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第八章
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たまたま遭遇した復興作業を手伝い始めて数日――
現場の作業員たちにもすっかり顔を覚えられ、
『リンちゃん、おはようさぁん♪』
『リンちゃん、今日も良い天気だねぇ♪』
行き交う人々に笑顔で声を掛けられ、
『そうしぃねぇ♪ 作業日和しぃいぃ♪』
その都度、マメとも思える笑顔を返す作業員姿のリンドウ。
他の天世の二人もそれなりに顔は知れたが、その癖(へき)ゆえに「女性からすこぶる評判の悪いゴゼン」と、一部に「熱狂的なファン(ツンデレマニア)」を持ってしまったヒレン。
町の人達にとって「素性の知れない身」でありながら易々と受け入れられたのは、信頼を置かれているラディッシュたち勇者組の同伴者であるのも大きかった。
陽は傾き、町が茜色に染まり始めた頃、拠点としてラディッシュが建てた仮設テントに、
『今日も一日終わったしぃ~♪』
笑顔で帰って来たのはリンドウ。
続けて、
『ふぃ~やっと解放されたョぉ~』
男ばかりの現場から辟易顔で帰って来たのはゴゼン。
ヒレンも、
「なんで私が、埃まみれで仕事をしないといけないワケぇ~」
愚痴っぽく帰って来たが、その表情は口にした悪態と相反する充実が窺えた。
勇者組の面々も、
「「「「「「ただいまぁ~♪」」」」」」
続々と帰宅を果たす中、エプロン姿でお玉を手に、
『みんなぁお帰りぃお疲れ様ぁ♪ ご飯の用意が出来てるよぉ~♪』
笑顔で迎えるのはラディッシュ。
本人も復興作業を手伝っていない訳ではないが、家事を理由に、他のメンバーよりも早めに帰宅していたのであった。
天世の三人が加わっても変わらぬ「夕飯は全員揃って」の御約束。
食事をしながら今日あった出来事などを語り合う中、リンドウが気になる一言を発した。
決して重々しくではなく、雑談の一つと感じる程度の何の気なしで、
『中世の仕事ってぇ、ドコもぉこんなに忙しいのしぃ?』
「「「「「「「「「?」」」」」」」」」
「アーシはぁ少し急ぎ過ぎな感じがするのしぃ~♪」
ソレほどの仕事をこなせている自画自賛が透けて見える、ドヤを感じる笑顔の語り口に、仲間たちは「あはは」と笑い、彼女が感じた「急ぎ過ぎ」を誰一人として真剣に受け止める者は居なかった。
口にした、リンドウ本人でさえ。
しかし「第三者的な目」を持った新参者は時として「常態化してしまった異変」に、場慣れした従事者より先に気付ける事がある。
リンドウの気付きも「軽い冗談話」として流してしまったが、彼女が抱いた違和感は決して間違いでは無かった。
急ぎ過ぎにより生じたヒズミは、静かに、人知れず、しかしながら確実に歩みを寄せつつあった。
やがてソレは、唐突に牙を剝く。
最も歪みが蓄積された箇所に重篤な症状となって。
異変に気付いたのは、復興作業の現場監督。
好天に恵まれ、いつもと変わらぬ復興作業が進むさ中、彼は作業場を巡回し、
「ん?」
複数の作業音に交じる「ミリッミリッ」と言う、耳慣れぬ微かな音を聴いた。
(何の音だ?)
音を辿って見上げてみれば、そこは建設中の教会。
王都の新たなシンボルとして、復興のシンボルとして、人々の思いが籠った、威風堂々たる佇まいを見せ、ビルの高さ十階相当にあたる外壁工事の為に、高い足場が組まれていた。
現場の作業員たちにもすっかり顔を覚えられ、
『リンちゃん、おはようさぁん♪』
『リンちゃん、今日も良い天気だねぇ♪』
行き交う人々に笑顔で声を掛けられ、
『そうしぃねぇ♪ 作業日和しぃいぃ♪』
その都度、マメとも思える笑顔を返す作業員姿のリンドウ。
他の天世の二人もそれなりに顔は知れたが、その癖(へき)ゆえに「女性からすこぶる評判の悪いゴゼン」と、一部に「熱狂的なファン(ツンデレマニア)」を持ってしまったヒレン。
町の人達にとって「素性の知れない身」でありながら易々と受け入れられたのは、信頼を置かれているラディッシュたち勇者組の同伴者であるのも大きかった。
陽は傾き、町が茜色に染まり始めた頃、拠点としてラディッシュが建てた仮設テントに、
『今日も一日終わったしぃ~♪』
笑顔で帰って来たのはリンドウ。
続けて、
『ふぃ~やっと解放されたョぉ~』
男ばかりの現場から辟易顔で帰って来たのはゴゼン。
ヒレンも、
「なんで私が、埃まみれで仕事をしないといけないワケぇ~」
愚痴っぽく帰って来たが、その表情は口にした悪態と相反する充実が窺えた。
勇者組の面々も、
「「「「「「ただいまぁ~♪」」」」」」
続々と帰宅を果たす中、エプロン姿でお玉を手に、
『みんなぁお帰りぃお疲れ様ぁ♪ ご飯の用意が出来てるよぉ~♪』
笑顔で迎えるのはラディッシュ。
本人も復興作業を手伝っていない訳ではないが、家事を理由に、他のメンバーよりも早めに帰宅していたのであった。
天世の三人が加わっても変わらぬ「夕飯は全員揃って」の御約束。
食事をしながら今日あった出来事などを語り合う中、リンドウが気になる一言を発した。
決して重々しくではなく、雑談の一つと感じる程度の何の気なしで、
『中世の仕事ってぇ、ドコもぉこんなに忙しいのしぃ?』
「「「「「「「「「?」」」」」」」」」
「アーシはぁ少し急ぎ過ぎな感じがするのしぃ~♪」
ソレほどの仕事をこなせている自画自賛が透けて見える、ドヤを感じる笑顔の語り口に、仲間たちは「あはは」と笑い、彼女が感じた「急ぎ過ぎ」を誰一人として真剣に受け止める者は居なかった。
口にした、リンドウ本人でさえ。
しかし「第三者的な目」を持った新参者は時として「常態化してしまった異変」に、場慣れした従事者より先に気付ける事がある。
リンドウの気付きも「軽い冗談話」として流してしまったが、彼女が抱いた違和感は決して間違いでは無かった。
急ぎ過ぎにより生じたヒズミは、静かに、人知れず、しかしながら確実に歩みを寄せつつあった。
やがてソレは、唐突に牙を剝く。
最も歪みが蓄積された箇所に重篤な症状となって。
異変に気付いたのは、復興作業の現場監督。
好天に恵まれ、いつもと変わらぬ復興作業が進むさ中、彼は作業場を巡回し、
「ん?」
複数の作業音に交じる「ミリッミリッ」と言う、耳慣れぬ微かな音を聴いた。
(何の音だ?)
音を辿って見上げてみれば、そこは建設中の教会。
王都の新たなシンボルとして、復興のシンボルとして、人々の思いが籠った、威風堂々たる佇まいを見せ、ビルの高さ十階相当にあたる外壁工事の為に、高い足場が組まれていた。
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