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学園☆天国
8 side夏清
しおりを挟む「見て、琉伊。本物のバラのようだわ。アナタのお兄様は相変わらず器用でらっしゃるのね」
視線をすぐに台のほうに向けて、そこに転がった、氷川さんの折ったバラを見て大げさにため息をついている。仕草がいちいちオトメっぽい。
「こんにちは。お久しぶりです」
「ああ、十年ぶり、くらいか」
オトメな人に『ルイ』と呼ばれたすっごいほっそりしたすんごい美人が、先生に挨拶をして、先生も返している。知り合い? 知り合いなの?
「だれ?」
「ああ、哉の妹、琉伊。あっちの騒がしい人は、その同級生の……桐生ユリ……結婚してなかったらな」
「妹!? あんまり似てない……」
なんていうか全然違う人種に見えるんだけど。
「そうか? 割と似てるんだが……ああ、夏清は公の方を先に見てるからな。確かに琉伊は公の方が似てるな」
そう言われて改めて見ると、ああそうかって思う。そうだ、この人は公さんと似てるんだ。すっきりした目元とか。うん、見れば見るほど公さんの女版、美人なわけだ。
そのとなりに、あふれるほど居るこの学園の制服姿の女の子が小さな男の子と手を繋いで立っていた。うわあ、こっちもかわいいなぁ コレまで何人も同じ制服の女の子を見てきたけど、ダントツな感じ。なんでココ、こんなにレベルが高いんだろう。キリカをつれてきたらよだれたらして喜びそう。子羊ちゃんの群れにオオカミぶっこむようなもんだから、絶対にしないけど。
なんて考えてたら、いつの間に移動したのか、その少女の前に氷川さんがいた。
──音が全然しなかったんですけど。
絶対目の前を通ったはずなのに、気配すら感じなかったのはどうしてですか? 最近キリカと仲良くなったせいか、少しずつ己の欲望のまま行動や想像が動きがちだし、その心赴くまま美女や美少女に見惚れていたのは認める。だけど、それにしたって空気過ぎやしませんか? 氷川さん……
「わぁ すごい。これ、氷川さんが折ったんですか? きれい。いただいていいんですか?」
氷川さんが最後に折った、おそらく最初に作ったもの(私が持ってるのは二番目に折ったやつで、多分アレは三番目の作品)より出来がいいであろうピンクのバラを、子供と繋いでいないほうの手で受け取って、その美少女がにっこり氷川さんに笑みを返している。あああ、その笑顔は反則だと思うよ。
そんな砂糖菓子みたいな笑顔を、手を繋いでいる子供に向けて、子供に合わせてしゃがんで、もらったバラを見せてあげている。さり気にそう言う風にしてあげられる子って点数高いよね。
「見てみて、柾虎君。すごいでしょう?」
「ああ、すごいな……あうあっ!?」
手元のバラを見るためなのか、顔と顔が近い。良くわからないけど仲がよさそう。きっといいお母さんになりそうだなぁとか、想像してしま………うあ? あ?
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