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青木 森

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3.旅立ちの章-36

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 集合場所には既にヤマト以外の全員が集まり、その中にはクリストファーの好みとも、ナタリーの好みとも、ソフィアの好みとも違う、涼やかな白のワンピースに身を包むジゼの姿が。
 結局、店内に設置されたAI端末がコーデした物を購入し、着替えたのであった。
「ジゼさん、良く似合ってるわよ」
「あ、ありがとう……」
 微笑むソフィアに、ジゼが恥ずかしそうにはにかんで見せると、
((これはコレでイイかも……))
 尊いモノを見る目で、拝むクリストファーとナタリー。
(((何やってんだかぁ……)))
 呆れ笑いのマシュー達男性陣。
 しかし、微笑ましい空気はヤマトの登場により一変した。
「すみません、遅くなりました!」
 声に振り向くと、見た事の無い女の子と仲睦まじく手を繋ぐヤマトの姿が。
((((((アナタいったい何してくれてるんですかぁあぁあぁぁあぁ!?))))))
 青ざめるガルシアクルー達。
 うつむくジゼの横顔を、そっ~と窺うと、そこにはかつて見た事が無い程の鬼の形相が。
 たらしで名を馳せるダニエルも流石に慌て、ヤマトに小声で強く、
(馬鹿じゃないのかヤマトォ! デートの時に女の子をナンパして連れて来るなんて!)
「なんぱぁ……?」
 ダニエルの必死な苦言と、ジゼが飛ばす針の様な視線に、やっと事の重大さに気付き、
「あ! ちぃ、違う違うんだぁ! これはナンパした訳じゃなくてぇ!」
 慌てて事の顛末を皆に説明。
 ジゼも納得いかない所は若干残しつつ、
「分かったわ。じゃあ行くわよ。でも勘違いしないでよ!」
「?」
「こ、これはデートなんかじゃなくて、ヤマトは単なる荷物持ちなんだから!」
「わ、分かってるってぇ」
 笑ってお茶を濁しつつ、
「じゃあナクア、さっき約束した通り、一緒に居られるのはココまでだ」
 手を放そうとするも、ナクアは無表情まま離す素振りを見せない。
 突き刺さる様な、ジゼの冷たい視線。
「あは、あは、あはははは……」
 もはや笑うしかないヤマト。
 そこへダニエルが、邪念も含めて助け船。
「ナクアちゃんて言うんだ? それなら僕と、ヤマト達とでダブルデートしようよ」
 ウインクするも、ナクアは無表情のままプイッと横を向き、断固拒否。
 ショックを受け、地面に手を着くダニエル。
「お、おかしいな……僕イケメンなのに……最近こんな扱いばっか……」
 ブツブツ言い始める残念な後ろ姿に、もはやガルシア内女性人気ナンバーワンの面影はない。
「「かっかっかぁ! ざまあねぇな元色男さんよぉ!」」
 愉快そうに笑うマシューとルーク。
 するとナクアは、しばし二人をじっと見上げ、
「……キレイな、赤ぁ」
 呟くと、ヤマトから手を離し、小さな右手と左手でマシューとルークの手を握った。
「「いぃ!?」」
 驚く二人に、頷くナクア。
 その様子にソフィアはクスリ。
「そのメンバーで行って来なさい」
 ナクアが二人を選んだ事で、ジゼの心にも若干ゆとりが出来たのか、
「し、仕方ないわねぇ! でもヤマトォ!」
「?」
「この埋め合わせは、今度キチンとしてもらうんだから!」
 ツンデレ完全復活に、ヤマトは困った様な笑顔を返しつつ、
「分かったよ」

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