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第八章

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 ピリピリとし始めた空気を打ち払う、ラディッシュの癒しの声に天世の三人が振り返ると、彼はニコやかに、

「だってさぁ、村での「リンドウさんの人気」を思い出してよ♪」
「「「!」」」

 ハッとする天世組に、ドロプウォートたち勇者組も、

「ですわねぇ。名前どころか容姿まで天世人でしたのに、村を、村人たちを、席巻してましたわ♪」
「でぇすでぇすねぇ♪」
「スゴかったなぉ♪ リンドぉぇちゃん「すーぱーあいどぉる」だったなぉ♪」

 向けられた笑顔の数々に、
(でも……)
 それでも生真面目ヒレンが一歩を踏み出せずに居ると、

『ヒレンってばぁ、昔っからぁ深く考えすぎなんしぃ♪』
「!?」

 早々柔軟に気持ちを切り替えたリンドウが背中を押し、
「…………」
 物言いたげに振り向いた彼女にゴゼンも、

「天世の悪評なんてぇ俺らの名前で、存在で、書き変えちまえばイイのさぁ~ん♪」

 軽いノリに聞こえる言葉で背中を押し、
(アンタ達……)
 感動を覚えるヒレンであったが、そんな彼女を横目にリンドウがすかさず、

「どの口が言うしぃ、ゴゼぇン! ナンパでぇ「中世の女子」に迷惑かけまくってぇ評判下げてる張本人がよく言うしぃ!」

 ツッコミを入れた。
 しかし、

「素性は隠してるんだからぁ、ダイジョウブぅだよぉん♪」
「そう言う問題じゃナイしぃ!」

 悩んでいたのが馬鹿らしく思えて来る言い合いを目の当たりに、
(コイツらってばぁ♪)
 二人なりの気遣いであるのを察したヒレンは人知れず小さく笑うと、

『その話に乗ったわ♪』
「「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」」

 驚く一同を前に不敵な笑み見せ、
「アタシ達の名前で、存在で、悪評をひっくり返してやるわ」
 中世に降りた二人と、三者三様に笑い合った。
 すると、

『ならば、どぅでゴザろぅ!』

 同人誌作家モードの女王フルールがパストリスとヒレンを両脇に抱きかかえ、
「「?」」
 キョトンとした二つの顔に、

「筋の良い二人はこれを機に、小生の「専属アシスタント」になる気はないでゴザらぬか?」
『『!』』

 驚く二人以上に仰天したのは仲間たち。
 慌てて話に割って入ろうとしたが、二人は先んじて、

「「嬉しい申し出(なのでぇすけど・なんですが)……」」

 互いの想いを目線で確認し合うと、抱きかかえるフルールに、

「今は、中世の人の為に」
「今は、天世の民の為に」

 二人は声を揃え、

「「尽力しないといけない時なの(でぇすぅ・だわ)」」

 その決意に、
(意志を試すまでも無かったでぇありんすなぁ……)
 女王は自嘲気味に小さく笑い、

「フラれてしまったでゴザルなぁ~リブロンやぁ♪」

 傍らで呆れ笑う彼女に笑い掛けながらも、
「しかし……」
 二人をチラと見据え、

「しかし「今は」と言う言葉に、期待しているでゴザルよぉ~♪」

 含みを持たせた笑みを見せ、
「「あははは……」」
 笑ってお茶を濁すパストリスとヒレンであった。

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