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第二章
2-24
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数日後――
村の北門に集まる多くの村人たち。
その視線の先には、旅支度を整えたラディッシュ、ドロプウォート、パストリス、ターナップ、ニプル、そしてハクサンの姿が。
それぞれ思いを胸に、村人たちからの励ましと、別れを惜しむ声に、
「「「「「行って来まぁす!」」」」」
背を向け、秋晴れの下を歩き始めた。
目指すは、ハクサンの強い勧めでフルール国。
北上するが故に、一旦ドロプウォートの故郷であるエルブ城を目指すルートも視野に入れていたが、ハクサンから「ラディッシュへの侵蝕がいつ始まるか分からない」との異論が上がり、直線で目指す事となった。
そんな中、初の「異国への旅」と言う事もあり、何が起きるか分からない道中、楽しみでありながらも、緊張を禁じ得ないラディッシュとターナップの男子二人であったが、妙に足取り軽やかに前を歩くのはドロプウォート、パストリス、ニプルの女子三人。
特にニプルは「フルール国行き」を提示された当初、苦い経験を多々持つ母国への帰国に難色を示していたのだが。
理由は分かり切っていた。
フルール国が中世における『同人発祥の地』であり、手持ちの本に「推しの作家の直筆」を貰える可能性があるのが分かったから。
いわゆる「サイン会」があるのを、書店(同人誌店)の「例の店主」から聞かされたのである。
意気揚々な女子三人。
足早に目的地を目指す三つの背に、
「な、なぁんでぇ、彼女たちはぁ、なぁんでぇ、あんなに元気なのさぁ」
息も絶え絶えな声を上げたのは、ハクサン。
オーバーペースに、既に少々お疲れモード。
嘆くようにボヤく彼に、男子二人は、
((同人誌を「楽しみにしてる」なんて……))
理由を話してしまった後の、女子三人の「羞恥の激怒」を想像し、
(言え(ないよ・る訳がねぇ)……))
「「さ、さぁ?」」
笑って誤魔化すので精一杯であり、ラディッシュは話の矛先を変えようと、
「そ、そう言えばぁ、ハクサンさんて、」
「「ハク」で、構わないよ♪」
「え?」
ハクサンは笑顔で話を遮り、
「ハクサンサンって、何だか、何かが空から降って来てるみたいでヘンだし、よそよそしくされるのも好きじゃないんだよ」
「で、でも「ハクさん」って、何か呼び捨てに聞こえてマズイんじゃ……」
躊躇いを見せると、
「言い方なんてぇ関係ないさぁ。気持ちの問題さぁ~」
普通レベルのイケメンスマイルをキラリと見せ、すかさずターナップが、
「話せるねぇ序列一位ぃ♪ じゃあ俺も、」
「あ、キミはダメ」
「んでだよ!」
「暑苦しいから」
「んだとぉ!」
憤慨に、ハクサンは愉快そうに「アハハ」と笑いながら、
「冗談だよぉ、冗談♪ キミは「からかい甲斐」があって本当に面白いねぇ♪」
「俺は面白かぁねぇ!」
不機嫌にムックリ膨れると、苦笑のラディッシュは「まぁまぁ」と宥めながら、
「でもどぅしてハクさんは、そんなに元気なの?」
「ん? 元気じゃないよ? 疲れてるけど?」
「そ、そうじゃなくて」
最終的には歩けなくなるまで「地世の侵蝕」を受けたラミウムの姿を思い浮かべると、
「!」
察したハクサンが自慢げなドヤ顔で、
「序列一位の能力とは、それ程なのさぁ♪」
((!))
内心で驚く男子二人。
見た目の「軽い人柄」とは相反する「能力の高さ」に改めて驚いたのだが、そんな二人を前に、彼は前髪をナルシス風にたなびかせ、
「まぁ、冗談はさて置き」
((冗談(なんだ・なのかよ)))
心の中でツッコムと、
「実際の話、序列一位には「様々は特典」が与えられていてね、まぁ細かい話は追い追いねぇ♪」
笑って話をはぐらかし、色々と「言わない秘密」を抱えていそうなハクサンに、
((…………))
安易に「心を許してはならない」と、改めて悟る二人であった。
村の北門に集まる多くの村人たち。
その視線の先には、旅支度を整えたラディッシュ、ドロプウォート、パストリス、ターナップ、ニプル、そしてハクサンの姿が。
それぞれ思いを胸に、村人たちからの励ましと、別れを惜しむ声に、
「「「「「行って来まぁす!」」」」」
背を向け、秋晴れの下を歩き始めた。
目指すは、ハクサンの強い勧めでフルール国。
北上するが故に、一旦ドロプウォートの故郷であるエルブ城を目指すルートも視野に入れていたが、ハクサンから「ラディッシュへの侵蝕がいつ始まるか分からない」との異論が上がり、直線で目指す事となった。
そんな中、初の「異国への旅」と言う事もあり、何が起きるか分からない道中、楽しみでありながらも、緊張を禁じ得ないラディッシュとターナップの男子二人であったが、妙に足取り軽やかに前を歩くのはドロプウォート、パストリス、ニプルの女子三人。
特にニプルは「フルール国行き」を提示された当初、苦い経験を多々持つ母国への帰国に難色を示していたのだが。
理由は分かり切っていた。
フルール国が中世における『同人発祥の地』であり、手持ちの本に「推しの作家の直筆」を貰える可能性があるのが分かったから。
いわゆる「サイン会」があるのを、書店(同人誌店)の「例の店主」から聞かされたのである。
意気揚々な女子三人。
足早に目的地を目指す三つの背に、
「な、なぁんでぇ、彼女たちはぁ、なぁんでぇ、あんなに元気なのさぁ」
息も絶え絶えな声を上げたのは、ハクサン。
オーバーペースに、既に少々お疲れモード。
嘆くようにボヤく彼に、男子二人は、
((同人誌を「楽しみにしてる」なんて……))
理由を話してしまった後の、女子三人の「羞恥の激怒」を想像し、
(言え(ないよ・る訳がねぇ)……))
「「さ、さぁ?」」
笑って誤魔化すので精一杯であり、ラディッシュは話の矛先を変えようと、
「そ、そう言えばぁ、ハクサンさんて、」
「「ハク」で、構わないよ♪」
「え?」
ハクサンは笑顔で話を遮り、
「ハクサンサンって、何だか、何かが空から降って来てるみたいでヘンだし、よそよそしくされるのも好きじゃないんだよ」
「で、でも「ハクさん」って、何か呼び捨てに聞こえてマズイんじゃ……」
躊躇いを見せると、
「言い方なんてぇ関係ないさぁ。気持ちの問題さぁ~」
普通レベルのイケメンスマイルをキラリと見せ、すかさずターナップが、
「話せるねぇ序列一位ぃ♪ じゃあ俺も、」
「あ、キミはダメ」
「んでだよ!」
「暑苦しいから」
「んだとぉ!」
憤慨に、ハクサンは愉快そうに「アハハ」と笑いながら、
「冗談だよぉ、冗談♪ キミは「からかい甲斐」があって本当に面白いねぇ♪」
「俺は面白かぁねぇ!」
不機嫌にムックリ膨れると、苦笑のラディッシュは「まぁまぁ」と宥めながら、
「でもどぅしてハクさんは、そんなに元気なの?」
「ん? 元気じゃないよ? 疲れてるけど?」
「そ、そうじゃなくて」
最終的には歩けなくなるまで「地世の侵蝕」を受けたラミウムの姿を思い浮かべると、
「!」
察したハクサンが自慢げなドヤ顔で、
「序列一位の能力とは、それ程なのさぁ♪」
((!))
内心で驚く男子二人。
見た目の「軽い人柄」とは相反する「能力の高さ」に改めて驚いたのだが、そんな二人を前に、彼は前髪をナルシス風にたなびかせ、
「まぁ、冗談はさて置き」
((冗談(なんだ・なのかよ)))
心の中でツッコムと、
「実際の話、序列一位には「様々は特典」が与えられていてね、まぁ細かい話は追い追いねぇ♪」
笑って話をはぐらかし、色々と「言わない秘密」を抱えていそうなハクサンに、
((…………))
安易に「心を許してはならない」と、改めて悟る二人であった。
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