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番外:EAT ME.4.※
しおりを挟むはぁはぁと息を乱しながら、未だに口を付けているアルバーノを切ない気持ちで見上げる。何も考えられなくなるほど気持ちがいい。けれどこれでは少し、何かが物足りなかった。奥にまで早く欲しくてたまらない。愛おしいアルバーノの分身を埋めて、この身をアルバーノで満たして欲しかった。――あんな男に負けないくらい、自分はとても愛されているのだと。それを早く証明してほしかった。
「アル……アルバーノ、お願い。クチはもういいから……っ早く、ちゃんとキて」
「!」
「奥が……足りないの……お願い……貴方のもので全部満たして――‼︎」
ベアトリーチェが半ば叫ぶようにそう言った瞬間。アルバーノは上体を起こすと、その下衣をとうとう寛げ出した。そこから取り出されたはち切れんばかりの雄槍が、ベアトリーチェの泥濘みへと性急に押し付けられる。熱く激ったアルバーノの雄が感じられる。切ない感覚が胸の中から込み上げてくるようだった。
「ビーチェ……挿れますよ。痛かったら止めますから、ちゃんと言ってくださいね」
「ん……いいわ……早く奥まで――っんああああっ‼︎」
どうやらアルバーノも限界だったようで。ベアトリーチェが言い終わるよりも前に、彼の剛直がみちみちと肉壁をかき分け、そのナカへと侵入した。じわじわとベアトリーチェの中がアルバーノで満たされていく。そう思うと背筋がぞくぞくと震えた。
やがて最奥へと達したアルバーノは、熱く吐息を溢しながらベアトリーチェの顔中に口付けを送った。
「動きますよ」
「うん……んあっ! はっ……すごい、あつい……んっ、あああっ!」
「ビーチェ……もう貴女はこれで、正式に俺のものです。ずっとずっと、夢に見ていた」
抜け出てしまうかと思うほどギリギリまで腰が引かれてから、ずんと奥にまで押し込められる。その動きはだんだんと速まり、余裕もなくなってくる。お互いの事しか目に入らない。
ひどくいやらしい水音を立てながら、アルバーノは腰を振りたくっている。最奥まで届く程強く腰を叩き付け、解放の時を待っては歓喜に打ち震えていた。
「はぁんっ、ん……アルッ、アルバーノ……! 私だけの……私だけを1番に、見て……ああっ、ん、お願いよ……」
「ッビーチェ! ……そんな風に煽ったら、歯止めが効かなくなりますよ……」
「んんっ……はぁ、ん……別に、構わないわ。結婚初夜ですもの……このままひと月、部屋に篭ってしまうのもいいわね……」
「……それは……」
「んんっ……別にいいでしょう? だって私達、晴れて正式に夫婦となったんですもの」
そう言ったベアトリーチェの恍惚とした微笑みを見てしまったからだろう。アルバーノがいよいよ本気で腰を打ちつけ出した。
「あああっ、んん、アル、ああんっ! 激しっ――ああ、んうっ、」
「ああ、ビーチェ……可愛い、愛しています! もう俺も限界です。一緒に、イきましょうっ――!」
「んん、あ、あああ……! っアル、アルバーノ……イッ、ちゃ、んあああああああっ‼︎」
ばちゅばちゅと音を立てながら激しく律動を繰り返され、ベアトリーチェは嬌声をあげながら絶頂した。ばちばちと電流が駆け抜けるような感覚を覚え、頭が真っ白になる。無我夢中で目の前の男にしがみついた。
そんなベアトリーチェの締め付けに耐え切れず、遅れてアルバーノもベアトリーチェの中で弾けた。何度か奥へ擦り付けるように腰を動かし、ホッと一息を吐いた所で。ベアトリーチェへの唇に口付けが落とされた。舌を絡めてぎゅうと抱きしめ合えば、その唇は何となくいつもより甘い気がした。
「アルバーノ」
「どうしました?」
絶頂の余韻に浸りながら、ベアトリーチェがふと口を開いた。
「貴方、本当に甘いものが好きなのね? あんなに沢山あったのに……全部食べてしまうなんて」
確かめるようにジッとアルバーノの目を見つめると、その瞳が僅かに揺れた。
「どう、してそれを……」
「マルコに聞いたの」
「……まさか今日のこれもアイツが……?」
「ええ、そうよ。ねぇ、アル? 私全然知らなかったわ。言ってくれたら、流行りのパティスリーにだって一緒に行けていたのに。それと、お父様からのドレスだって――」
口を尖らせながらベアトリーチェが拗ねたように言えば、アルバーノは目を泳がせながら小さく答える。そこには、いつもの自信に満ち溢れたアルバーノの姿はなかった。
「……それは……いえ、その……申し訳ありません。そんなのは私のイメージではないですし……ビーチェにはやはり、何の不安もなく過ごして頂きたくて……」
しどろもどろに答える彼の姿は大層可愛らしかった。意外な彼の一面を見れたような気がして、ベアトリーチェはその姿に少しだけ満足する。
けれどもまだ少し足りない。
「分かったわ」
「良かった……ありが――」
「でも、今度また私の知らない話がマルコの口から出てきたら……悔しくて家出してしまうかも」
「っ! それは……いえ、分かりました。全部、お話しましょう。……だから、そんな事は絶対にしないでください」
アルバーノは気が進まないようだが、例え格好悪い姿でも何でも、彼の事は何でも知りたいと思うのである。
「私の知らない貴方を、他人の口から聞きたくないの……お願いね。できる範囲でいいから……みんな教えて。貴方の口から聞きたいわ」
そう言って目の前の彼に口付けてから、ベアトリーチェはぎゅうとアルバーノを抱きしめる。彼はそれに応えるように抱き返すと、ベアトリーチェの耳元で呟くように言った。
「お嬢様には敵いません。……もしかして、不安にさせましたか?」
「……少しね」
「申し訳ありません。あの男にも何か言われたのでしょう? だからこんな……いえ、もちろんとてもヨかったですが……。後でアイツは一発殴っておきます」
今度はアルバーノが拗ねたように言うものだから、ベアトリーチェはようやくその言葉に笑みを浮かべる。
「楽しみだわ」
「ええ。……だからビーチェ、本当に信じてください。貴女は私の全てですよ。例え今の暮らしを手放す事になっても……国を出るような事態になったとしても――」
そう言って再び、アルバーノはベアトリーチェに口付けを落とした。
病める時も健やかなる時も。
二人でならばきっとどんな困難も乗り越えていける。そんな想いを胸に、ベアトリーチェは夫婦としての生活に思いを馳せた。
了
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