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六月九日(日)

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 休日。実梨果からLINE。
 
「八重どくだみの大先輩からのお誘いよ。溝巻希氏を語る会を開きましょう、ですって」

「そっか……溝巻が海に還ってから一年ね」

 季節はずれのとんびが頭上を回ったあの日の記憶が、あたしの薄くて脆い扉をあっけなく開く。

「あたし達ふたりきりだと溝巻悪口大会になるけれど、彼女が一緒なら溝巻もホッとするかもね」

「じゃ、今から来れる?」

「無理無理。今日は宛名書き二日目、部屋に閉じ籠るわ」

「こんな青空の日にもったいない」

「今や、絵の完成より宛名書きの完成を目指してるのよ。なんなら実梨果にも手伝って欲しいくらい」

「やーよ、即座に却下します」

「わーん、薄情者~」

「またお誘いするわ、がんばってね、曖琉」

 今日のあたしは、目が腫れるほど、親指の付け根が悲鳴あげるほど、書いて書いて書いて書いて書いて……あ、また宛名以外のものを書いてたわ。
 ちゃんと絵も描いてね、あたしのエレメント。
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