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抱きしめて抱きしめて抱きしめてキスを交わそう
5-4 家
しおりを挟む夏清の腕を己の首に回させる。
何も言えずにされるままになっている夏清にキスをして、微笑む。
「お前が誰か他のヤツのものになったら、殺すかもしれない」
やわらかい頬をなでる。
「その時はそいつだけ残して、お前だけ奪うよ」
『もしか』したら『いつか』現れる『かもしれない誰か』を、自分は許せないだろう。今日のことにしても。いや、今日の場合、手元に刃物でもあったら、きっと何の躊躇もなく、彼らを刺していた自信があるのに。
濡れたままの髪を一房。乾いていると分からないけれど、濡らすとまだすこしパーマが残っていて、指に絡めるとくるくる巻き付いて、けれどサラサラとやわらかい髪は、あっさりほどける。
「そんなの、絶対無いよ。だって私が先生から離れるなんてないもの。でも、ずっとずっと何年も経って、私が年を取っても、先生が先生やってる限り、ずーっと若い子といっしょなんだよ?」
「安心しろよ。俺のほうが早くじじいになるから」
言われて、それもそうかと思う。
「今ものすごく納得しただろう?」
「うん。あと先生性格悪いから大丈夫かな、とも思った」
「ほーう……」
目を細めて笑う井名里に、夏清がしまったという顔をするがもう遅い。
「ひゃははははっ やめてやめてやめてっ! くすぐったい! はなして!! ごめんなさい、もう言わないからっ!!」
全身くすぐられて夏清が身を捩って逃げても、浮いた腰に手が回り、抱きしめられて身動きが取れなくなる。
「や、んんっ」
敏感に勃ちあがった乳首に、井名里が軽く噛み付く。弓なりに反った背骨ををなでて、体を徐々にずらしていく。胸元から腹、大たい骨。体中に痕をつけたいけれど、そう言えば身体測定がどうのといっていたのを思い出し、骨盤の上にだけ強く痕を残して、目的地にたどり着く。
「いっ! ぁあっん」
会話をしている間全く触っていなかったにもかかわらず、夏清のそこはすでにどろどろに熱くなっている。軽く舐めただけで夏清が声をあげる。反応して足がびくりと突っ張った。
「あ……やだ」
中途半端にされたことと、井名里の言葉にどきどきしていたら、知らないうちに濡れていた。見つかって、夏清が真っ赤になって井名里の頭をはがそうとする。
普段なら無視する抵抗に、井名里が顔を上げる。
降りてきた方とは逆の場所にまた痕をつけて体を戻して、潤んだそこを確認するように指で触る。
「ン、は……あっ!」
それだけでも夏清が声をあげて肩をすくめる。左足を掴んで、今までの刺激で充分に準備が整ったそこに、一気に侵入する。
「っ!!」
何度も何度も、同じことをしてきたのに、飽きないどころかどんどん深みにハマっている気がする。
「あっん…礼良っあきら、っん、ひゃっ」
夢中で名前を呼びながらしがみついてくる夏清を腕の中に抱きこむ。
「夏清」
「ん、はっぁッ! きら……っ!! ぁあっや、も……そんな、したら……」
「……イきそう?」
「んっ」
顔を覗きこむと、夏清が慌てて目を閉じる。それだけで夏清の全身に力が入って、がっちりと締め上げられて、夏清の声の直後に井名里が軽くうめいて止まる。
息をついて額にキスをして。このままどうにでもなればいい。どうなったとしても、この腕の中のものを手放したくはない。絶対に。
全てをむさぼり尽くすような、井名里の激しさに夏清が悲鳴を上げる。
「うっん、ッく! だめッやだ、もっと……あんっ礼良っイク、いいっんっイっちゃう!!」
その声を聞きながら、井名里は夏清を抱きしめた。
だくだくと波打つ感覚に酔いしれて、しばらくそのまま動かずにじっと抱かれていた夏清が、おずおずと問いかける。
「……せー……あきら? ……っきゃッ!」
夏清を抱いたまま井名里が仰向けに転がる。
「やーんいきなり動かないでよ」
達した余韻の残る体が予期せぬ場所が擦れて夏清がうめく。ずっと抱きしめられたまま下にいたせいで動けなかった夏清が体を離そうとするのを井名里が黙って制する。
「いろよ、このまま」
「……このままって……このまま?」
繋がったまま? と夏清がいやんという顔をする。けれどなんだかすがるような井名里の目にいつものように拒絶できずにため息をついてどうせ重くなったらどかされるだろうと井名里の上にのしかかる。
「ここにいる。だって私が帰ってきたいのはここだけだもん」
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