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第二章
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信用の全てを失ったラディッシュ。
「…………」
何も考えられない。
無人と化した広場の真ん中で、チカラ無くへたり込み、
(ラミ……)
すがる様にポツリと呟くと、「憐れ」と化した彼の下へ近づく一つの足音が。
ドロプウォートに助力を感謝されていた、ローブ姿の何者かである。
その人物は「抜け殻ラディッシュ」の傍らに立ち、
『陛下が気に掛けるので「如何ほどの漢か」と思えばぁ』
呆れ口調でフードを外し、
「所詮は「数合わせの異世界勇者」の一人だったか」
素顔を露わにしたのはフルール国のニプル。
何を意図して近づき、素顔まで晒したのか、心中を察する事は出来ないが、何の反応も示さない彼を苛立った表情で見下ろすと、
「ケッ!」
吐き捨てる様にきびすを返し、そのまま立ち去って行った。
それでも、身動き一つしないラディッシュ。
そんな彼の下へ、次なる訪問者が。
『いやぁ~美女たちからの「言葉攻め」とは羨ましいぃねぇ~~~』
笑いながら近づいて来たのは「自称占い師」の男。
「無力なキミに何か期待したってぇ、なぁ~んの意味も無いのにねぇ♪」
皮肉まで言ってのけたが、
「…………」
無反応。
男はヤレヤレ笑いを浮かべ、放心するラディッシュの耳元に近づくと、
「ラミィが「生きてる」って言ったら?」
『!』
瞬間的に目つきが豹変するラディッシュ。
咄嗟に男の胸倉を掴もうとしたが、
「おぉ~とぉ♪」
男は軽やかに距離を取る。
「へぇ~そんな気概は、まだ残ってるんだぁ♪」
からかう笑みに、
『何を知ってる!』
噛みつきそうな勢いで問うその眼は、ラミウムを彷彿させる鋭き眼光。
殺意すら感じさせる、ビリビリと肌に伝わる気迫に、
(へぇ~凄いスゴイねぇ♪)
ニヤリと笑いながら、勿体を付ける様に、
「そぅだなぁ~」
一考すると、
「彼女の名前は「ドロプウォート」って言ったっけ? あの先祖返りの、首席誓約者候、」
「それが何!」
睨み急くラディッシュに、余裕の笑みで以て、
「本気の彼女から剣術で一本取って来たら、ヒントを教えてあげても、」
話は途中であったが、ラディッシュは最後まで聞くこと無く駆け出し、全力で遠ざかる彼の背に、
「効果てきめんだね」
占い師の男は不敵な笑みを浮かべ、
(さぁ、キミ達の可能性とやらを、このぼくぅに示してくれたまえよ)
その頃ドロプウォートは、パストリスと共に教会のダイニングにいた。
村人たち、元騎士たちの遺族と共に、村を護った「英霊」ではあるが「罪人」でもあるがゆえの手短な葬儀を済ませ、一息付いたところであった。
テーブル席に座り、黙ってコップの中を見つめるドロプウォート。
怒っているのか、悲しんでいるのか、その無表情から「今の彼女の心中」を読み解く事は困難であったが、パストリスは気遣いから、
「ラディさん……(葬儀に)来ませんでぇしたね……」
それとなく話しかけると、
「遺族の皆様に……勇者として合わせる顔が無いのでしょう……」
無感情を貫き呟いた。
するとパストリスが寂しげな表情で、
「あまり自分だけを悪者にしないでぇ……」
「!」
ハッと、顔を上げるドロプウォート。
良き理解者が、これほど近くに居た事に今更ながら気付き、
「ありがとうございますですわ」
やっと笑顔こそ見せたが、
「ですがラミィの居ない今、ラディを勇者として導けるのは私だけ……不器用な私には「このようなやり方」しか思い浮かびませんの」
悲しさが薄っすら滲む、自嘲気味の笑みを見せた途端、
バァン!
「「ッ!?」」
勝手口の扉が勢いよく跳ね開くと同時、ドロプウォートは勢いよく飛んで来た「何か」をよける素振りも無く、
パァシッ!
冷静に片手でキャッチ。
(木剣?!)
戦闘モードの目つきに豹変すると、
『ドロプさぁん! 僕と勝負してぇ!』
かつてない真剣な眼差しを向ける、木剣を手にしたラディッシュの姿が。
「ら、ラディ、さぁん?!」
突然の事に戸惑うパストリス。
しかしドロプウォートは動じた様子も見せず、
「構いませんわ」
スッと立ち上がり、
(何があったかは知りませんですが、)
仇敵を前にしたかのような眼光を放ち、
『手加減は致しませんですわァ!』
(貴方がこの世界で「生き残れる為」ならば、ワタクシは後世に悪鬼、羅刹と呼ばれても貴方を鍛えましょうですわ!)
殺気を纏った切っ先を彼に向けた。
「…………」
何も考えられない。
無人と化した広場の真ん中で、チカラ無くへたり込み、
(ラミ……)
すがる様にポツリと呟くと、「憐れ」と化した彼の下へ近づく一つの足音が。
ドロプウォートに助力を感謝されていた、ローブ姿の何者かである。
その人物は「抜け殻ラディッシュ」の傍らに立ち、
『陛下が気に掛けるので「如何ほどの漢か」と思えばぁ』
呆れ口調でフードを外し、
「所詮は「数合わせの異世界勇者」の一人だったか」
素顔を露わにしたのはフルール国のニプル。
何を意図して近づき、素顔まで晒したのか、心中を察する事は出来ないが、何の反応も示さない彼を苛立った表情で見下ろすと、
「ケッ!」
吐き捨てる様にきびすを返し、そのまま立ち去って行った。
それでも、身動き一つしないラディッシュ。
そんな彼の下へ、次なる訪問者が。
『いやぁ~美女たちからの「言葉攻め」とは羨ましいぃねぇ~~~』
笑いながら近づいて来たのは「自称占い師」の男。
「無力なキミに何か期待したってぇ、なぁ~んの意味も無いのにねぇ♪」
皮肉まで言ってのけたが、
「…………」
無反応。
男はヤレヤレ笑いを浮かべ、放心するラディッシュの耳元に近づくと、
「ラミィが「生きてる」って言ったら?」
『!』
瞬間的に目つきが豹変するラディッシュ。
咄嗟に男の胸倉を掴もうとしたが、
「おぉ~とぉ♪」
男は軽やかに距離を取る。
「へぇ~そんな気概は、まだ残ってるんだぁ♪」
からかう笑みに、
『何を知ってる!』
噛みつきそうな勢いで問うその眼は、ラミウムを彷彿させる鋭き眼光。
殺意すら感じさせる、ビリビリと肌に伝わる気迫に、
(へぇ~凄いスゴイねぇ♪)
ニヤリと笑いながら、勿体を付ける様に、
「そぅだなぁ~」
一考すると、
「彼女の名前は「ドロプウォート」って言ったっけ? あの先祖返りの、首席誓約者候、」
「それが何!」
睨み急くラディッシュに、余裕の笑みで以て、
「本気の彼女から剣術で一本取って来たら、ヒントを教えてあげても、」
話は途中であったが、ラディッシュは最後まで聞くこと無く駆け出し、全力で遠ざかる彼の背に、
「効果てきめんだね」
占い師の男は不敵な笑みを浮かべ、
(さぁ、キミ達の可能性とやらを、このぼくぅに示してくれたまえよ)
その頃ドロプウォートは、パストリスと共に教会のダイニングにいた。
村人たち、元騎士たちの遺族と共に、村を護った「英霊」ではあるが「罪人」でもあるがゆえの手短な葬儀を済ませ、一息付いたところであった。
テーブル席に座り、黙ってコップの中を見つめるドロプウォート。
怒っているのか、悲しんでいるのか、その無表情から「今の彼女の心中」を読み解く事は困難であったが、パストリスは気遣いから、
「ラディさん……(葬儀に)来ませんでぇしたね……」
それとなく話しかけると、
「遺族の皆様に……勇者として合わせる顔が無いのでしょう……」
無感情を貫き呟いた。
するとパストリスが寂しげな表情で、
「あまり自分だけを悪者にしないでぇ……」
「!」
ハッと、顔を上げるドロプウォート。
良き理解者が、これほど近くに居た事に今更ながら気付き、
「ありがとうございますですわ」
やっと笑顔こそ見せたが、
「ですがラミィの居ない今、ラディを勇者として導けるのは私だけ……不器用な私には「このようなやり方」しか思い浮かびませんの」
悲しさが薄っすら滲む、自嘲気味の笑みを見せた途端、
バァン!
「「ッ!?」」
勝手口の扉が勢いよく跳ね開くと同時、ドロプウォートは勢いよく飛んで来た「何か」をよける素振りも無く、
パァシッ!
冷静に片手でキャッチ。
(木剣?!)
戦闘モードの目つきに豹変すると、
『ドロプさぁん! 僕と勝負してぇ!』
かつてない真剣な眼差しを向ける、木剣を手にしたラディッシュの姿が。
「ら、ラディ、さぁん?!」
突然の事に戸惑うパストリス。
しかしドロプウォートは動じた様子も見せず、
「構いませんわ」
スッと立ち上がり、
(何があったかは知りませんですが、)
仇敵を前にしたかのような眼光を放ち、
『手加減は致しませんですわァ!』
(貴方がこの世界で「生き残れる為」ならば、ワタクシは後世に悪鬼、羅刹と呼ばれても貴方を鍛えましょうですわ!)
殺気を纏った切っ先を彼に向けた。
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