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第八章
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村長に村人たちを集めてもらい――
ラディッシュは意識を失ったままのサロワートを椅子車に乗せ、勇者組の仲間たちと共に村人たちが集まる広場にやって来た。
盗難事件が止まず、気が立つ村人たちの真っただ中へ。
しかし散々「無実の証を見せろ」と言っておきながら、いざ当人たちを前にすると、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
一様に不安げな表情の村人たち。
当然である。
対峙しているのは一般人などではなく、村や国を救った英雄たちであり、百人の天世人の後継でもある勇者と、意識を失っているように見える女性も「国を亡ぼせるチカラ」を有する魔王軍大幹部の一人なのだから。
束になっても、逆立ちしても勝てない相手。
ラディッシュは遠巻きに囲む「不安気な数多(あまた)の目」に向け、
「ご覧いただいた通り彼女は意識を失ったままです! 日夜看病も続けていて、彼女が村に迷惑を掛けるなんて有り得ません!」
怒るのではなく、村が抱く不安には理解を示した上で真摯に語ったが、彼女が来てから事件が連続するようになったのは事実であり、
「本当にちゃんと見張ってたのかよぉ」
何処からともなく責める声が。
その声に呼応するようにサワサワと囁き合い、疑心の色を深める村の大人たち。
すると、
『サロワおねぇちゃんぁそんなことしないもぉん!』
異を唱える女の子の声が。
聞き覚えのある声に続けざま、
『『そうだそうだ!』』
叫び、大人たちの前に飛び出したのは、サロワートに救われ、村の誰より彼女と縁の深いオキザリス、トロペオラム、フリージア。
村の子供たちであった。
子供たちは村の大人たちを前に一歩も退く姿勢を見せず、
「ねぇちゃんはこのムラを! みんなをタスケルためにでていったんだぞ!」
「「「そうだそうだ!」」」
「コドモのオイラたちでもわかるのをオトナがわからないワケないじゃないか!」
「「そうだそうだ!」」
恩を仇で返す不実に幼いながらに怒りをぶちまけ、痛い所を衝かれた大人たちは、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
良心の呵責から、返す言葉を見つけられずに居た。
しかし、
『おっ、俺はそのオンナが逃げていくのを見たぞぉ!』
村人の一人が声を荒げ、続けざまに他の村人も、
『ガキが知った風な口を大人に利くなァ!』
人込みの中から頭ごなしに怒鳴りつけ、大人たちからの容赦ない高圧的罵声に、
「「「「ひぃ……」」」」
短い悲鳴と共に怯え、縮こまる子供たち。
見兼ねたラディッシュ達がすかさず間に割って入ろうとしたが、それより先、
『朝から何の騒ぎしぃ!』
『ホント朝からギャーギャーと煩わしいわぁ!』
不機嫌声で人込みを押しのけやって来たのは、リンドウとヒレン。
話の大筋は「何の騒ぎ」と言いながらも理解しているらしく、幼子を相手に大人げなく、臆面もなく無く目くじら立てる男に近付き威圧するように、
『言いたい事があるならぁアータも子供たちのように前に出るしぃ!』
大人の身でありながら人の背に隠れ、不平のみを上げる姿勢を叱責し、
「それにアータが見たのは「そのオンナ」でぇ絶対間違いないワケしぃ!」
その迫力に男は、
「え?! い、いや、絶対と言われると……」
集まる視線にたじろぎを見せながら、先に声を上げた男に、
「な、なぁ、オイ……」
同意を求め、求められた男も動揺を隠せぬ様子で、
「そ、その、昨日の夜は月明りが無くて暗くて、なぁ」
「あ、あぁ。確かにぃ」
すると狙い通り動揺を誘えたリンドウはニヤリ。
動揺から生まれた綻びに「言質(げんち)は取った」とでも言いたげに、
「暗くてよく見えなかったのにぃ、よく「この女が犯人」だって分かったしぃ♪」
((((((((((!))))))))))
違和感を抱く村人たち。
夜における「村の暗さ」は、村民の誰もが知るところであり、
((((((((((言われてみれば……))))))))))
ざわつき始め、その中から聞こえて来たのは、
《それよりアイツ等って誰だ?》
訝しむ声が。
「「…………」」
クレーム男の二人が焦りの色を滲ませると、
『ちょっと話を聞かせてもらえるか?』
「「!?」」
村の警備兵たちが二人を取り囲み、逃げ場を奪った上で有無を言わせず任意同行と言う名の強制連行を執行した。
ラディッシュは意識を失ったままのサロワートを椅子車に乗せ、勇者組の仲間たちと共に村人たちが集まる広場にやって来た。
盗難事件が止まず、気が立つ村人たちの真っただ中へ。
しかし散々「無実の証を見せろ」と言っておきながら、いざ当人たちを前にすると、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
一様に不安げな表情の村人たち。
当然である。
対峙しているのは一般人などではなく、村や国を救った英雄たちであり、百人の天世人の後継でもある勇者と、意識を失っているように見える女性も「国を亡ぼせるチカラ」を有する魔王軍大幹部の一人なのだから。
束になっても、逆立ちしても勝てない相手。
ラディッシュは遠巻きに囲む「不安気な数多(あまた)の目」に向け、
「ご覧いただいた通り彼女は意識を失ったままです! 日夜看病も続けていて、彼女が村に迷惑を掛けるなんて有り得ません!」
怒るのではなく、村が抱く不安には理解を示した上で真摯に語ったが、彼女が来てから事件が連続するようになったのは事実であり、
「本当にちゃんと見張ってたのかよぉ」
何処からともなく責める声が。
その声に呼応するようにサワサワと囁き合い、疑心の色を深める村の大人たち。
すると、
『サロワおねぇちゃんぁそんなことしないもぉん!』
異を唱える女の子の声が。
聞き覚えのある声に続けざま、
『『そうだそうだ!』』
叫び、大人たちの前に飛び出したのは、サロワートに救われ、村の誰より彼女と縁の深いオキザリス、トロペオラム、フリージア。
村の子供たちであった。
子供たちは村の大人たちを前に一歩も退く姿勢を見せず、
「ねぇちゃんはこのムラを! みんなをタスケルためにでていったんだぞ!」
「「「そうだそうだ!」」」
「コドモのオイラたちでもわかるのをオトナがわからないワケないじゃないか!」
「「そうだそうだ!」」
恩を仇で返す不実に幼いながらに怒りをぶちまけ、痛い所を衝かれた大人たちは、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
良心の呵責から、返す言葉を見つけられずに居た。
しかし、
『おっ、俺はそのオンナが逃げていくのを見たぞぉ!』
村人の一人が声を荒げ、続けざまに他の村人も、
『ガキが知った風な口を大人に利くなァ!』
人込みの中から頭ごなしに怒鳴りつけ、大人たちからの容赦ない高圧的罵声に、
「「「「ひぃ……」」」」
短い悲鳴と共に怯え、縮こまる子供たち。
見兼ねたラディッシュ達がすかさず間に割って入ろうとしたが、それより先、
『朝から何の騒ぎしぃ!』
『ホント朝からギャーギャーと煩わしいわぁ!』
不機嫌声で人込みを押しのけやって来たのは、リンドウとヒレン。
話の大筋は「何の騒ぎ」と言いながらも理解しているらしく、幼子を相手に大人げなく、臆面もなく無く目くじら立てる男に近付き威圧するように、
『言いたい事があるならぁアータも子供たちのように前に出るしぃ!』
大人の身でありながら人の背に隠れ、不平のみを上げる姿勢を叱責し、
「それにアータが見たのは「そのオンナ」でぇ絶対間違いないワケしぃ!」
その迫力に男は、
「え?! い、いや、絶対と言われると……」
集まる視線にたじろぎを見せながら、先に声を上げた男に、
「な、なぁ、オイ……」
同意を求め、求められた男も動揺を隠せぬ様子で、
「そ、その、昨日の夜は月明りが無くて暗くて、なぁ」
「あ、あぁ。確かにぃ」
すると狙い通り動揺を誘えたリンドウはニヤリ。
動揺から生まれた綻びに「言質(げんち)は取った」とでも言いたげに、
「暗くてよく見えなかったのにぃ、よく「この女が犯人」だって分かったしぃ♪」
((((((((((!))))))))))
違和感を抱く村人たち。
夜における「村の暗さ」は、村民の誰もが知るところであり、
((((((((((言われてみれば……))))))))))
ざわつき始め、その中から聞こえて来たのは、
《それよりアイツ等って誰だ?》
訝しむ声が。
「「…………」」
クレーム男の二人が焦りの色を滲ませると、
『ちょっと話を聞かせてもらえるか?』
「「!?」」
村の警備兵たちが二人を取り囲み、逃げ場を奪った上で有無を言わせず任意同行と言う名の強制連行を執行した。
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