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第七章

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 それから数日――

 ラディッシュ達勇者組はサロワートの「謎の術の導き」で行き先を決め、幾つかの村を回ったが、術の御蔭かたまたまか、魔王軍である「地世の七草」から襲撃を受ける事は無く、汚染獣と呼ぶべき「狂暴な獣」に遭遇する事も無く、安穏と目にした地世の村々は一様に「中世の村々」と変わりない、むしろ慎ましやかな暮らしを送っているように見え、

「「「「「「「…………」」」」」」」

 訪れた村が十を超えた辺りで前を行くサロワートが、

『地世の人達の暮らしはどう? アンタ達には、どう見えた?』

 笑顔で問われた天世人でもある「中世の勇者ラディッシュ」は歯切れ悪く、
「う、うん……少なくとも天世の人が言う「堕落した人達」には、その……とても見えなかった、よ……」
 複雑な表情で答えると、サロワートは「ふふん♪」と一笑い。
 ターナップにもあえて目を留め、

「天世の司祭様は、どう思ったワケぇ?」

 からかいを込めた呼称に、

「うっせぇよ」

 ターナップは反発を見せ「皆まで訊くんじゃねぇ」とまで言い返しながらも、
「…………」
 バツが悪そうに、

「そ、その……なんだ……ラディの兄貴の言う通りだ……お、俺だって正直、戸惑ってんだ……「天世の教え」と「目にした現実」の違いに……」

 困惑顔で本音を打ち明けると、

「正直で結構な事だわ♪」

 彼女は満足げな笑みを見せつつ、
(頃合いね)
 何かしらの区切りを感じ、
(少し寂しい気もするけど……)
 かなり寂しい本音を「少し寂しい」ではぐらかし、ラディッシュやターナップと同じ顔して考え入(い)る勇者組を見回すと、極力の自然な笑顔で以て、

「次の村で終わりにするわ♪」
「「「「「「「!」」」」」」」

 驚くと同時、

(((((((さいご……)))))))

 心が曇るラディッシュ達。
 知りたい事は、まだまだ色々あった。

 地世とは、そもそも何なのか?
 魔王とは?
 地世の七草とは?
 地世に連れ去られた人々はどうなったのか?

 数え上げたらきりが無く、そして何より、
(((((((…………)))))))
 寂しかった。
 心を通わせた彼女との別れの、確かな近づきが。

 しかしサロワートは気丈にも、
「あの変態(フリンジ)も「腐っても七草の一人」よ。腹立たしいけど、アレの追跡術から逃れ続ける事は不可能よ。そして何より、何も知らない地世の人々を危険に晒し続ける訳にはいかないわ」
「「「「「「「…………」」」」」」」
 黙する七人。

 彼女の言う通りだからである。
(いつまでもの「運頼み」で自分たちの我(が)を押し通して、地世で平穏に暮らす人達の日常を脅かす訳にはいかない!)
 ラディッシュ達の様子から、

「理解してくれたみたいね♪」

 了承を得たと知るサロワート。
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