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続章_72

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 カーテンの向こうからボソボソと、何か小声で話し合う声が聞こえる。
「ハーくん、ボク達十分位、外に出てようか?」
「だな。サクラも、それでイイよな?」
「う、うん……黄先生がいるから大丈夫だよね……」
 三人は保健室を出ると校庭に向かった。
 コンテストに向けての写真を撮影しようと一先ずカメラを構えるが、ツバサが気にかかり、集中出来ないハヤテ達。
 結局三人は何も撮らず、校庭を眺められるベンチに腰掛け、運動部の生徒達をぼんやり眺めた。
「「「…………」」」
 誰も何も言わない。
 安易な憶測から出た言葉はツバサを傷つける様な気がして、何も言えなかったのである。
(でも本当に……ツバサちゃん……どうしちゃったんだろぉ……)
 持ち前の能力でハヤテが何か気付いてはいないかと、サクラはチラリとハヤテを見ると、
「このままじゃダメだ!」
 ハヤテが腹を括った表情で、スッと立ち上がった。
(ハヤテくん?)
「ハーくん、何をする気だい?」
 見上げる二人に、
「話は後だ。保健室に戻ろう」
「「…………」」
 ヒカリとサクラは顔を見合わせると頷き合い、ハヤテと共に保健室へ戻った。
ツバサを一人で寝かせているのか、ベッド周りの仕切りカーテンは引かれたまま、黄は自席に座っていた。
 戻って来た三人の姿を見るなり、
「そんな所に突っ立てないで、入って戸を閉めな。山形なら大丈夫だ。落ち着いて寝てる」
 一先ずホッとした顔を向け合うハヤテ達。
 室内に入り扉を閉めると、黄の下へ歩み寄り、
「黄先生、ツバサちゃんはどうしたんだい?」
 ヒカリの問いに、黄は小さく息を吐き、
「不特定多数の人間が居る場所が、怖くなっちまったんだとさぁ」
「「「!」」」
「無理もない……あんな状況でいきなり背後から刺されれば、なぁ……」
(そんな……)
サクラはツバサが心に負った、傷の深さを改めて知り絶句した。
 するとハヤテがおもむろに、
「黄先生、事件から二週間経ちます。警察は、そろそろ犯人の目星を付けたんですか?」
「「!」」
 期待の眼差しを向けるヒカリとサクラ。
 しかし黄は黙ってうつむき、進展がないことを察したハヤテは、むしろ最初から期待していなかったのか、口調に呆れを滲ませつつ、
「なら、サクラの家を放火した真犯人は?」
「…………」
 何も答えない黄。
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