あい らぶ? こめ。

神室さち

文字の大きさ
上 下
92 / 129
後悔先に立たず

ちゃんと謝るからサバ味噌煮引かないで。

しおりを挟む



 今日の晩ごはんは柊也作。俺もちょっとだけお手伝い。

 フツーの和食。

 ご飯とみそ汁とほうれん草にしらすが入ったお浸しと、里芋の煮物とサバ味噌煮。しかも美味い。

 なにコレ美味い。冷蔵庫から出てきた麦茶とか入れるボトルに昆布入っててびっくりしたけど。

「柊也も料理できたの?」

「本当に失敬な子ですね。藤也に出来て私に出来ないわけがないでしょう」

 ああ、そうですか。そうですよね。ゴメンナサイ。ちゃんと謝るからサバ味噌煮引かないで。

 今夜は、なんか藤也は自分の店の方とは違う仕事があるとかで、帰ってくるのは九時くらいらしい。ので、柊也と二人ご飯中。

 でも、帰ってきて小一時間くらいでこれだけ作れるってすごい。

 二人が外食連れて行ってくれてたから、俺の中でこいつらは毎日外食ってイメージだったんだけど。

「これだけできるならあんないつもいつも外食しなくてよかったんじゃねぇの?」

「連れ出す口実は外食が一番簡単でしょう。普段も外食が多かったですよ。一人分作っていても不経済ですからね」

 ご飯とみそ汁を一杯ずつお代わりしてお腹いっぱい食べてお茶を飲んでたら藤也が帰ってきた。

「あー もう疲れたー」

 右肩に左手置いて、腕をぐるんぐるん回しながらリビングダイニングに入ってきた藤也がため息つきながら第一声。

「おかえ……いきなり抱きつくなー!!」

「ちょっとマコチャージ」

「生気吸う気かッ!? ってか重ッ 腰ッ 痛ッ!!」

 ガバッと圧し掛かられて、背中が反る。ぐぎぎぎぎっ

「夕食は?」

「おー なんか超美味そう……でも悪ぃ 何も入ってない茶漬けほしい。胃がおかしい……」

 また、はーって盛大なため息をついて、藤也が離れて、俺の前のイスにどっかり座る。

「何? どしたの?」

「テレビのお仕事。一時間番組なんだけど、料理系は拘束長くてさ。しかもタレントが作った不味くはねぇにしても美味くもない、よくわかんねぇ創作料理食って大げさにおいしいとか。マジでエージェントやめて俺もうテレビでない」

「藤也テレビ出てたの!?」

「時々。年に数回。グルメ番組とか、芸能人料理王決定戦の審査員とか。いてもいなくても関係ない、毒にも薬にもなんねぇようなの」

「毎回毎回『もう出ない』って言っといて、結局エージェントの社長に押し切られてるんですよ、藤也は」

 藤也の前に、柊也が白ごはんとお茶の入った急須と、塩? コショウ?

 コショウがりがりする容器だったけど、どうやら入ってたのは塩。ご飯の上に塩振りかけて、お茶ドバーって。それをまた、豪快にかきこむ。

「うん、シンプルに紅岩塩が美味い」

 あっという間に平らげて。

「やっぱ、疲れた時はゆっくり風呂だよなぁ」

「もう張ってありますよ」

「えええええ!? いつの間にッ!?」

 張ってあるなら言って! 勝手に入ったから!!

「というわけで、真琴」

「ゆーっくり、じーっくり、お風呂はいろっか」



 頭ぷるぷる振って、遠慮したところでどうにもならない。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

支配された捜査員達はステージの上で恥辱ショーの開始を告げる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ドSな義兄ちゃんは、ドMな僕を調教する

天災
BL
 ドSな義兄ちゃんは僕を調教する。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

部室強制監獄

裕光
BL
 夜8時に毎日更新します!  高校2年生サッカー部所属の祐介。  先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。  ある日の夜。  剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう  気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた  現れたのは蓮ともう1人。  1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。  そして大野は裕介に向かって言った。  大野「お前も肉便器に改造してやる」  大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…  

高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる

天災
BL
 高校生の僕は、大学生のお兄さんに捕まって責められる。

処理中です...