513 / 706
第七章
7-48
しおりを挟む
地世の七草フリンジの巧みな「物言い」と「立ち振る舞い」は中世の七草それぞれに、咄嗟の「懸念と躊躇い」を抱かせるに十分であり、
「「「「「「「!」」」」」」」
足並みは彼の目算通り乱されてしまったが、
(それでも!)
ラディッシュ達はなりふり構わず立ち向かって行こうとした。
するとフリンジは望郷するかの如くに空を見上げて染み染みと、
「そう言えばキミ達が訪れた村々は「実に良い村ばかり」でしたねぇ~」
「「「「「「「ッ!」」」」」」」
不穏な気配に勇者組が足を止めるが先か、目の焦点すらうつろであったサロワートが瞬時に正気を取り戻して血相を変え、
『村に何をしたのぉフリンジィ! 答えなさァい!』
顔を上げて激しく激昂。
怒髪冠を衝くが如き形相で睨み付けたが、彼は平静に、
「はぁ~」
あからさまな「小馬鹿にしたため息」を一つ吐くと淡々と、
「キミは、いつも失敬ですね。当方が「キミの裏切り行為」などに怒り、猛り、自制心を欠き、稚拙で野蛮な行為に出る訳がないではないですか」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
話を頭から信用せず怪訝な顔で見つめる八人を、両目をつぶったままの彼は無表情で見据え、
「まぁ、もっとも「今はまだ」と、付け加えておきますが」
「「「「「「「「?!」」」」」」」」
「おやおや、分かりませんか?」
『『『『『『『『!』』』』』』』』
それは、
《大人しく投降しなければ何が起きてもおかしくない》
遠回しな脅迫。
本来は守るべき存在である自国民を「自衛の盾」に利用した、卑劣な脅しであり「サロワートの懸念」が現実となった瞬間でもあった。
しかし自ら懸念を語っておきながら、
(意外ね……アタシは心の何処かで、まだアレ(フリンジ)を仲間として信じていたのね……)
落胆を感じるサロワート。
本人的にも驚きであった「僅かばかり残っていた信頼」さえ裏切られた思いに駆られ、
『地世の七草にありながら「守るべき民」を人質にするなんてぇ恥を知りなさいフリンジィ!』
怒りに打ち震えたが彼はただただ淡々と、
「はぁん」
彼女の論を鼻先で笑い飛ばし、
「勇者者一行の助力をした村など「守る価値も」ありませんよ」
『なっ?!』
慄くサロワートやラディッシュ達に間髪入れず、
「「知らない」は通用しません」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
「これは「何も知らない無垢なる民」を巻き込んだ、「キミ達の罪」なのですから」
「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」
フリンジは神経質そうな面立ちに不快感を抱かせる笑みを浮かべ、
「さぁ、どうします?」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
悔し気に黙る八人を前に、
「決心がつかないと言うのでしたら、そうですね~森の中に控えさせている「当方の私設部隊」を、一先ずは「そこの村」に突入させましょうか」
ラディッシュ達が先程まで滞在していた村の方を平静に指差し、
『こっ、このぉゲスがぁ!!!』
怒り露にするサロワートに、
「相変わらず「品の無い物言い」ですね、サロワート。キミの思慮の底が知れますよ?」
村人たちの「命の灯(ともしび)」が、自分たちの「振る舞い次第」と改めて知らされ、
「クッ!」
ラディッシュ達と共に、堪え切れぬ怒りに奥歯を噛みしめた。
卑劣漢とは言え、攻撃を迂闊に加える事は許されない。
「「「「「「「…………」」」」」」」
中世の勇者でありながら「地世の民を守る決断」を迫られるラディッシュ達。
(僕たちはどうしたらイイんだ!)
まさに絶体絶命のさ中、
≪民に手を出そうとするなんて、フリンジくんは本当に「困った子」だねぇ~♪≫
何処からともなく呆れを交えた笑い声が。
(((((((?!)))))))
勇者組には「その声の主」が分からなかったが、フリンジは一瞬にして理解した様子で即座に、その場に跪いて目線を伏し、一方のサロワートは、
「そっ、そんな……」
驚愕の表情で後退り。
聞こえて来た「穏やかな声」と反する彼女の慄きに、
「ど、どうしたのサロワ?! この声はいったい、」
ラディッシュ達が「何者か」と問うより先、
『こんにちは♪ 今の時代の七草くん♪』
「「「「「「「!」」」」」」」
いつの間、小柄な人物が目の前に。
「「「「「「「!」」」」」」」
足並みは彼の目算通り乱されてしまったが、
(それでも!)
ラディッシュ達はなりふり構わず立ち向かって行こうとした。
するとフリンジは望郷するかの如くに空を見上げて染み染みと、
「そう言えばキミ達が訪れた村々は「実に良い村ばかり」でしたねぇ~」
「「「「「「「ッ!」」」」」」」
不穏な気配に勇者組が足を止めるが先か、目の焦点すらうつろであったサロワートが瞬時に正気を取り戻して血相を変え、
『村に何をしたのぉフリンジィ! 答えなさァい!』
顔を上げて激しく激昂。
怒髪冠を衝くが如き形相で睨み付けたが、彼は平静に、
「はぁ~」
あからさまな「小馬鹿にしたため息」を一つ吐くと淡々と、
「キミは、いつも失敬ですね。当方が「キミの裏切り行為」などに怒り、猛り、自制心を欠き、稚拙で野蛮な行為に出る訳がないではないですか」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
話を頭から信用せず怪訝な顔で見つめる八人を、両目をつぶったままの彼は無表情で見据え、
「まぁ、もっとも「今はまだ」と、付け加えておきますが」
「「「「「「「「?!」」」」」」」」
「おやおや、分かりませんか?」
『『『『『『『『!』』』』』』』』
それは、
《大人しく投降しなければ何が起きてもおかしくない》
遠回しな脅迫。
本来は守るべき存在である自国民を「自衛の盾」に利用した、卑劣な脅しであり「サロワートの懸念」が現実となった瞬間でもあった。
しかし自ら懸念を語っておきながら、
(意外ね……アタシは心の何処かで、まだアレ(フリンジ)を仲間として信じていたのね……)
落胆を感じるサロワート。
本人的にも驚きであった「僅かばかり残っていた信頼」さえ裏切られた思いに駆られ、
『地世の七草にありながら「守るべき民」を人質にするなんてぇ恥を知りなさいフリンジィ!』
怒りに打ち震えたが彼はただただ淡々と、
「はぁん」
彼女の論を鼻先で笑い飛ばし、
「勇者者一行の助力をした村など「守る価値も」ありませんよ」
『なっ?!』
慄くサロワートやラディッシュ達に間髪入れず、
「「知らない」は通用しません」
「「「「「「「「!?」」」」」」」」
「これは「何も知らない無垢なる民」を巻き込んだ、「キミ達の罪」なのですから」
「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」
フリンジは神経質そうな面立ちに不快感を抱かせる笑みを浮かべ、
「さぁ、どうします?」
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
悔し気に黙る八人を前に、
「決心がつかないと言うのでしたら、そうですね~森の中に控えさせている「当方の私設部隊」を、一先ずは「そこの村」に突入させましょうか」
ラディッシュ達が先程まで滞在していた村の方を平静に指差し、
『こっ、このぉゲスがぁ!!!』
怒り露にするサロワートに、
「相変わらず「品の無い物言い」ですね、サロワート。キミの思慮の底が知れますよ?」
村人たちの「命の灯(ともしび)」が、自分たちの「振る舞い次第」と改めて知らされ、
「クッ!」
ラディッシュ達と共に、堪え切れぬ怒りに奥歯を噛みしめた。
卑劣漢とは言え、攻撃を迂闊に加える事は許されない。
「「「「「「「…………」」」」」」」
中世の勇者でありながら「地世の民を守る決断」を迫られるラディッシュ達。
(僕たちはどうしたらイイんだ!)
まさに絶体絶命のさ中、
≪民に手を出そうとするなんて、フリンジくんは本当に「困った子」だねぇ~♪≫
何処からともなく呆れを交えた笑い声が。
(((((((?!)))))))
勇者組には「その声の主」が分からなかったが、フリンジは一瞬にして理解した様子で即座に、その場に跪いて目線を伏し、一方のサロワートは、
「そっ、そんな……」
驚愕の表情で後退り。
聞こえて来た「穏やかな声」と反する彼女の慄きに、
「ど、どうしたのサロワ?! この声はいったい、」
ラディッシュ達が「何者か」と問うより先、
『こんにちは♪ 今の時代の七草くん♪』
「「「「「「「!」」」」」」」
いつの間、小柄な人物が目の前に。
0
お気に入りに追加
47
あなたにおすすめの小説
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
冷宮の人形姫
りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。
幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。
※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。
※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので)
そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。
下げ渡された婚約者
相生紗季
ファンタジー
マグナリード王家第三王子のアルフレッドは、優秀な兄と姉のおかげで、政務に干渉することなく気ままに過ごしていた。
しかしある日、第一王子である兄が言った。
「ルイーザとの婚約を破棄する」
愛する人を見つけた兄は、政治のために決められた許嫁との婚約を破棄したいらしい。
「あのルイーザが受け入れたのか?」
「代わりの婿を用意するならという条件付きで」
「代わり?」
「お前だ、アルフレッド!」
おさがりの婚約者なんて聞いてない!
しかもルイーザは誰もが畏れる冷酷な侯爵令嬢。
アルフレッドが怯えながらもルイーザのもとへと訪ねると、彼女は氷のような瞳から――涙をこぼした。
「あいつは、僕たちのことなんかどうでもいいんだ」
「ふたりで見返そう――あいつから王位を奪うんだ」
伯爵家の次男に転生しましたが、10歳で当主になってしまいました
竹桜
ファンタジー
自動運転の試験車両に轢かれて、死んでしまった主人公は異世界のランガン伯爵家の次男に転生した。
転生後の生活は順調そのものだった。
だが、プライドだけ高い兄が愚かな行為をしてしまった。
その結果、主人公の両親は当主の座を追われ、主人公が10歳で当主になってしまった。
これは10歳で当主になってしまった者の物語だ。
辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~
Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。
辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。
しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。
他作品の詳細はこちら:
『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】
『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】
『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』
【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる