553 / 706
第八章
8-35
しおりを挟む
王都フローレスを歩くラディッシュ達――
大仕事を成し遂げ歩く清々しい青空の下、女王フルールの御膝元の町を散策していたのだが、何故か一様に、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
戸惑い顔。
そんな「微妙な空気」に堪り兼ねたリンドウが、
『そぉ、そう言えばぁ、しぃ♪』
少々芝居がかった笑顔と口調で、
「あ、アーシたちはぁ休みをもらったけどぉ女王……じゃなかったしぃ、先生は何してるのしぃ?」
するとパストリスも微妙な笑顔で、
「り、リブロンさんとぉ、次回作の打ち合わせをしてるのでぇす~♪」
ラディッシュも、
「それが終わったら、国政に関する会議があるとも言ってたよぉ~♪」
「へ、へぇ~そっちの(女王としての)仕事もキチンとやってるしぃねぇ~♪ スゴイしぃねぇ~♪」
ぎこちない笑顔を見せ合い、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
会話が続かない。
するとリンドウが短いため息の後、
「ね、ねぇしぃ……」
改まった物言いで、
《アーシたちってばぁ、浮いてないしぃ?》
仲間たちの誰もが気にはしつつ、あえて口にしなかった一言を口にした。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
口にしてしまうと、本格的に気になってしまうから。
とは言え、どれほど素知らぬ顔を決め込もうとも、行き交う町の人々から向けられていた「好奇な視線」の数々は現実であり、
(((((((((やっぱり……)))))))))
自意識過剰として「自身の心を偽る」のには、無理があるのを悟った。
ギャルに、ロリに、幼女に、マッチョに、委員長系に、エトセトラと、多種多様な十人もの男女が集団で町を闊歩していれば、注目を集めるのは至極当然な結果なのである。
集まる視線に、元よりコミュ障の集まりでもある勇者組は特に落ち着かない様子で、
《目立ちたくナイ!》
居心地悪そうな顔して歩いていると、
(折角の休みだって言うのに!)
苛立ちが臨界を迎えたヒレンが、
『暗い顔して歩いてるんじゃないわよ!』
八つ当たりの如くに勇者組を叱責し、
「(素性はバレてないんだから)当然って顔して歩いてればイイのよ!」
鼻息荒く先陣切って歩き始め、ゴゼンとリンドウも、
「だョねぇ~♪」
「ムカつく言い方だけどぉそぉの通りしぃ♪」
後に続き、
「ムカつくとは何よ!」
「言葉の通りしぃ♪」
「なぁんですてぇ!」
「まぁまぁ、御二人さぁんョ♪」
何処までも強気な三つの背に、
「「「「「「「…………」」」」」」」
勇者組は自嘲気味に笑い合った。
周囲からの視線ばかり気にしていた自分たちを反省し。
すると肩のチカラが抜け、周りの「物音や会話」が耳に自然と届くようになり、
「なぁなぁ知ってるかぁ?」
「ん?」
「エルブ国の南にある田舎村に、リンドウ様をガチで真似したレイヤーが居て、王都エルブレスから人が押し寄せるほどの人気者らしいぞ!」
「へぇ~」
漏れ聞こえて来たのは女尊男卑が根深いこの町で珍しい、男達の声。
大仕事を成し遂げ歩く清々しい青空の下、女王フルールの御膝元の町を散策していたのだが、何故か一様に、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
戸惑い顔。
そんな「微妙な空気」に堪り兼ねたリンドウが、
『そぉ、そう言えばぁ、しぃ♪』
少々芝居がかった笑顔と口調で、
「あ、アーシたちはぁ休みをもらったけどぉ女王……じゃなかったしぃ、先生は何してるのしぃ?」
するとパストリスも微妙な笑顔で、
「り、リブロンさんとぉ、次回作の打ち合わせをしてるのでぇす~♪」
ラディッシュも、
「それが終わったら、国政に関する会議があるとも言ってたよぉ~♪」
「へ、へぇ~そっちの(女王としての)仕事もキチンとやってるしぃねぇ~♪ スゴイしぃねぇ~♪」
ぎこちない笑顔を見せ合い、
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
会話が続かない。
するとリンドウが短いため息の後、
「ね、ねぇしぃ……」
改まった物言いで、
《アーシたちってばぁ、浮いてないしぃ?》
仲間たちの誰もが気にはしつつ、あえて口にしなかった一言を口にした。
「「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」」
口にしてしまうと、本格的に気になってしまうから。
とは言え、どれほど素知らぬ顔を決め込もうとも、行き交う町の人々から向けられていた「好奇な視線」の数々は現実であり、
(((((((((やっぱり……)))))))))
自意識過剰として「自身の心を偽る」のには、無理があるのを悟った。
ギャルに、ロリに、幼女に、マッチョに、委員長系に、エトセトラと、多種多様な十人もの男女が集団で町を闊歩していれば、注目を集めるのは至極当然な結果なのである。
集まる視線に、元よりコミュ障の集まりでもある勇者組は特に落ち着かない様子で、
《目立ちたくナイ!》
居心地悪そうな顔して歩いていると、
(折角の休みだって言うのに!)
苛立ちが臨界を迎えたヒレンが、
『暗い顔して歩いてるんじゃないわよ!』
八つ当たりの如くに勇者組を叱責し、
「(素性はバレてないんだから)当然って顔して歩いてればイイのよ!」
鼻息荒く先陣切って歩き始め、ゴゼンとリンドウも、
「だョねぇ~♪」
「ムカつく言い方だけどぉそぉの通りしぃ♪」
後に続き、
「ムカつくとは何よ!」
「言葉の通りしぃ♪」
「なぁんですてぇ!」
「まぁまぁ、御二人さぁんョ♪」
何処までも強気な三つの背に、
「「「「「「「…………」」」」」」」
勇者組は自嘲気味に笑い合った。
周囲からの視線ばかり気にしていた自分たちを反省し。
すると肩のチカラが抜け、周りの「物音や会話」が耳に自然と届くようになり、
「なぁなぁ知ってるかぁ?」
「ん?」
「エルブ国の南にある田舎村に、リンドウ様をガチで真似したレイヤーが居て、王都エルブレスから人が押し寄せるほどの人気者らしいぞ!」
「へぇ~」
漏れ聞こえて来たのは女尊男卑が根深いこの町で珍しい、男達の声。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
美しい姉と痩せこけた妹
サイコちゃん
ファンタジー
若き公爵は虐待を受けた姉妹を引き取ることにした。やがて訪れたのは美しい姉と痩せこけた妹だった。姉が夢中でケーキを食べる中、妹はそれがケーキだと分からない。姉がドレスのプレゼントに喜ぶ中、妹はそれがドレスだと分からない。公爵はあまりに差のある姉妹に疑念を抱いた――
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる