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第七章

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 地世の七草フリンジの巧みな「物言い」と「立ち振る舞い」は中世の七草それぞれに、咄嗟の「懸念と躊躇い」を抱かせるに十分であり、

「「「「「「「!」」」」」」」

 足並みは彼の目算通り乱されてしまったが、

(それでも!)

 ラディッシュ達はなりふり構わず立ち向かって行こうとした。
 するとフリンジは望郷するかの如くに空を見上げて染み染みと、

「そう言えばキミ達が訪れた村々は「実に良い村ばかり」でしたねぇ~」
「「「「「「「ッ!」」」」」」」

 不穏な気配に勇者組が足を止めるが先か、目の焦点すらうつろであったサロワートが瞬時に正気を取り戻して血相を変え、

『村に何をしたのぉフリンジィ! 答えなさァい!』

 顔を上げて激しく激昂。
 怒髪冠を衝くが如き形相で睨み付けたが、彼は平静に、
「はぁ~」
 あからさまな「小馬鹿にしたため息」を一つ吐くと淡々と、

「キミは、いつも失敬ですね。当方が「キミの裏切り行為」などに怒り、猛り、自制心を欠き、稚拙で野蛮な行為に出る訳がないではないですか」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」

 話を頭から信用せず怪訝な顔で見つめる八人を、両目をつぶったままの彼は無表情で見据え、

「まぁ、もっとも「今はまだ」と、付け加えておきますが」
「「「「「「「「?!」」」」」」」」
「おやおや、分かりませんか?」

『『『『『『『『!』』』』』』』』

 それは、
《大人しく投降しなければ何が起きてもおかしくない》
 遠回しな脅迫。

 本来は守るべき存在である自国民を「自衛の盾」に利用した、卑劣な脅しであり「サロワートの懸念」が現実となった瞬間でもあった。
 しかし自ら懸念を語っておきながら、

(意外ね……アタシは心の何処かで、まだアレ(フリンジ)を仲間として信じていたのね……)

 落胆を感じるサロワート。
 本人的にも驚きであった「僅かばかり残っていた信頼」さえ裏切られた思いに駆られ、

『地世の七草にありながら「守るべき民」を人質にするなんてぇ恥を知りなさいフリンジィ!』

 怒りに打ち震えたが彼はただただ淡々と、
「はぁん」
 彼女の論を鼻先で笑い飛ばし、

「勇者者一行の助力をした村など「守る価値も」ありませんよ」
『なっ?!』

 慄くサロワートやラディッシュ達に間髪入れず、

「「知らない」は通用しません」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
「これは「何も知らない無垢なる民」を巻き込んだ、「キミ達の罪」なのですから」
「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」

 フリンジは神経質そうな面立ちに不快感を抱かせる笑みを浮かべ、

「さぁ、どうします?」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」

 悔し気に黙る八人を前に、
「決心がつかないと言うのでしたら、そうですね~森の中に控えさせている「当方の私設部隊」を、一先ずは「そこの村」に突入させましょうか」
 ラディッシュ達が先程まで滞在していた村の方を平静に指差し、

『こっ、このぉゲスがぁ!!!』

 怒り露にするサロワートに、
「相変わらず「品の無い物言い」ですね、サロワート。キミの思慮の底が知れますよ?」
 村人たちの「命の灯(ともしび)」が、自分たちの「振る舞い次第」と改めて知らされ、

「クッ!」

 ラディッシュ達と共に、堪え切れぬ怒りに奥歯を噛みしめた。
 卑劣漢とは言え、攻撃を迂闊に加える事は許されない。
「「「「「「「…………」」」」」」」
 中世の勇者でありながら「地世の民を守る決断」を迫られるラディッシュ達。

(僕たちはどうしたらイイんだ!)

 まさに絶体絶命のさ中、

≪民に手を出そうとするなんて、フリンジくんは本当に「困った子」だねぇ~♪≫

 何処からともなく呆れを交えた笑い声が。
(((((((?!)))))))
 勇者組には「その声の主」が分からなかったが、フリンジは一瞬にして理解した様子で即座に、その場に跪いて目線を伏し、一方のサロワートは、

「そっ、そんな……」

 驚愕の表情で後退り。
 聞こえて来た「穏やかな声」と反する彼女の慄きに、
「ど、どうしたのサロワ?! この声はいったい、」
 ラディッシュ達が「何者か」と問うより先、

『こんにちは♪ 今の時代の七草くん♪』
「「「「「「「!」」」」」」」

 いつの間、小柄な人物が目の前に。
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