上 下
16 / 16

番外:EAT ME.4.※

しおりを挟む

 はぁはぁと息を乱しながら、未だに口を付けているアルバーノを切ない気持ちで見上げる。何も考えられなくなるほど気持ちがいい。けれどこれでは少し、何かが物足りなかった。奥にまで早く欲しくてたまらない。愛おしいアルバーノの分身を埋めて、この身をアルバーノで満たして欲しかった。――あんな男に負けないくらい、自分はとても愛されているのだと。それを早く証明してほしかった。

「アル……アルバーノ、お願い。クチはもういいから……っ早く、ちゃんとキて」
「!」
「奥が……足りないの……お願い……貴方のもので全部満たして――‼︎」

 ベアトリーチェが半ば叫ぶようにそう言った瞬間。アルバーノは上体を起こすと、その下衣をとうとう寛げ出した。そこから取り出されたはち切れんばかりの雄槍が、ベアトリーチェの泥濘みへと性急に押し付けられる。熱く激ったアルバーノの雄が感じられる。切ない感覚が胸の中から込み上げてくるようだった。

「ビーチェ……挿れますよ。痛かったら止めますから、ちゃんと言ってくださいね」
「ん……いいわ……早く奥まで――っんああああっ‼︎」

 どうやらアルバーノも限界だったようで。ベアトリーチェが言い終わるよりも前に、彼の剛直がみちみちと肉壁をかき分け、そのナカへと侵入した。じわじわとベアトリーチェの中がアルバーノで満たされていく。そう思うと背筋がぞくぞくと震えた。
 やがて最奥へと達したアルバーノは、熱く吐息を溢しながらベアトリーチェの顔中に口付けを送った。

「動きますよ」
「うん……んあっ! はっ……すごい、あつい……んっ、あああっ!」
「ビーチェ……もう貴女はこれで、正式に俺のものです。ずっとずっと、夢に見ていた」

 抜け出てしまうかと思うほどギリギリまで腰が引かれてから、ずんと奥にまで押し込められる。その動きはだんだんと速まり、余裕もなくなってくる。お互いの事しか目に入らない。
 ひどくいやらしい水音を立てながら、アルバーノは腰を振りたくっている。最奥まで届く程強く腰を叩き付け、解放の時を待っては歓喜に打ち震えていた。

 「はぁんっ、ん……アルッ、アルバーノ……! 私だけの……私だけを1番に、見て……ああっ、ん、お願いよ……」
「ッビーチェ! ……そんな風に煽ったら、歯止めが効かなくなりますよ……」
「んんっ……はぁ、ん……別に、構わないわ。結婚初夜ですもの……このままひと月、部屋に篭ってしまうのもいいわね……」
「……それは……」
「んんっ……別にいいでしょう? だって私達、晴れて正式に夫婦となったんですもの」

 そう言ったベアトリーチェの恍惚とした微笑みを見てしまったからだろう。アルバーノがいよいよ本気で腰を打ちつけ出した。

「あああっ、んん、アル、ああんっ! 激しっ――ああ、んうっ、」
「ああ、ビーチェ……可愛い、愛しています! もう俺も限界です。一緒に、イきましょうっ――!」
 「んん、あ、あああ……! っアル、アルバーノ……イッ、ちゃ、んあああああああっ‼︎」
 
 ばちゅばちゅと音を立てながら激しく律動を繰り返され、ベアトリーチェは嬌声をあげながら絶頂した。ばちばちと電流が駆け抜けるような感覚を覚え、頭が真っ白になる。無我夢中で目の前の男にしがみついた。

 そんなベアトリーチェの締め付けに耐え切れず、遅れてアルバーノもベアトリーチェの中で弾けた。何度か奥へ擦り付けるように腰を動かし、ホッと一息を吐いた所で。ベアトリーチェへの唇に口付けが落とされた。舌を絡めてぎゅうと抱きしめ合えば、その唇は何となくいつもより甘い気がした。

「アルバーノ」
「どうしました?」

 絶頂の余韻に浸りながら、ベアトリーチェがふと口を開いた。

「貴方、本当に甘いものが好きなのね? あんなに沢山あったのに……全部食べてしまうなんて」

 確かめるようにジッとアルバーノの目を見つめると、その瞳が僅かに揺れた。

「どう、してそれを……」
「マルコに聞いたの」
「……まさか今日のこれもアイツが……?」
「ええ、そうよ。ねぇ、アル? 私全然知らなかったわ。言ってくれたら、流行りのパティスリーにだって一緒に行けていたのに。それと、お父様からのドレスだって――」

 口を尖らせながらベアトリーチェが拗ねたように言えば、アルバーノは目を泳がせながら小さく答える。そこには、いつもの自信に満ち溢れたアルバーノの姿はなかった。

「……それは……いえ、その……申し訳ありません。そんなのは私のイメージではないですし……ビーチェにはやはり、何の不安もなく過ごして頂きたくて……」

 しどろもどろに答える彼の姿は大層可愛らしかった。意外な彼の一面を見れたような気がして、ベアトリーチェはその姿に少しだけ満足する。
 けれどもまだ少し足りない。

「分かったわ」
「良かった……ありが――」
「でも、今度また私の知らない話がマルコの口から出てきたら……悔しくて家出してしまうかも」 
「っ! それは……いえ、分かりました。全部、お話しましょう。……だから、そんな事は絶対にしないでください」

 アルバーノは気が進まないようだが、例え格好悪い姿でも何でも、彼の事は何でも知りたいと思うのである。

「私の知らない貴方を、他人の口から聞きたくないの……お願いね。できる範囲でいいから……みんな教えて。貴方の口から聞きたいわ」

 そう言って目の前の彼に口付けてから、ベアトリーチェはぎゅうとアルバーノを抱きしめる。彼はそれに応えるように抱き返すと、ベアトリーチェの耳元で呟くように言った。

「お嬢様には敵いません。……もしかして、不安にさせましたか?」
「……少しね」
「申し訳ありません。あの男にも何か言われたのでしょう? だからこんな……いえ、もちろんとてもヨかったですが……。後でアイツは一発殴っておきます」

 今度はアルバーノが拗ねたように言うものだから、ベアトリーチェはようやくその言葉に笑みを浮かべる。

「楽しみだわ」
「ええ。……だからビーチェ、本当に信じてください。貴女は私の全てですよ。例え今の暮らしを手放す事になっても……国を出るような事態になったとしても――」

 そう言って再び、アルバーノはベアトリーチェに口付けを落とした。

 病める時も健やかなる時も。
 二人でならばきっとどんな困難も乗り越えていける。そんな想いを胸に、ベアトリーチェは夫婦としての生活に思いを馳せた。


 了
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!

当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。 しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。 彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。 このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。 しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。 好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。 ※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*) ※他のサイトにも重複投稿しています。

大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました

扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!? *こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。 ―― ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。 そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。 その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。 結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。 が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。 彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。 しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。 どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。 そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。 ――もしかして、これは嫌がらせ? メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。 「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」 どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……? *WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

18禁の乙女ゲームの悪役令嬢~恋愛フラグより抱かれるフラグが上ってどう言うことなの?

KUMA
恋愛
※最初王子とのHAPPY ENDの予定でしたが義兄弟達との快楽ENDに変更しました。※ ある日前世の記憶があるローズマリアはここが異世界ではない姉の中毒症とも言える2次元乙女ゲームの世界だと気付く。 しかも18禁のかなり高い確率で、エッチなフラグがたつと姉から嫌って程聞かされていた。 でもローズマリアは安心していた、攻略キャラクターは皆ヒロインのマリアンヌと肉体関係になると。 ローズマリアは婚約解消しようと…だが前世のローズマリアは天然タラシ(本人知らない) 攻略キャラは婚約者の王子 宰相の息子(執事に変装) 義兄(再婚)二人の騎士 実の弟(新ルートキャラ) 姉は乙女ゲーム(18禁)そしてローズマリアはBL(18禁)が好き過ぎる腐女子の処女男の子と恋愛よりBLのエッチを見るのが好きだから。 正直あんまり覚えていない、ローズマリアは婚約者意外の攻略キャラは知らずそこまで警戒しずに接した所新ルートを発掘!(婚約の顔はかろうじて) 悪役令嬢淫乱ルートになるとは知らない…

処理中です...