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第六章
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遅めの昼食と片づけを済ませて一息吐いた後――
ドロプウォートが改まった様子で、
「さぁて」
チィックウィードを傍らに残して立ち上がり、イリスの下に歩み寄ると、
「イリィ、少々お話がありますの。ちょっとお付き合い願えます?」
その真剣な眼差しに、
((((!!!))))
ついに「その時が来た」と思う女子組と、そろそろ誘いが来ると思って居た素振りで、
「あぁ構わないさぁね」
二言返事で立ち上がるイリス。
「ラディ、悪りぃが、ちょっと二人で席を外すよ」
「え?! う、うん……」
ラディッシュが不安げな顔をすると、ドロプウォートがすかさず「心配するな」とでも言いたげに、
「二人だけではありませんわ」
「へ? そぅなのぉかぁい?」
意外そうな顔をする彼女を横目に、
「ニプル、パスト、カディ、貴方たちも来て下さる?」
「「「…………」」」
恋敵としての「決着の時」を感じた三人も無言で立ち上がると、当然、
『チィもぉ!』
チィックウィードも手を挙げ立ち上がったが、ニプルウォートは皮肉を交えたからかい笑いで、
「もう少しぃ「チチとケツ」がデカくなったらなぁ~♪」
「むぅうぅ!」
ムクレっ面する彼女をニッと笑い、
「ほいじゃぁ「大人の女同士」で行こうかねぇ~♪」
軽口を叩いて森の奥へと歩き始めたが、その心の内では、
(悪りぃねぇ、チィ。女同士のケリのつけ合い。子供にゃぁ、ちょいと見せたく無いのさぁ)
同じ気持ちの女子四人も無言で後に続き、残された男子二人と、仏頂面した幼子一人は、
「「「…………」」」
訳も分からず、黙って見送るしかなかった。
ただならぬ気配であるのは感じて。
「だ、大丈夫……だよねぇ?」
自らに言い聞かせるような問いを漏らした一方で、ターナップはさほど心配していない口振りで、
「まぁ、腹が減ったら帰って来るんじゃないスかねぇ?」
(そんな犬、猫じゃあるまいし……)
不安を募らせる彼を横目に「絶賛ヘソ曲げ中」のチィックウィードの傍らに屈むと、
「なぁチィ坊、ただ待ってるのヒマだろぅ? オレと何かして遊ぶかぁ♪」
宥めすかして御機嫌取りをしていた頃、元居た場所から「十分な距離を確保出来た」と判断したニプルウォートは足を止め、
「…………」
やおら振り返り、
「ここならどぅさ、ドロプ? これだけ離れて視界も木で遮られてりぁ?」
余談許さぬ空気を纏った物言いに、ドロプウォートも硬い表情で足を止め、
「えぇ、良いですわ」
改めて、真剣な眼差しでイリスを見据え、
「イリィ」
「おぅさ」
彼女も動じる様子も無く、真っ直ぐ見返したが、腹の中では、
(あんなぁ飯しか取り柄の腰抜け勇者の、「何」が、「そんなに」イイのかねぇ?)
この集まりに「茶番」を感じていた。
しかし、その一方で、
「「「「…………」」」」
決着の覚悟を以て、この場に立つ他の女子達。
張り詰めた空気の中、ドロプウォートが凛とした表情で、
『フルールに着く前に、ハッキリさせておきたい事があるのですわ』
女子会が緊張感に包まれていた頃、荷馬車では「ぬいぐるみ」を手にしたターナップが、
『チガウなぉ! タープぅは、ぜぇんぜぇんわかってナイなぉ!』
チィックウィードから、何かしらの「厳しいお説教」を受ける真っ最中。
(オレぁ何でぇこんな事になっちまったんだぁ~?!)
心の中で嘆く彼は事の起こりを思い返し、後悔と言う名の「困惑顔」をした。
ドロプウォートが改まった様子で、
「さぁて」
チィックウィードを傍らに残して立ち上がり、イリスの下に歩み寄ると、
「イリィ、少々お話がありますの。ちょっとお付き合い願えます?」
その真剣な眼差しに、
((((!!!))))
ついに「その時が来た」と思う女子組と、そろそろ誘いが来ると思って居た素振りで、
「あぁ構わないさぁね」
二言返事で立ち上がるイリス。
「ラディ、悪りぃが、ちょっと二人で席を外すよ」
「え?! う、うん……」
ラディッシュが不安げな顔をすると、ドロプウォートがすかさず「心配するな」とでも言いたげに、
「二人だけではありませんわ」
「へ? そぅなのぉかぁい?」
意外そうな顔をする彼女を横目に、
「ニプル、パスト、カディ、貴方たちも来て下さる?」
「「「…………」」」
恋敵としての「決着の時」を感じた三人も無言で立ち上がると、当然、
『チィもぉ!』
チィックウィードも手を挙げ立ち上がったが、ニプルウォートは皮肉を交えたからかい笑いで、
「もう少しぃ「チチとケツ」がデカくなったらなぁ~♪」
「むぅうぅ!」
ムクレっ面する彼女をニッと笑い、
「ほいじゃぁ「大人の女同士」で行こうかねぇ~♪」
軽口を叩いて森の奥へと歩き始めたが、その心の内では、
(悪りぃねぇ、チィ。女同士のケリのつけ合い。子供にゃぁ、ちょいと見せたく無いのさぁ)
同じ気持ちの女子四人も無言で後に続き、残された男子二人と、仏頂面した幼子一人は、
「「「…………」」」
訳も分からず、黙って見送るしかなかった。
ただならぬ気配であるのは感じて。
「だ、大丈夫……だよねぇ?」
自らに言い聞かせるような問いを漏らした一方で、ターナップはさほど心配していない口振りで、
「まぁ、腹が減ったら帰って来るんじゃないスかねぇ?」
(そんな犬、猫じゃあるまいし……)
不安を募らせる彼を横目に「絶賛ヘソ曲げ中」のチィックウィードの傍らに屈むと、
「なぁチィ坊、ただ待ってるのヒマだろぅ? オレと何かして遊ぶかぁ♪」
宥めすかして御機嫌取りをしていた頃、元居た場所から「十分な距離を確保出来た」と判断したニプルウォートは足を止め、
「…………」
やおら振り返り、
「ここならどぅさ、ドロプ? これだけ離れて視界も木で遮られてりぁ?」
余談許さぬ空気を纏った物言いに、ドロプウォートも硬い表情で足を止め、
「えぇ、良いですわ」
改めて、真剣な眼差しでイリスを見据え、
「イリィ」
「おぅさ」
彼女も動じる様子も無く、真っ直ぐ見返したが、腹の中では、
(あんなぁ飯しか取り柄の腰抜け勇者の、「何」が、「そんなに」イイのかねぇ?)
この集まりに「茶番」を感じていた。
しかし、その一方で、
「「「「…………」」」」
決着の覚悟を以て、この場に立つ他の女子達。
張り詰めた空気の中、ドロプウォートが凛とした表情で、
『フルールに着く前に、ハッキリさせておきたい事があるのですわ』
女子会が緊張感に包まれていた頃、荷馬車では「ぬいぐるみ」を手にしたターナップが、
『チガウなぉ! タープぅは、ぜぇんぜぇんわかってナイなぉ!』
チィックウィードから、何かしらの「厳しいお説教」を受ける真っ最中。
(オレぁ何でぇこんな事になっちまったんだぁ~?!)
心の中で嘆く彼は事の起こりを思い返し、後悔と言う名の「困惑顔」をした。
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