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第八章
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フリンジが背水の陣の覚悟を以て出陣した頃――
そうとは知らぬラディッシュたち勇者組と、天世の二人。
荷馬車に併設する形で建てた仮設テントの中で、
「…………」
「「「「「「「「「…………」」」」」」」
眠るように横たえるサロワートを、悲痛な表情で見つめていた。
そんな彼女の胸の上にはゴゼンが天世に向かうまで使っていた、地世からの影響を受けにくくするペンダントが。
隔絶空間を二十四時間体制で維持して彼女を隔離するなど非現実的であり、せめてものフリンジ対策、苦肉の策であった。
天世のチカラが色濃い村の教会に寝かせてもらえれば「監視の負担」も軽減できたのであるが、
「ごめんね。こんな事しかしてあげられなくて……」
申し訳なさげに肩をすぼめるラディッシュ。
すると彼の肩に乗っていた小鳥のサロワートがヤレヤレと言った半笑いの口振りで、
「仕方ないわよぉ♪」
本体の胸元にちょこんと舞い降り、暗い顔した九つの顔を見上げ、
「アタシみたいな危険物を、村の近くに置いてくれるだけでも感謝だわぁ♪ それにこの首飾りだって、隔絶空間とまではいかなくても地世のチカラを遮ってくれる。全く以て上等だわぁ♪」
気遣いも交えた強がりとは思われたが、
「そう言ってもらえると……」
ラディッシュ達の罪悪感は少し和らいだ。
そんな中、
『少し良いですわの、サロワぁ?』
「?」
ドロプウォートが改まった口調で、愛らしく振り向く小鳥に、
「貴方に掛けられましたその地法……解く方法はありませんですわの?」
((((((((!))))))))
誰もが訊きたかった問いではあったが、
((((((((…………))))))))
不可能と言う「最悪の答え」を恐れ、訊けずに居た問いでもあった。
術を行使したのが、目的達成の為ならばどんな手段も厭(いと)わない「卑劣漢フリンジ」であったから。
意を決したドロプウォートの問い掛けに対し、小鳥のサロワートはラディッシュたちの不安顔を尻目に、深刻さを感じさせない辟易した様子の半笑いで、
「無理ねぇ♪」
(((((((((!?)))))))))
「アノ変態(フリンジ)を倒さない限り」
本体の胸元を翼で指し、
「アタシの体の中には、アイツが術を施した球が埋め込まれてるの。それを迂闊に取り出そうとすれば合成獣化は避けられない。アイツを倒し、アイツの地世のチカラが消滅してからじゃないと村に危険が及ぶわ」
平然と、軽やかに語る彼女の言葉は一聴すると、
《フリンジを倒せば全て解決》
簡単な話に聞こえはしたが、
「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」
現実は、そのような「単純な話」ではないのを、ラディッシュ達は重々理解していた。
何故ならフリンジは曲がりなりにも「魔王軍の要人」であり、先ずはその彼を地世にある城から引きずり出し、引きずり出した上で倒さなければならない話であったから。
しかも彼は「自称」とは言え「智将」を謳う、地世の七草の一人である。
勇者の誘い文句に易々乗って、魔王城から中世にノコノコやって来る阿呆とは流石に思えず、九人は彼女の言葉が「気遣いから出た言葉」と理解した上で一羽と共に、
((((((((((どぅしたモノかぁ……))))))))))
困惑顔で腕組みした。
しかし、
『『『『『『『『『『ッ!』』』』』』』』』』
一転して緊張が走る。
九人プラス一羽は共通認識の下、
《地世の強い気配!》
互いに顔を見合わせた。
そうとは知らぬラディッシュたち勇者組と、天世の二人。
荷馬車に併設する形で建てた仮設テントの中で、
「…………」
「「「「「「「「「…………」」」」」」」
眠るように横たえるサロワートを、悲痛な表情で見つめていた。
そんな彼女の胸の上にはゴゼンが天世に向かうまで使っていた、地世からの影響を受けにくくするペンダントが。
隔絶空間を二十四時間体制で維持して彼女を隔離するなど非現実的であり、せめてものフリンジ対策、苦肉の策であった。
天世のチカラが色濃い村の教会に寝かせてもらえれば「監視の負担」も軽減できたのであるが、
「ごめんね。こんな事しかしてあげられなくて……」
申し訳なさげに肩をすぼめるラディッシュ。
すると彼の肩に乗っていた小鳥のサロワートがヤレヤレと言った半笑いの口振りで、
「仕方ないわよぉ♪」
本体の胸元にちょこんと舞い降り、暗い顔した九つの顔を見上げ、
「アタシみたいな危険物を、村の近くに置いてくれるだけでも感謝だわぁ♪ それにこの首飾りだって、隔絶空間とまではいかなくても地世のチカラを遮ってくれる。全く以て上等だわぁ♪」
気遣いも交えた強がりとは思われたが、
「そう言ってもらえると……」
ラディッシュ達の罪悪感は少し和らいだ。
そんな中、
『少し良いですわの、サロワぁ?』
「?」
ドロプウォートが改まった口調で、愛らしく振り向く小鳥に、
「貴方に掛けられましたその地法……解く方法はありませんですわの?」
((((((((!))))))))
誰もが訊きたかった問いではあったが、
((((((((…………))))))))
不可能と言う「最悪の答え」を恐れ、訊けずに居た問いでもあった。
術を行使したのが、目的達成の為ならばどんな手段も厭(いと)わない「卑劣漢フリンジ」であったから。
意を決したドロプウォートの問い掛けに対し、小鳥のサロワートはラディッシュたちの不安顔を尻目に、深刻さを感じさせない辟易した様子の半笑いで、
「無理ねぇ♪」
(((((((((!?)))))))))
「アノ変態(フリンジ)を倒さない限り」
本体の胸元を翼で指し、
「アタシの体の中には、アイツが術を施した球が埋め込まれてるの。それを迂闊に取り出そうとすれば合成獣化は避けられない。アイツを倒し、アイツの地世のチカラが消滅してからじゃないと村に危険が及ぶわ」
平然と、軽やかに語る彼女の言葉は一聴すると、
《フリンジを倒せば全て解決》
簡単な話に聞こえはしたが、
「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」
現実は、そのような「単純な話」ではないのを、ラディッシュ達は重々理解していた。
何故ならフリンジは曲がりなりにも「魔王軍の要人」であり、先ずはその彼を地世にある城から引きずり出し、引きずり出した上で倒さなければならない話であったから。
しかも彼は「自称」とは言え「智将」を謳う、地世の七草の一人である。
勇者の誘い文句に易々乗って、魔王城から中世にノコノコやって来る阿呆とは流石に思えず、九人は彼女の言葉が「気遣いから出た言葉」と理解した上で一羽と共に、
((((((((((どぅしたモノかぁ……))))))))))
困惑顔で腕組みした。
しかし、
『『『『『『『『『『ッ!』』』』』』』』』』
一転して緊張が走る。
九人プラス一羽は共通認識の下、
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互いに顔を見合わせた。
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