46 / 88
続章_44
しおりを挟む
数分後―――
ヒカリ、サクラ、ハヤテ、三人の姿は、伊那路が運転する車中にあった。
本来は自己責任として、走って学校へ向かうべき話であったが、ヒカリの体の事もあり、樹神の許しを得て車で学校へ向かっていたのである。
車窓に流れる景色を、サクラは不安気に見つめ、
(大丈夫かなぁ……)
すると、
「さくらちゃ~ん!」
「?」
ヒカリの声に振り向くと、サクラの頬に人差し指がプスリ。
「あにぃするのぉ~」
子供染みたイタズラに、ムッとするサクラであったが、当のヒカリはどこ吹く風。
「暗い顔をしてるからぁ~」
「え?」
「心配事?」
「う、うん。まぁ……」
曖昧な返事を返すと、
「この時間なら間に合うから、大丈夫だよぉ」
笑顔のヒカリに、
(それだけじゃないんだど……)
内心思いつつ、ヘンな気遣いをさせてはいけないと思い、
「う、うん。そうだね」
笑顔を返すと、ヒカリが急にニッと歯を見せ笑い、
「ウソ。本当は、放火された話で注目されそうなのが心配なんでしょ?」
「!」
ハッとするサクラ。
(ヒカリちゃんには、かなわないなぁ……)
「気付いてたんだ」
秘密にしようと思っていた自分を自嘲した笑顔を見せると、
「まぁ~ねぇ~♪ 友達だから」
「ありがとう」
サクラは笑みを返したが、やはり不安は拭えず、
「気にしても、仕方が無いのは分かってるんだけど……」
次第にうつむくと、
「大丈夫だよ! サクラちゃん!」
「え?」
「サクラちゃんには、ボクとハーくん、それにツバサちゃんだってついてる! ちょっかい出して来るヤツがいたら、ボク達三人が丸めてポイだよ!」
笑って見せるヒカリと、助手席からチラリと笑みを送るハヤテ。
二人の笑顔に支えられ、
「うん!」
サクラは憂いを感じさせない笑顔を返した。
ヒカリ、サクラ、ハヤテ、三人の姿は、伊那路が運転する車中にあった。
本来は自己責任として、走って学校へ向かうべき話であったが、ヒカリの体の事もあり、樹神の許しを得て車で学校へ向かっていたのである。
車窓に流れる景色を、サクラは不安気に見つめ、
(大丈夫かなぁ……)
すると、
「さくらちゃ~ん!」
「?」
ヒカリの声に振り向くと、サクラの頬に人差し指がプスリ。
「あにぃするのぉ~」
子供染みたイタズラに、ムッとするサクラであったが、当のヒカリはどこ吹く風。
「暗い顔をしてるからぁ~」
「え?」
「心配事?」
「う、うん。まぁ……」
曖昧な返事を返すと、
「この時間なら間に合うから、大丈夫だよぉ」
笑顔のヒカリに、
(それだけじゃないんだど……)
内心思いつつ、ヘンな気遣いをさせてはいけないと思い、
「う、うん。そうだね」
笑顔を返すと、ヒカリが急にニッと歯を見せ笑い、
「ウソ。本当は、放火された話で注目されそうなのが心配なんでしょ?」
「!」
ハッとするサクラ。
(ヒカリちゃんには、かなわないなぁ……)
「気付いてたんだ」
秘密にしようと思っていた自分を自嘲した笑顔を見せると、
「まぁ~ねぇ~♪ 友達だから」
「ありがとう」
サクラは笑みを返したが、やはり不安は拭えず、
「気にしても、仕方が無いのは分かってるんだけど……」
次第にうつむくと、
「大丈夫だよ! サクラちゃん!」
「え?」
「サクラちゃんには、ボクとハーくん、それにツバサちゃんだってついてる! ちょっかい出して来るヤツがいたら、ボク達三人が丸めてポイだよ!」
笑って見せるヒカリと、助手席からチラリと笑みを送るハヤテ。
二人の笑顔に支えられ、
「うん!」
サクラは憂いを感じさせない笑顔を返した。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
バンドRINGERを巡る話①警鐘を鳴らす声
江戸川ばた散歩
ライト文芸
「クロール」「わらう雨」と同じ世界の話。 とある朝、バンド「RINGER」のリーダーでギタリストのケンショーはヴォーカルの「Kちゃん」に逃げられる。 凹んでいた彼の前に高校生バンドのヴォーカル、カナイ君が現れる。 元々ケンショーのファンだった彼。バンドに新たな風は吹くか? と…
あの日、君は笑っていた
紅蘭
ライト文芸
五年前、僕は彼女を殺した。
彼女はもういないのに、僕はまだのうのうと生きている。
悲しみと寂しさと罪悪感。突然それに耐えられなくなった。
彼女の夢を思い返しては記憶をあさる日々。
そんな折に僕は一人の女の子と出会う。
明るくて純粋で優しい麗奈ちゃん。
誰かと一緒に過ごす日々に幸福を感じたのは五年ぶりだった。
だけどある日気が付く。麗奈ちゃんは僕に嘘をついていた。
どうして嘘をついていたのか。何を知っていて何を隠していたのか。
僕だけが何も知らないままだった。
No.3 トルトリノス
羽上帆樽
ライト文芸
果実の収穫が始まった。収穫した果実を変換器に入れることで、この仮想空間は維持されるらしい。やがて、僕は思い出す。お姉ちゃんと話したこと。彼女はどこにいるのだろう?
青の境界、カナタの世界
紺乃 安
ライト文芸
傷害事件の目撃者となった男嫌いの女子高校生・蓮見かなたは、自身の捜査知識を披露すべく、大人たちを巻き込んで独自捜査に乗り出す。なりゆきで新興宗教への潜入調査を買って出るが、右往左往するうち、いつしか時代をまたいだ国家転覆の陰謀(らしきもの)へと巻き込まれてゆく……。
子供と大人の間で揺れる、青春闇鍋コメディ
私を 癒してくれたのは 泥棒模様の 柴犬ちゃんでした
悠里
ライト文芸
社会人 2年目。
なんだかぼんやり疲れてた日々に。
泥棒もようの わんこがあらわれた。
表紙:イラストACより
7/28タイトル変更しました。
徒然短編集
後醍醐(2代目)
ライト文芸
主に人からもらったお題で、基本40分以内でなるべく400字は超える事を目安に短編を書きます。毎日投稿を目標にしているので、良ければ見てやってください。
一応文章力は成長してると思うので、是非とも一話目だけを読んで判断せずになるべく先の方まで読んでみて欲しいです。なお、現在最も自信があるのは『新薬のバイト』です。
【追記】条件によって章分けし直したので、最新話=一番下という事では無いです。紛らわしくてすみません。
バイオリンを弾く死神
三島
ライト文芸
創作の苦しみは絵も小説も同じなんじゃないかと思います。
画像を見てお話を作る課題で書いた、絵描きと骸骨の掌編二本。
(画像は、アルノルト・ベックリン「バイオリンを弾く死神のいる自画像」でした)
僕たちはその歪みに気付くべきだった。
AT限定
ライト文芸
日々繰り返される、クラスメイトからの嫌がらせに辟易しながらも、天ケ瀬 燈輝(あまがせ とうき)は今日も溜息交じりに登校する。
だが、その日友人から受け取った一枚のプリントが、彼の日常を一変させる。
吸い寄せられるように立ち入った教室で、彼が見たものとは……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる