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第七章

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 村にいったん戻った勇者組――

 とある一軒の食堂で、
「「「「「「「…………」」」」」」」
 怪訝な顔してサロワートとテーブルを囲む中、

『地世の世界はどうだったぁ♪ 意外と、中世と遜色無いでしょ♪』

 両眼をつぶった満面の笑顔で、
「あ! でも凶悪な野生動物が出ない分、中世より過ごし易かったんじゃないかなぁ♪ 気候も安定してるしぃ♪」
 地世の魅力を前のめりで、余すところ無く語ってみせようとしているのは、地世王プエラリア。
 しかし、

「「「「「「「…………」」」」」」」

 警戒心を、むしろ先より強めたラディッシュ達。
 真偽不明であるが「ラミウムに選ばれた」と言い、信頼するサロワートの忠言を目の前で、あからさまに無視したから。

 勇者組の頑なな姿に、
「ヤレヤレ困ったなぁ~♪」
 両目をつぶったままのプエラリアは困ったようには見えない笑顔で、
「そんなに警戒しなくてイイのになぁ♪」
 見えているかの如くに笑い掛けながら、

「ボクは単に話をしたかったダケなんだよ♪ それも前々からね♪ そうそう♪ 因みにボク達の席の周りの空間には「空気を振動させない膜」みたいな物を張ったから、会話を聞かれる心配もないからね♪ だから叫んだりすると「変人に見える」から気を付けてね♪」

 饒舌に、どこまでも上機嫌。
 よほど嬉しいと見える屈託ない笑顔に、ラディッシュは「それならば」と意を決し、

「そ、それなら魔王さま、」
「プエラリアでイイよ♪」

 食い気味に呈され、
「え?! で、でも……」
 躊躇いを覚えると、

「ヘンに律儀な所まで、キミはボクにそっくりだねぇ♪」

 魔王プエラリアはクスクス笑い、

『そうだ♪』

 笑顔の気付きを以て、
「今日と言う日を記念して、ボクの事は「プエラ」と呼んでよ♪ モチロン「さん付けも無し」だよ♪ キミの事も「ラディ」って呼ぶから♪」
「う、うん……」
 気圧され、少々渋々で頷くラディッシュ。

(な、なんか、思ってよりずっと話し易い人だな……)

 描いていたイメージとのギャップに戸惑い、
(性別不明だし、どう接して良いかも、分らないけど……)
 それは仲間たちも抱いた戸惑いであった。
 しかし、そんな勇者組にあって、

((…………))

 他の仲間たちとは「一味違った角度の熱視線」を魔王に注ぐは、ニプルウォートとカドウィード。
(「ショタ」さぁ?!)
(げにぃ「ロリ」でありぃんしょ?!)
 二人は「地世を統べる王」を相手に、失礼な分析を密かにし合っていた。

 一方、その様な「邪な視線」を気にする風も無いプエラリア。
 熱心に話し掛けていたラディッシュがやっと口を開いてくれた事で、満面を増した花でも咲きそうな笑顔で以て畳み掛けるように、

『それでねぇラディ♪』

 水を得た魚のように、立て板に水の如くに話が溢れ出て、圧倒されっ放しのラディッシュは、
「う、うん、そっ、そうだねぇ」
 引きつり気味の笑顔ながらも何とか話を切り返えそうと、

「そっ、それで「さっきの話」なんだけどぉ」
「さっきの?」
「う、うん。ぼ、僕と一緒で「ラミィに選ばれた」って」

 するとプエラリアは少し驚いたような笑顔で「意外だなぁ♪」とヒト笑い。
(何が「意外」なんだろ……?)
 話が見えない様子のラディッシュに、

「ハクサンは、何も話さなかったんだぁ♪」
「はっ、ハクさぁん?!」

 久しい名前に、何処か郷愁にも似た懐かしさを覚えつつ、
「ハクさんは、その……ラミィに嫌がらせをして、序列一位から「引きずり下ろした」としか……」
 困惑しながら答えると、プエラリアは愉快気に「ふふっ」と短く笑い、

「それ、ボクだよ♪」
「え?」
「そもそもの原因を作ったのは、このボクなんだよぉ♪」
「そ、それって、どう言う?」

 混乱のさ中、

『やはり、そうでしたのですわねぇ!』

 気付きの声を上げたのはドロプウォート。

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