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二人の少女の活躍によりエルブ軍に再び勝利の光が見え始めた頃――
一進一退を繰り返す、ラミウムと黒狼パトリニア。
≪ガルァ。ったく、どぅしたよラミっちぃ、動きが随分鈍くなって来てねぇかぁ? 光もさっきより弱まってぇよ。まぁ聖具が無けりゃこの程度、≫
「好き勝手ぇ妄想こいてんじゃないさぁねぇ、パトリニアぁ!」
余裕を見せる黒狼を追撃するラミウムであったが、強気を見せる裏側で、
(コイツぁ、いったいどう言う事だぁい……)
異変を感じ始めていた。
(確かにヤツ(パトリニア)の言う通り、今のアタシにぁ「聖具」も無けりゃ、体も本調子からは程遠く、二重三重のハンデを背負って戦っているようなモンさぁね……に、したってぇ……何でヤツには疲れが見えない?)
一旦距離を取ろうと後退する黒狼パトリニアを追うさ中、
「ッ!」
ラミウムを突如襲う、激しい動悸。
心臓を鷲掴みにされた様な苦しさから、胸を押さえて地面に手を着き、
(マジかぁい! ついに(限界が)来ちまったってのかぁいぃ!?)
額に薄っすら脂汗まで流し始めたが、痛み以上に、
「なぁっ!? こっ、コイツはぁ!」
とある異変に気付き驚いた。
戦場に、無数に横たわる敵味方問わずの亡骸から、地世のエネルギーの様な物が黒狼パトリニアに向かって延々流れていたのである。
ジリ貧の中で生まれた偶然の発見とは言え、
(地に手を着く機会が無かったら、アタシぁ死んでも気付けなかったんじゃないのかい?!)
膝を突く機会を得たのを、幸運に思っていると、
≪ガルァラァ! ったく今頃気が付いたかぁラミっちぃよ! ソイツ等(亡骸)は、言わば俺っちの地世のチカラを補う電池よぉ!≫
愉快そうに言ってのける黒狼パトリニアに、
「アンタは、その為ダケに……」
怒りのオーラを立ち昇らせるラミウム。
胸を押さえてゆっくり立ち上がり、
「アンタを信じた信奉者たちにぃ、この場所での無策な自爆攻撃を繰り返させてたのかァい!」
苦し気な表情で黒狼パトリニアを睨んだが、
≪ガァルァ! 笑止ィ! そもそも「中世の人間」や「この世界(中世)」など不要ォ! 天世に攻め入る障害物でしかねぇんだよォ!≫
「んだとぉ!」
人を人として見ない暴言の数々に激怒。
その心の内では、
(コイツ(パトリニア)は、こんな風に人を差別して見下すようなヤツじゃなかった……)
昔馴染みの変わりようにショックを受けていた。
しかし、表面上は怒りを維持し、
「彼らは「この世界」に生きて、」
≪「ソレを作った側」の人間が言えた事かァア!≫
「!」
思わず黙するラミウム。
何か「後ろ暗い核心」を突かれたのか、気持ちを立て直す様にグッと奥歯を噛み締め、言葉に出来ぬ何かを飲み込んでから、
『神話の時代の話なんざぁアタシの知ったこっちゃないさぁねぇ! アタシは「今の話」をしてるのさぁねぇ!』
纏わる何かを振り切る様に言い放ち、
「プエラリアの本意は知らないがねぇ、アンタだけは全力で止めて見せるさぁねぇ!」
ラミウムは決死の表情で両手を合わせ、
≪我がチカラァ! 天世のチカラを以てこの地を、人々を、我、護らァァァん!≫
次第に白き輝きを増大させて行く姿に、
(残りのチカラの全てを使って、俺っちごと「この地を浄化」する気かぁ?! 一歩違えりゃ死ぬぜぇ!?)
驚く黒狼パトリニアであったが、不敵に、かつ愉快そうに口元を緩め、
≪ガァルゥ! 面白れぇ! ったく面白れぇよラミっっちぃ! ラミっちのそぅ言うイチかバチかの大博打な所が、俺っち昔から大嫌い(大好き)だったぜぇ!≫
自身も黒き輝きを爆発的に拡大させていくと、徐々に拡大していく白き輝きの中で、
「あぁ知ってるさぁねぇ♪」
ラミウムは胸の痛みに苦しいながら、
(忘れる筈がないさぁねぇ)
二人の記憶は遥か彼方へ。
楽し気に笑うラミウムと、少年の様な笑顔を口元に浮かべる一人の騎士。
「真白」と「漆黒」の世界は二人の間でせめぎ合い、やがて戦場全体を包み込み、
「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
人を、モンスターを、全てを飲み込み、やがてパァンと弾ける様に世界から一瞬色が消えた後、色が戻った世界で人々が目にしたのは、
「「「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」」」
二人の死闘が繰り広げられていた地に立つ、導師の姿に戻った「パトリニア」であった。
一進一退を繰り返す、ラミウムと黒狼パトリニア。
≪ガルァ。ったく、どぅしたよラミっちぃ、動きが随分鈍くなって来てねぇかぁ? 光もさっきより弱まってぇよ。まぁ聖具が無けりゃこの程度、≫
「好き勝手ぇ妄想こいてんじゃないさぁねぇ、パトリニアぁ!」
余裕を見せる黒狼を追撃するラミウムであったが、強気を見せる裏側で、
(コイツぁ、いったいどう言う事だぁい……)
異変を感じ始めていた。
(確かにヤツ(パトリニア)の言う通り、今のアタシにぁ「聖具」も無けりゃ、体も本調子からは程遠く、二重三重のハンデを背負って戦っているようなモンさぁね……に、したってぇ……何でヤツには疲れが見えない?)
一旦距離を取ろうと後退する黒狼パトリニアを追うさ中、
「ッ!」
ラミウムを突如襲う、激しい動悸。
心臓を鷲掴みにされた様な苦しさから、胸を押さえて地面に手を着き、
(マジかぁい! ついに(限界が)来ちまったってのかぁいぃ!?)
額に薄っすら脂汗まで流し始めたが、痛み以上に、
「なぁっ!? こっ、コイツはぁ!」
とある異変に気付き驚いた。
戦場に、無数に横たわる敵味方問わずの亡骸から、地世のエネルギーの様な物が黒狼パトリニアに向かって延々流れていたのである。
ジリ貧の中で生まれた偶然の発見とは言え、
(地に手を着く機会が無かったら、アタシぁ死んでも気付けなかったんじゃないのかい?!)
膝を突く機会を得たのを、幸運に思っていると、
≪ガルァラァ! ったく今頃気が付いたかぁラミっちぃよ! ソイツ等(亡骸)は、言わば俺っちの地世のチカラを補う電池よぉ!≫
愉快そうに言ってのける黒狼パトリニアに、
「アンタは、その為ダケに……」
怒りのオーラを立ち昇らせるラミウム。
胸を押さえてゆっくり立ち上がり、
「アンタを信じた信奉者たちにぃ、この場所での無策な自爆攻撃を繰り返させてたのかァい!」
苦し気な表情で黒狼パトリニアを睨んだが、
≪ガァルァ! 笑止ィ! そもそも「中世の人間」や「この世界(中世)」など不要ォ! 天世に攻め入る障害物でしかねぇんだよォ!≫
「んだとぉ!」
人を人として見ない暴言の数々に激怒。
その心の内では、
(コイツ(パトリニア)は、こんな風に人を差別して見下すようなヤツじゃなかった……)
昔馴染みの変わりようにショックを受けていた。
しかし、表面上は怒りを維持し、
「彼らは「この世界」に生きて、」
≪「ソレを作った側」の人間が言えた事かァア!≫
「!」
思わず黙するラミウム。
何か「後ろ暗い核心」を突かれたのか、気持ちを立て直す様にグッと奥歯を噛み締め、言葉に出来ぬ何かを飲み込んでから、
『神話の時代の話なんざぁアタシの知ったこっちゃないさぁねぇ! アタシは「今の話」をしてるのさぁねぇ!』
纏わる何かを振り切る様に言い放ち、
「プエラリアの本意は知らないがねぇ、アンタだけは全力で止めて見せるさぁねぇ!」
ラミウムは決死の表情で両手を合わせ、
≪我がチカラァ! 天世のチカラを以てこの地を、人々を、我、護らァァァん!≫
次第に白き輝きを増大させて行く姿に、
(残りのチカラの全てを使って、俺っちごと「この地を浄化」する気かぁ?! 一歩違えりゃ死ぬぜぇ!?)
驚く黒狼パトリニアであったが、不敵に、かつ愉快そうに口元を緩め、
≪ガァルゥ! 面白れぇ! ったく面白れぇよラミっっちぃ! ラミっちのそぅ言うイチかバチかの大博打な所が、俺っち昔から大嫌い(大好き)だったぜぇ!≫
自身も黒き輝きを爆発的に拡大させていくと、徐々に拡大していく白き輝きの中で、
「あぁ知ってるさぁねぇ♪」
ラミウムは胸の痛みに苦しいながら、
(忘れる筈がないさぁねぇ)
二人の記憶は遥か彼方へ。
楽し気に笑うラミウムと、少年の様な笑顔を口元に浮かべる一人の騎士。
「真白」と「漆黒」の世界は二人の間でせめぎ合い、やがて戦場全体を包み込み、
「「「「「「「「「「!!!」」」」」」」」」」
人を、モンスターを、全てを飲み込み、やがてパァンと弾ける様に世界から一瞬色が消えた後、色が戻った世界で人々が目にしたのは、
「「「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」」」
二人の死闘が繰り広げられていた地に立つ、導師の姿に戻った「パトリニア」であった。
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