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青木 森

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4.偽りの新天地の章-21

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 マリアがおもむろに立ち上がり、突き刺したレイピアを引き抜くと、
「congratulationマリアァーーーッ! これを見ろォーーーッ!」
 小馬鹿にした様な賛辞を述べるウィリアムの足下の断崖に、国内各所の映像が投影、映し出された。
「な、何でございますの……」
 ジャックの血が滴るレイピアを手に、右腕を失ったマリアが立ち尽くしていると、
「何あれ……」
「うそ……!?」
「映画だろ?」
「ひぃ、人間じゃない!?」
 映し出された町の人々はある一点を見つめ、皆一様に怯えた表情を浮かべていた。
「……?」
 マリアが怪訝な顔する中、映像は横ブレし、町の人々の視線の先を映し出した。
 そこには大型街頭テレビがあり、傷つき立ち尽くすマリアのライブ映像が。
「こ、これは……」
 驚くマリアを尻目に、怯える人々の声はなおも続く。
「ば、化物だぁ!」
 誰かの発した一言で、
「俺達は騙されていたんだ!」
「都合の良い事を言って、この国を支配するつもりだったんだ!」
「そうよ! きっと仲間を呼ぶつもりよ!」
 不安に駆られた国民の疑心暗鬼は際限なく膨張して行く。
 マリアはフラフラ映像に歩み寄り、
「待ってぇ! わたくし、そんなつもりは!」
 脳裏にフラッシュバックする、かつての光景。
  ※          ※          ※
 激戦であった事を思わせる、泥と土にまみれたボロボロの鎧を身にまといながらも、確かな戦果をあげ凱旋するマリア。
 しかし疲れ切って帰国した彼女を待っていたのは賛辞ではなく、国民の冷ややかな目と冷笑であった。
「殺人機械がまた帰って来たわ」
「家族を亡くした人が沢山いるってのに、仮面みたいな無表情しやがってぇ」
「しぶといわね」
「ケッ! 人形のクセに!」
 突き刺さる、国民の誹謗中傷。
 それでもマリアは国を、国民を守る為、戦場の最前線に立ち続けた。
 それは戦闘用サイボーグに改造されたとは言え、王族の血を引くマリアが持つ「誇り」と「責任」が、そうさせていたのかも知れない。
  ※          ※          ※
「オマエ等! 用済みのブラウン含め、全員始末しろッ!」
 ウィリアムの声に、ハッと我に返るマリア。
 隠れていたガーディアンの男達は、逃げ惑うテレビ局クルー達を容赦なく次々射殺。
「な、なんて事をするのですーーーッ!」
「未だ女王様気取りかぁーーー? 愛する国民に見限られた上に、守る事も出来なかった気分はどんなだ、マぁリぃアぁーーーーーー!」
 嫌悪感を抱かせるしたり顔で、怒れるマリアを見下ろすと、
「ゲームの勝利品を受け取りなァーーーーーー!」
 軍曹を崖から蹴り落した。
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