3 / 27
六月三日(月)
しおりを挟む髪をどうしたものかと迷ってるのよね。
しばらく伸ばしていたけど、やっぱり切ろうかな。
さらさらマッシュヘアーに戻したい気もするけど、ピンクに染めたショートボブもいいかもね。
空のご機嫌は、今日も雲行きあやしいから、髪は束ねてった方がいいわね。
ゴムでぐるぐる、お手製のバレッタでばちんと留める。
ほら、十秒でシニヨンの出来上がり。
黒い魔女ワンピで傘持ってバイトに出かけよう。
一昨日の客注、溝巻の短編集『駅から歩いて十二年』、入荷はまだよね。
レジカウンターの後ろでチェックしていると、ひそひそ声が、多分あたしのこと言ってる。
「中里さんの、アレ何?」
「コワくない?」
「不気味」
「中里さん、変だよね」
聞き捨てならないわ、あなたたち! とは言わずに、
「なあに?」って、にっこり笑顔をレジの女子スタッフに向ける。
「あの、中里さんの髪に付いてるのって人形ですか?」
「うん、そうよ」
「気味悪くないですか?」
「可愛いじゃない……ふふふ、実はこの子たち虹の生贄なの」
「ええええ~! やだぁ、コワ~い」
え? こんなことで怖がるの?
マジに気持ち悪がってるこの女子たちが、あたしにはまるで理解できないのでした。
だって、全然気味悪くない、ただのちっちゃな人形をバレッタに縫い付けただけなんだから。可愛いのに……
面白いから、明日もシニヨンにこの子たちを装着してくることに、たった今決めたわ。
31
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【新作】読切超短編集 1分で読める!!!
Grisly
現代文学
⭐︎登録お願いします。
1分で読める!読切超短編小説
新作短編小説は全てこちらに投稿。
⭐︎登録忘れずに!コメントお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる