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第二章
2-15
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数分後――
女子三人の姿は、昼であるにもかかわらず、人通りが極端に少ない、むしろ見かけない、仄暗ささえ感じる裏通りにあった。
怯え顔で周囲を見回すパストリス。
ドロプウォートの腕にしがみつき、
「な、なんかコワイでぇすぅ……」
そこに「並外れた巨漢のサイクロプス」を叩きのめした雄姿は見られない。
ドロプウォートも初めて目にする村の暗部に、
「この様な「危うい通り」が村にあったなんて……」
歩きながらも驚きを隠せず周囲を見回し、メモを手に前を行くニプルの背に、
「道を間違えていませんこと? 私たちが目指すのは「書店」であって「闇市」ではありませんのよ?」
「失礼な事を言うな、先祖返りぃ!」
ニプルは苦笑しながら振り返り、
「ウチはこれでも「地図を読む」のには定評があってだな、」
「どなたにですの?」
「ふ、」
口にしかけた何かを、慌てて噤んだ。
自身の身分が「フルール軍にある」と、未だ打ち明けていなかったから。
それを打ち明けてしまうと、今の関係が壊れてしまうとも感じ。
なんだかんだと文句を言いながらも、今の関わり方、距離感が、気に入っていたのである。
とりあえず、疑いを持たれかけた現状を打破しようと、
「ふ……ふ、ふわぁ~と、その辺の連中だぁよ!」
「何ですの、ソレは?」
呆れ笑うドロプウォートに、
「うっ、うるさねぇ!」
下手な言い訳による羞恥を憤慨で誤魔化し、
「ホラぁ、目的地に着いたよぉ!」
とある一軒の、建物の前で立ち止まった。
「「…………」」
何とも言えない、物言いたげな表情で建物を見上げるドロプウォートとパストリス。
三人の前にあったのは、今の季節が秋と言う事もあり「枯れた蔦」で覆われた、木造平屋建ての民家に見える建物で、目的の店と判別できる物と言えば「掲げられた看板」のみ。
魔女でも出て来そうな、怪しげな雰囲気の店構えに、流石のニプルも入店をためらっていると、
ギィ……
木戸が軋みを立てゆぅっっっくりと開き、薄暗い闇の室内にぼんやり浮かんだのは、青白く、病的な男の顔。
「ヒィ!」
短い悲鳴を上げるパストリス。咄嗟にドロプウォートの背に隠れると、闇に浮かぶ男の顔は、
「入るなら早く入ってよ……後から来るお客さんの邪魔になるし、日差しで本が傷むでしょ……」
至極まっとうな苦言。
「「「…………」」」
女子三人は互いの意向を目と目で確認し合った後、
「しっ、失礼致しますわ……」
ドロプウォートが先陣切って「闇の中」に足を踏み入れ、二人も後に続いた。
闇へと消えて行く、三つの背。
扉は、
ギッギぃギギギィ……バタぁン……
奇怪な音を立てながらゆっくりと閉まった。
あたかも、女子三人を幽閉するかのように。
彼女たちが闇の中で目にしたモノ――
それは、
『凄い数の本ですわぁ!』
驚きの声を上げたのはドロプウォート。
薄明りの照明で照らされた店内は、天井につきそうな高さの本棚が壁と言う壁、加えて部屋を細かく間仕切るように幾つも置かれ、棚の中も隙間など皆無。
カテゴリーとジャンルごとに棚で細分化された品揃えは、彼女が城下で目にした書店を遥かに凌駕していたらしく、圧倒された様子で呆然と立ち尽くしていた。
それは「本好き」を自称するニプルも同じ。
母国フルールでもお目に掛かった事の無い「蔵書の数」であったのか、ドロプウォートと同じ顔して立ち尽くし、パストリスも店構えからは到底想像出来なかった本の数に、
「スゴイでぇすぅ……これが全部、恋愛小説でぇすぅ……?」
恐怖していたのも忘れて見回していると、
(……色々ですよ……)
背後から霊、ではなく「例の」店員が。
「ひぃ!」
驚き、飛び跳ねる様に、再びドロプウォートの背に隠れるパストリス。
その姿にドロプウォートは苦笑い。
「貴方(店員)のソレは「わざと」ですの? 暗い店内で足音を忍ばせて」
すると男は小声で、
(……失敬な……)
病的な青白い顔を不愉快で歪ませ、
(……大きい声で話すと、本に唾が飛ぶでしょ……ドタバタ歩いて本が棚から落ちたら傷むし……)
「「「…………」」」
男の奇行の全てが「異常な本愛ゆえ」と知る女子三人。
そんな中、同じ本好きであるが故にニプルは何か通ずるモノでもあったのか、緊張の表情を安堵に変え、
「それで、この店にはどんな本があるのさ?」
問いに男は再び小声で、
(……種類なんか言ってたら……ヒッヒッヒッ……夜が明けますよ……)
不気味にニヤリ、
(……「十八禁」もあるし、「同人」も、ねぇ……)
ゾッとする程の笑みを浮かべたが、
『『ドウジン!?』』
驚きの声を上げたのはドロプウォートとパストリス。
二人の唐突な驚きに、
「なっ?! なんだ二人して??!」
慄くニプルに二人は詰め寄る様に、
「ラミィがパストによく言ってたんですわぁ!」
「何をさ?」
「よく言われたでぇす!」
「だから何をさぁ?」
『『「あのドウジンみたいに引ん剥くぞ」って!』』
興奮気味に訴える二人であったが、意味が分からないニプルにとって要領を得ない話であり、
「何だいそりゃ?」
首を傾げると、
『ヒャーハッハッ!』
「「「ッ!」」」
それまで「病的ボソボソ声」だった男が急な高笑い。
「なっ、何事ですぉ唐突にぃ???!」
驚くドロプウォートたち女子三人に、
(ソレが見たいならぁ、見せて差し上げますよぉ♪)
舌なめずり。
その卑猥な表情に、
(((え………)))
嫌な予感しかしない女子三人。
しかし、ラミウムが言っていた「引ん剥く」と言う言葉の響きから、
「「「…………」」」
密かな好奇心が抑えきれず、
(((何かあっても、(腕に覚えのある)この三人でなら……)))
対処可能と思い、男の、
(……どうぞぉ、コチラへ……)
更なる暗がりへの「招き」に従った。
女子三人の姿は、昼であるにもかかわらず、人通りが極端に少ない、むしろ見かけない、仄暗ささえ感じる裏通りにあった。
怯え顔で周囲を見回すパストリス。
ドロプウォートの腕にしがみつき、
「な、なんかコワイでぇすぅ……」
そこに「並外れた巨漢のサイクロプス」を叩きのめした雄姿は見られない。
ドロプウォートも初めて目にする村の暗部に、
「この様な「危うい通り」が村にあったなんて……」
歩きながらも驚きを隠せず周囲を見回し、メモを手に前を行くニプルの背に、
「道を間違えていませんこと? 私たちが目指すのは「書店」であって「闇市」ではありませんのよ?」
「失礼な事を言うな、先祖返りぃ!」
ニプルは苦笑しながら振り返り、
「ウチはこれでも「地図を読む」のには定評があってだな、」
「どなたにですの?」
「ふ、」
口にしかけた何かを、慌てて噤んだ。
自身の身分が「フルール軍にある」と、未だ打ち明けていなかったから。
それを打ち明けてしまうと、今の関係が壊れてしまうとも感じ。
なんだかんだと文句を言いながらも、今の関わり方、距離感が、気に入っていたのである。
とりあえず、疑いを持たれかけた現状を打破しようと、
「ふ……ふ、ふわぁ~と、その辺の連中だぁよ!」
「何ですの、ソレは?」
呆れ笑うドロプウォートに、
「うっ、うるさねぇ!」
下手な言い訳による羞恥を憤慨で誤魔化し、
「ホラぁ、目的地に着いたよぉ!」
とある一軒の、建物の前で立ち止まった。
「「…………」」
何とも言えない、物言いたげな表情で建物を見上げるドロプウォートとパストリス。
三人の前にあったのは、今の季節が秋と言う事もあり「枯れた蔦」で覆われた、木造平屋建ての民家に見える建物で、目的の店と判別できる物と言えば「掲げられた看板」のみ。
魔女でも出て来そうな、怪しげな雰囲気の店構えに、流石のニプルも入店をためらっていると、
ギィ……
木戸が軋みを立てゆぅっっっくりと開き、薄暗い闇の室内にぼんやり浮かんだのは、青白く、病的な男の顔。
「ヒィ!」
短い悲鳴を上げるパストリス。咄嗟にドロプウォートの背に隠れると、闇に浮かぶ男の顔は、
「入るなら早く入ってよ……後から来るお客さんの邪魔になるし、日差しで本が傷むでしょ……」
至極まっとうな苦言。
「「「…………」」」
女子三人は互いの意向を目と目で確認し合った後、
「しっ、失礼致しますわ……」
ドロプウォートが先陣切って「闇の中」に足を踏み入れ、二人も後に続いた。
闇へと消えて行く、三つの背。
扉は、
ギッギぃギギギィ……バタぁン……
奇怪な音を立てながらゆっくりと閉まった。
あたかも、女子三人を幽閉するかのように。
彼女たちが闇の中で目にしたモノ――
それは、
『凄い数の本ですわぁ!』
驚きの声を上げたのはドロプウォート。
薄明りの照明で照らされた店内は、天井につきそうな高さの本棚が壁と言う壁、加えて部屋を細かく間仕切るように幾つも置かれ、棚の中も隙間など皆無。
カテゴリーとジャンルごとに棚で細分化された品揃えは、彼女が城下で目にした書店を遥かに凌駕していたらしく、圧倒された様子で呆然と立ち尽くしていた。
それは「本好き」を自称するニプルも同じ。
母国フルールでもお目に掛かった事の無い「蔵書の数」であったのか、ドロプウォートと同じ顔して立ち尽くし、パストリスも店構えからは到底想像出来なかった本の数に、
「スゴイでぇすぅ……これが全部、恋愛小説でぇすぅ……?」
恐怖していたのも忘れて見回していると、
(……色々ですよ……)
背後から霊、ではなく「例の」店員が。
「ひぃ!」
驚き、飛び跳ねる様に、再びドロプウォートの背に隠れるパストリス。
その姿にドロプウォートは苦笑い。
「貴方(店員)のソレは「わざと」ですの? 暗い店内で足音を忍ばせて」
すると男は小声で、
(……失敬な……)
病的な青白い顔を不愉快で歪ませ、
(……大きい声で話すと、本に唾が飛ぶでしょ……ドタバタ歩いて本が棚から落ちたら傷むし……)
「「「…………」」」
男の奇行の全てが「異常な本愛ゆえ」と知る女子三人。
そんな中、同じ本好きであるが故にニプルは何か通ずるモノでもあったのか、緊張の表情を安堵に変え、
「それで、この店にはどんな本があるのさ?」
問いに男は再び小声で、
(……種類なんか言ってたら……ヒッヒッヒッ……夜が明けますよ……)
不気味にニヤリ、
(……「十八禁」もあるし、「同人」も、ねぇ……)
ゾッとする程の笑みを浮かべたが、
『『ドウジン!?』』
驚きの声を上げたのはドロプウォートとパストリス。
二人の唐突な驚きに、
「なっ?! なんだ二人して??!」
慄くニプルに二人は詰め寄る様に、
「ラミィがパストによく言ってたんですわぁ!」
「何をさ?」
「よく言われたでぇす!」
「だから何をさぁ?」
『『「あのドウジンみたいに引ん剥くぞ」って!』』
興奮気味に訴える二人であったが、意味が分からないニプルにとって要領を得ない話であり、
「何だいそりゃ?」
首を傾げると、
『ヒャーハッハッ!』
「「「ッ!」」」
それまで「病的ボソボソ声」だった男が急な高笑い。
「なっ、何事ですぉ唐突にぃ???!」
驚くドロプウォートたち女子三人に、
(ソレが見たいならぁ、見せて差し上げますよぉ♪)
舌なめずり。
その卑猥な表情に、
(((え………)))
嫌な予感しかしない女子三人。
しかし、ラミウムが言っていた「引ん剥く」と言う言葉の響きから、
「「「…………」」」
密かな好奇心が抑えきれず、
(((何かあっても、(腕に覚えのある)この三人でなら……)))
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