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AFTER DAYS 終わらない日常
42c 草野キリカの視点 7
しおりを挟むおもしろくねぇ。
何もかも。
なんていうの? 必要最低限? みたいな?
ああ。自分の脳内語り口調もむかつくわ。半疑問形は止めよう。
会場入りしたカスミに、ほんっとに、挨拶だけ。特に女子。挨拶すらしなかった子もいたよ。そして男子のほうは、こっちはこっちでカスミのほうが必要最低限というよりそれ以下の対応しかしないもんだから、アオタニ君、いつもより多く喋ってます、ってカンジ。
一番面白くないのは、なんだかこそこそ喋ってるところ。言いたいことがあるなら言えばいいじゃん。なんでそこでこっちちらちら見ながらささやきあってるわけ?
あー。むかつく。そのせいか飲み物が進んで進んで。始まって十五分経ってないのに二杯目がそろそろ底つきそうだわ。
「おかわりしてくる。カスミ、なんかいる?」
ジョッキ持って、立ち上がる前に隣りでちびちびウーロン茶飲んでるカスミに聞く。
「ううん。私はいいや。けどお手洗い行くから」
ハイハイ。あー……もしかして一人になりたくないんだろうなと勝手に解釈して、二人で立ち上がって、人を避けながら会場をでる。会場、って言っても居酒屋の三階のフツウの座敷なんだけどね。
「おーい。おかわりちょうだーい」
スタッフが待機してる部屋は出入り口のすぐとなり。
紺色の暖簾の向こうに声をかけると、奥から威勢のいい返事。
「ハイよ。って。なーんだ。リカじゃん。ナニしてるのこんなところで。手伝いにきたの?」
「誰が。今日は客! って言うか、虹子さんこそ何でまだいるの? 相変わらず屋上で暮らしてるの?」
出てきた女性が笑う。私のいたころすでに古株だったはずの虹子(にじこ)さんが、変わんないカンジで、くわえてた楊枝左手に持って立ってた。タバコは灰が落ちるからって、店にいるときは自主禁煙って笑ってたけど、今も変わってないんだな。
「屋上? コンテナハウスのこと? アレ去年の台風で半壊してさ、今はあんたたちが宴会してるとこで寝てる」
相変わらず住所不定有職状態ですか。私がここで働き出したときにはもうこの人ココに住んでたもん。最初、店長のアイジンだとかビルオーナーの隠し子だとか、いろいろうわさは聞いた。全部ウソだったけど。虹子って名前も本名かどうか怪しいもん。
どうしてそのうわさがウソだって分かったかって言うと、虹子さんって異性より同性のほうが好きな人だったから。ちなみにワタシは虹子さんの好みの範疇を大きくはみ出てたらしくて、範疇内にいた小さくてかわいい女の子の言うようなコワイ目に遭う事はなかったんだけど。
「あら、彼女連れ? コンバンワ」
「こんばんは」
にっこり笑って私の斜め後ろにいたカスミだけ見てるし、この人は。
「あ、この人ね、虹子サン。見ての通りの人。高一から高二の終わりまで私ココでバイトしてたの。飲み屋のバイトはさすがの新城東もNGだからさ。こっそり」
「誰がこっそり、よ。客と飲み比べやったりしたくせに。居酒屋からキャバレーに業種変更かと思ったわよ。あんたがいたときは」
そんなこと何度もしてないってば!!
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
この話はフィクションです。
未成年の飲酒ダメ。
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