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4.偽りの新天地の章-19
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マリアの右手レイピアによる首を狙った一撃を、ジャックは「勘」で食い止めたのである。
「ガルシアとの戦いが記憶に残っていたでしょうに、流石でございますわねぇ、ジャック」
不敵な笑みからバックステップして距離を取り、
「テメェ! いつの間に、レイピアに持ち替えやがった! そうか……両手持ちの剣は、目くらましの為かァ。オメェの服の下は、どうなってやがんだぁ」
憎まれ口を叩くも、右わき腹を抑えて片膝を地に着けた。
マリアは微笑みと共に左レイピアを一振り、剣先に付いたジャックの血を振り払い、
「ウフフフフッ。女性の服の下が気になるなんて、ブラコンは卒業かしら?」
「ブラコンて呼ぶんじゃねぇ!」
高所から戦いを見下ろし、
「ほほぉ~~~う」
ジャックが不利にもかかわらず、妙に嬉しそうなウィリアムと、小さく安堵する軍曹。
刺された右脇腹を押さえながら立ち上がり、
「呼び込んで一撃とは、やってくれるじゃねぇか死神ィ! しかもご丁寧に手まで抜きやがって。今の俺の力量を計ろうとしやがったな!」
「わたくしも進化しておりましてよ。あなたは……処理速度が少し遅くなりまして?」
皮肉交じりに微笑むと、
「ぬかせぇえぇえぇぇぇえぇ!」
怒れるジャックの叫びに同調し、周囲の土中から幾重もの青いレーザーがマリアに向かい弧を描いた。
「こ、これだけの数を、いつの間にですのぉ!?」
バックステップでかわしつつ、直撃コースは剣で弾き飛ばし、辛うじて回避するマリア。
「ひゃっあはぁっはぁーーー! 俺も進化しているのさぁーーー!」
ジャックは高笑い。
「チェックメイトってヤツだぜぇ、死神ィ!」
「!」
マリアは周囲三百六十度をレーザーの光跡に囲まれ、逃げ場を失い足を止めた。
軍曹は首を激しく振り、強引に猿ぐつわを外し、
「マリアァーーーーーー!」
容赦なくマリアに降り注ぐレーザーの雨は激しい砂煙を舞い上げ、視界を遮った。
「ヘッ」
ニヤつくウィリアムと、
「マリア……」
もうもうと立ち込める砂煙を不安気に見つめる軍曹であったが、ジャックは警戒を解く気配も見せず、砂煙の奥を睨み、
「さっさと出て来い、死神ィ!」
「…………」
「ケェ! テメェが、こん位でどうにかなる訳ねぇだろうがぁ」
「はぁ……討たれたフリをしての奇襲攻撃。バレバレでしたわねぇ」
「この程度でどうにか出来んなら、オマエが守っていた「あの国」は、とっくに弟の物だったさ」
不敵に笑い見つめる砂煙の中から、無傷のマリアが姿を現した。
「よ、良かった……」
安堵した表情を浮かべる軍曹と、苛立ちを滲ませるウィリアム。
「わたくしも少々侮っていましたわ。反応処理速度の鈍りは、多量の兵器データを一括ロードしていたからでございましたのね」
レイピアを二本、地面にドスリと突き立てドレスに付いた砂埃をパンパン叩き落すと、
「ですが、この程度の威力では意味がなくてよ。数を減らして威力を上げた方が賢明でしたわねぇ!」
「ケッ! 相変わらず嫌味な女だぜぇ!」
「褒め言葉として受け取っておきますわ」
微笑みで返すマリアに一先ず胸を撫でおろす軍曹であったが、マリアを見つめるウィリアムの仄暗い眼に、悲し気にうつむいた。
「ガルシアとの戦いが記憶に残っていたでしょうに、流石でございますわねぇ、ジャック」
不敵な笑みからバックステップして距離を取り、
「テメェ! いつの間に、レイピアに持ち替えやがった! そうか……両手持ちの剣は、目くらましの為かァ。オメェの服の下は、どうなってやがんだぁ」
憎まれ口を叩くも、右わき腹を抑えて片膝を地に着けた。
マリアは微笑みと共に左レイピアを一振り、剣先に付いたジャックの血を振り払い、
「ウフフフフッ。女性の服の下が気になるなんて、ブラコンは卒業かしら?」
「ブラコンて呼ぶんじゃねぇ!」
高所から戦いを見下ろし、
「ほほぉ~~~う」
ジャックが不利にもかかわらず、妙に嬉しそうなウィリアムと、小さく安堵する軍曹。
刺された右脇腹を押さえながら立ち上がり、
「呼び込んで一撃とは、やってくれるじゃねぇか死神ィ! しかもご丁寧に手まで抜きやがって。今の俺の力量を計ろうとしやがったな!」
「わたくしも進化しておりましてよ。あなたは……処理速度が少し遅くなりまして?」
皮肉交じりに微笑むと、
「ぬかせぇえぇえぇぇぇえぇ!」
怒れるジャックの叫びに同調し、周囲の土中から幾重もの青いレーザーがマリアに向かい弧を描いた。
「こ、これだけの数を、いつの間にですのぉ!?」
バックステップでかわしつつ、直撃コースは剣で弾き飛ばし、辛うじて回避するマリア。
「ひゃっあはぁっはぁーーー! 俺も進化しているのさぁーーー!」
ジャックは高笑い。
「チェックメイトってヤツだぜぇ、死神ィ!」
「!」
マリアは周囲三百六十度をレーザーの光跡に囲まれ、逃げ場を失い足を止めた。
軍曹は首を激しく振り、強引に猿ぐつわを外し、
「マリアァーーーーーー!」
容赦なくマリアに降り注ぐレーザーの雨は激しい砂煙を舞い上げ、視界を遮った。
「ヘッ」
ニヤつくウィリアムと、
「マリア……」
もうもうと立ち込める砂煙を不安気に見つめる軍曹であったが、ジャックは警戒を解く気配も見せず、砂煙の奥を睨み、
「さっさと出て来い、死神ィ!」
「…………」
「ケェ! テメェが、こん位でどうにかなる訳ねぇだろうがぁ」
「はぁ……討たれたフリをしての奇襲攻撃。バレバレでしたわねぇ」
「この程度でどうにか出来んなら、オマエが守っていた「あの国」は、とっくに弟の物だったさ」
不敵に笑い見つめる砂煙の中から、無傷のマリアが姿を現した。
「よ、良かった……」
安堵した表情を浮かべる軍曹と、苛立ちを滲ませるウィリアム。
「わたくしも少々侮っていましたわ。反応処理速度の鈍りは、多量の兵器データを一括ロードしていたからでございましたのね」
レイピアを二本、地面にドスリと突き立てドレスに付いた砂埃をパンパン叩き落すと、
「ですが、この程度の威力では意味がなくてよ。数を減らして威力を上げた方が賢明でしたわねぇ!」
「ケッ! 相変わらず嫌味な女だぜぇ!」
「褒め言葉として受け取っておきますわ」
微笑みで返すマリアに一先ず胸を撫でおろす軍曹であったが、マリアを見つめるウィリアムの仄暗い眼に、悲し気にうつむいた。
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