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OUT OF DAYS
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しおりを挟む送り出されたと言うより、追い出された。蹴りだされたと表現する方が正しいかもしれない。二人とも秘書らしく花のあるスーツ姿で実際に瀬崎を蹴ったりはしていないのだが。
秘書室から出ればそこは戦場だ。暫く引きこもっていたこともあって、ちょっとフラフラしようものなら誰かに捕まって探りを入れられるので、トイレだって猛ダッシュで行って帰っていた。ただし、トイレ内部にも待ち構えている猛者がいたのであまり功を奏さなかったのだが。
「あっ 瀬崎く……」
「すいません俺、重大任務があるんでッ!!」
呆然としていたら、矢庭に背後から声がかかる。振り向いたら廊下でなど過去一度も遭遇したこともなければ、瀬崎のことなど名前さえ覚えていなかったはずの三島部長が立っていた。脊髄反射で叫ぶように答えて、走って逃げる。体格に相応の速度しか出せない三島を振り切り、運良く秘書の一人が降りて閉まりかけたエレベータにカードを翳し、入れ違いで駆け込む。
いつものクセでロビーのある一階を指定して、動き出した箱の中で端とセコイことに気付く。
移動費は、誰持ちなんだろうと。
ロビーから移動費について増本に問うと、ケロッとした口調で借り上げハイヤーがあれば使ってよいとの答えを貰い、もう一度エレベータで地下階へ移動して運良く空いていた車の使用願いを書き込んで乗り込む。
氷川系列の自動車メーカの最新モデルとは行かないまでも、普通なら乗れないランクの乗用車の中でその乗り心地も気にする余裕もないまま瀬崎が持ってでてきた書類を握り締める。哉の住むマンションには一度行ったことがある。
一応の地名を告げて、マンションに近づいた時は人力ナビである。瀬崎の指示通り、かなり年配の運転手が滑らかに車を走らせる。
心地良い移動時間中、ついうっかり眠ってしまったものの、大方の場所に着いた運転手によって起こして頂いたので、無残な寝起き状態で車から降りることは免れた。
暫く待っていて欲しいと頼むと、暫く辺りを流しておきますと、携帯番号の書かれた紙を渡された。
遠ざかる車の後部を未練がましく見送って、綺麗に磨かれたエントランスへ入る。
案の定、自動ドアはロックされており、その横にあるパネルで操作をするようだ。うろ覚えのまま部屋番号を押して、果たしてその番号で合っているのか、はたまた合っていたところで出てくれるのかと、まんじりともせずじっ文字パネルを見つめる。
一秒が一分ほどに感じる。じっとりと手のひらに汗が滲むのにも気付かないまま固まっていると、通話状況に切り替わるざりざりした音の後に、声が届いた。ほんの一週間ほど前に聞いているのにやたらと懐かしい、一言なのにその抑揚のなさに何やらほっとしてしまう。
「あの、突然すみません……今、時間あいてるでしょうか?」
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