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後悔先に立たず
舞台ってなんだよ!?
しおりを挟む二の句が継げなくなった俺を放置して、そろそろ玄関まで上がってくるであろう家具屋さんを出迎える為に藤也がリビングダイニングから出て行ってしまう。
バタバタと複数の足音。お揃いのユニフォームの家具屋さんが二人。ベッドの枠っぽいのを重そうに運びながらやってきた。
黙ったまま会釈したら、向こうもぺこっと返してくれた。俺の横を通り過ぎて、藤也が寝室に案内している。
「あのベッドちょっと移動して、あっち側に一つと、こっち側に一つしてくれる?」
などと言う、ものすごく漠然とした指示だったのに、二人は『わかりましたッ』って返事して、枠を組み立て始めた。
すぐにまた『お邪魔します』という声が玄関から聞こえて、藤也が迎えに行くと、シングルサイズのマットレスが来た。
それを運んだ人たちは、すぐにまた別のものを取りに行って、運んで……を数回繰り返し、あっという間にベッドをセッティングして帰って行った。
何であんたたち、その構図に疑問を持たない……って言うか、なんで俺がこんなカッコしてここにいるか不思議に思わない……なんか、無駄にチラチラ見られてたけど、声は掛けてこられなかった。仕事だから?
「ぃよーっし。今日から気兼ねなくいちゃいちゃできるぞー マコ」
「したくねぇし。って言うか、しないし!!」
「えー 今夜も三十分耐久するんだろ? やっぱ舞台は広くて安定してるのがいいだろ」
舞台ってなんだよ!?
「あ、もうこんな時間か。すまん、ちょっと仕事行ってくる。今日も柊也の方が帰り早いと思うからいい子で待ってろよー?」
俺のセリフ丸無視して、藤也がばたばたと出て行ってしまった。時計を見たら午後二時くらい。
何にもすることないから、トイレ行った後リビングのソファにゆーっくり、移動してぽちぽちテレビのチャンネルを変えてみる。
「んとにもー 何考えてんだよあの双子」
とか、悪態付きながら見ていたら、いつのまにか寝てしまっていた。テレビ付けたまま。
仕事から帰ってきた柊也に毛布かけられた気配でのろのろと起きて。
「起こしてしまいましたか」
スーツを脱いだ柊也が、ソファーの背もたれの向こうから、頭ぽんぽんしながら聞いてくる。
「んー……何時?」
「七時過ぎですね。喉は乾いてませんか?」
「乾いた」
冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出してる柊也を何気に目で追って。
その時、気付いた。
しまった、誰もいない間にカバン、捜索しとけばよかった……って。
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