【完結】復讐姫にはなりたくないので全て悪役に押し付けます

 預言により未来の聖女としてチヤホヤされてきた伯爵令嬢アリソンは、新たな預言により男爵令嬢デボラにその地位を追われ、婚約者である王太子も奪われ、最後は家族もろとも国外追放となってしまう。ズタボロにされた彼女は全ての裏切り者に復讐を誓った……。

 そんな『復讐姫アリソン』という小説の主人公に生まれ変わったことに、物語が始まる直前、運よく頭をぶつけた衝撃で気が付くことができた。

「あっぶねぇー!」

 復讐なんてそんな面倒くさいことしたって仕方がない。彼女の望みは、これまで通り何一つ苦労なく暮らすこと。

 その為に、とことん手を尽くすことに決めた。
 別に聖女にも王妃になりたいわけではない。前世の記憶を取り戻した今、聖女の生活なんてなんの楽しみも見いだせなかった。

「なんで私1人が国の為にあくせく働かなきゃならないのよ! そういうのは心からやりたい人がやった方がいいに決まってる!」

 前世の記憶が戻ると同時に彼女の性格も変わり始めていた。

 だから彼女は一家を引き連れて、隣国へと移住することに。スムーズに国を出てスムーズに新たな国で安定した生活をするには、どの道ニセ聖女の汚名は邪魔だ。

 そのためには悪役デボラ嬢をどうにかコントロールしなければ……。

「聖女も王妃も全部くれてやるわ! ……だからその他付随するものも全て持って行ってね!!!」

「アリソン様……少々やりすぎです……」

 そうそう幼馴染の護衛、ギルバートの未来も守らなければ。

 作戦は順調に行くというのに、どうも思ったようには進まない。

 円満に国外出るため。復讐姫と呼ばれる世界を変えるため。
 アリソンの奔走が始まります。
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