の弟の情報を仕入れる為にかぁ~?」
「アナタの為なんかじゃありませんわ!」
 憤慨するマリアは物言いたげに、艦長をジッと見つめた。
「何か事情がおありなのですね、ミスマリア」
「わたくし、予てより国防の為、ナクスカムアに共闘を依頼しておりましたの……」
 悔し気なマリアにジャックは呆れ顔。
「バカじゃねぇのかぁ? あの感情無しの趣味人が、共闘なんてする筈ねぇ~だろぉが」
「容易でない事は分かっていましたわ! ですが……ですが、それが叶っていれば、拉致まがいにお二人を皆様から引きはがす事も、軍曹を死なせる事も……」
 次第にうつむく顔をバッと上げ、
「ですからわたくし「何故動いて下さらなかったのか」って、直接文句言って差し上げたいんですの!」
 それを聞いたマシューとルークは、マリアの気概にニヤリ。
「「つまり姫さんは、その女王のケツを蹴り上げに行きたいって事だよなぁ?」」
「け、けっ、ケツ……って、わたくし……そうですわぁ! わたくし、あの感情無しの御尻を、お蹴り差し上げたいんですわァ!」
「オメェの言葉遣いって、昔っから変だよな」
「う、うるさいですわよぉ、ジャック!」 
「だがよぉ死神、あの感情無し、今回は、ちぃ~とばっか遅ぇが手伝ってんじゃねぇ~か」
「? 貴方、何を言って?」
「ダイバーズを動かしたろ?」
「「「「「「「「「「?」」」」」」」」」」
「何だ知らねぇ~のか? ナクスカムアは、ダイバーズのアドミスターだぞ」
「「「「「「「「「「えぇーーーーーーッ!」」」」」」」」」」
「はっ、初耳ですわよ、そんな話ぃ!」
「なら丁度良い。船賃代わりに、オマエ等(ガルシアクルー)にも忠告しといてやる」
 ジャックは不敵にニヤリと笑い、
「アイツには気を付けるんだなぁ」
「アドミスターを……かね?」
「あぁ。ワケは知らねぇ~がアンタ等、随分気に入られている様だからなぁ。だがアイツの興味が失せたら最後、ヤツの家族とおんなじ、ケツの毛まで抜かれて放り出されるぜぇ」
「それはどう言う事かね?」
 するとマリアがうつむき加減で、少し言い辛そうに、
「彼女……「興味が無くなった」と言って、国民と肉親を敵国に売りましたの」
「「「「「「「「「「!」」」」」」」」」」
「金と引き換えに、国防に関する情報を横流して侵略させてな! 王族のクセにだぜぇ!」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
「その金も、未知の情報を買う為さ! アイツは自分が知らない知識意外に興味がない、知識欲の塊なのさぁ! どうだぁ俺よりイカレてやがんだろぉ!」
 ジャックは、次第に表情を曇らせるガルシアクルー達を見て、更に愉快そうに、
「何でダイバーズは情報だけ扱うと思う! 何で入手危険度より、希少性の高い情報に高額報酬を付けてると思う! ダイバーズはなぁ、あの「感情無し」の際限ない知識欲を満たす為の箱庭なのさ! 正義の味方だとでも思ってたかぁ! アハハハハハハ!」
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
 複雑な表情で押し黙るガルシアクルー達。
 「正義の味方」などと高尚な考えは無くとも、信念を以て依頼をこなしていた彼等にとって、少なからずショックを受ける事実ではあった。
「お黙りなさい、ジャック!」
 マリアが大笑いを一喝。
「過程はどうであれ、誇りを以て事に当たっている方々を、ふざけ半分で嘲るのはお止めなさいッ! 品を疑いますわぁ!」
「ケッ!」
 話の腰を折られ、つまらなそうに横を向くと、
「みんなに、そんな事、しない、よ」
 喪服ドレス姿でベールに顔を隠す小柄な少女が、マシューとルークの手を突如握った。
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