127 / 132
Ⅵ章 衰亡
127
しおりを挟む
それからは二つ目の都市も特に問題なく落とし、さらには三つ目の都市にまで攻め込む。
「おいっ!戦車を…いや、このさい整備中の砲塔をパーツだけでも良い!!ありったけもってこい!!適当な端材で固定して即席の大砲にしてぶっ放せ!」
「くそっ!!このキモい奴はどっから来やがったんだっ!!」
「知るかっ!良いから手を動かせよっ!!」
「報告は聞いているな!?あの人腕ナメクジには極力近づくな!周囲には神経毒のようなものが散布されてるぞ!近づけば動けなくなって食われるだけだ!!」
「黒竜は軍に任せろ!!あの人間の腕まみれのナメクジみたいな化け物は遠距離から撃ちまくれ!」
「どうせ食われるなら爆弾担いで特攻してやんよ!!」
「逃げろーっ!!逃げるんだぁっ!!」
「地雷ゾーンにて目標被弾…ダメです!人腕ナメクジにはバリケードがわりにしかなりません!!」
三つ目の都市ともなると情報を共有し、それを元に対策を練る時間は十分にあるせいか、思っていたより街の人間の抵抗が激しいことを除けば三つ目も問題なく攻略できそうだ。
ドーラに対する対応は変わらず、しかし人腕ナメクジと呼ばれてるらしい人腕ナマコに対しては地雷を始めとする罠や、爆弾片手に特攻してきたりと物理的にも精神的にも時間が要りそうな戦術も絡めて向かってくる。
特に問題なのが爆弾を担いでのやぶれかぶれの特攻である。
死体が爆弾でバラバラになってしまうと、その巨大さゆえに飛び散った肉片を集めることができるほど小回りが利かない人腕ナマコでは御遺体回収が出来なくなってしまう。
人腕ナマコにとっては地雷を含め、その程度の攻撃では悪あがきにしかならないのが幸いか。
巨大旅客機並みのサイズと特殊な防御スキルを持つゆえに、多少の爆発物など殆ど意味はない。
というのも、人腕ナマコの持つスキルである『超キャッチ結合組織』は地球のナマコを始めとした棘皮動物の「潰したりしようとして刺激を受けると刺激を受けた部位の組織が非常に柔らかくなる」という特徴を持つ「キャッチ結合組織」という組織を魔王クリエイターによって再現、強化した代物であり、そのおかげで人腕ナマコに物理的な攻撃はほぼ意味がなくなっている。
普通の地球産のナマコの場合、キャッチ結合組織のお陰で、種類によっては握りしめているだけでバラバラになるほどに柔らかくなることすらあるのだが、これは言い換えれば「物理的な刺激に物理的な反発をせずに、透過」する能力となる。
超キャッチ結合組織スキルとはその能力をより即効性に、かつ強化したことで物理的なダメージを殆ど無効にするスキルである。
仮に銃弾や大砲が人腕ナマコの体に当たったても、当たった瞬間に人腕ナマコの体組織が柔らかくなることで水を貫くように貫通。
そして、貫通したあとですぐに元の体の固さに戻る。
一時的にでも体組織に穴が空くので、体液が多少失われるが、巨体である人腕ナマコからすれば微々たるものであり、超再生スキルもあいまって、実質的にはダメージゼロとなる。
爆弾による衝撃も殆ど意味はなく、熱で多少表皮が焼かれてもそれもまた超再生スキルですぐに治ってしまう。
つまり何が言いたいかといえば、無駄死になので爆弾特攻はやめて貰いたい。
だからといって無抵抗に食われろとまでは言わないけれども、懸命に対抗しようとする姿を見ると考えないようにしている罪悪感が首をもたげるので、あまり見ていたくは無い光景である。
ちなみに現在の御遺体ストックは25万人分ほど。
人腕ナマコ一体につき、10万人分ほどを回収できるで、三つ目の都市に攻め込む段階ですでに人腕ナマコ2.5体分の材料が溜まっていることになる。
あまり時間をかけず、かつ特に作戦もなく雑に攻め込ませてこれなので、流石に人口が多い世界なだけはある。
御遺体ストックがめちゃめちゃ溜まりやすい。
これだけあれば人腕ナマコくらいの巨体を持つ魔王を10体くらい、材料を多めに使ってスキル容量増強をした強めの魔王でも4、5体は創れる。
全部使って、ドーラ以上の魔王を生み出すのもありかも。
当初予定していた戦闘用魔王は人腕ナマコを先に創ったためにまだ創っていない。
人腕ナマコの貯蓄囊も2体分は埋まってしまったわけだし、ここらで一体くらいは完全な戦闘用を創ってみようかと考える。
現状戦闘用と言えるのはドーラと、相変わらず念のための退路確保用として後方に配置してる魔王の2体のみ。
いや、後方に置いてある彼女も完全な戦闘用とは言い難い…超進化スキルを持ってるから闇太郎や聖女たちに比べれば戦闘も出来るが、彼女を戦闘に使うのは些か気が引ける。
せっかく、命を拾ったのだから。
さて。
では、どうするかと悩む。
御遺体ストックを満タンにして取っておくか、今のタイミングで戦力増強に使ってしまうか。
切り札を取っておくかどうかで悩む。
悩むが、そう。
創るべきだな。
取って置かなくても、この調子ならばまたすぐに御遺体は貯まるだろうの精神で御遺体を使い切ってしまうことにしよう。
「おいっ!戦車を…いや、このさい整備中の砲塔をパーツだけでも良い!!ありったけもってこい!!適当な端材で固定して即席の大砲にしてぶっ放せ!」
「くそっ!!このキモい奴はどっから来やがったんだっ!!」
「知るかっ!良いから手を動かせよっ!!」
「報告は聞いているな!?あの人腕ナメクジには極力近づくな!周囲には神経毒のようなものが散布されてるぞ!近づけば動けなくなって食われるだけだ!!」
「黒竜は軍に任せろ!!あの人間の腕まみれのナメクジみたいな化け物は遠距離から撃ちまくれ!」
「どうせ食われるなら爆弾担いで特攻してやんよ!!」
「逃げろーっ!!逃げるんだぁっ!!」
「地雷ゾーンにて目標被弾…ダメです!人腕ナメクジにはバリケードがわりにしかなりません!!」
三つ目の都市ともなると情報を共有し、それを元に対策を練る時間は十分にあるせいか、思っていたより街の人間の抵抗が激しいことを除けば三つ目も問題なく攻略できそうだ。
ドーラに対する対応は変わらず、しかし人腕ナメクジと呼ばれてるらしい人腕ナマコに対しては地雷を始めとする罠や、爆弾片手に特攻してきたりと物理的にも精神的にも時間が要りそうな戦術も絡めて向かってくる。
特に問題なのが爆弾を担いでのやぶれかぶれの特攻である。
死体が爆弾でバラバラになってしまうと、その巨大さゆえに飛び散った肉片を集めることができるほど小回りが利かない人腕ナマコでは御遺体回収が出来なくなってしまう。
人腕ナマコにとっては地雷を含め、その程度の攻撃では悪あがきにしかならないのが幸いか。
巨大旅客機並みのサイズと特殊な防御スキルを持つゆえに、多少の爆発物など殆ど意味はない。
というのも、人腕ナマコの持つスキルである『超キャッチ結合組織』は地球のナマコを始めとした棘皮動物の「潰したりしようとして刺激を受けると刺激を受けた部位の組織が非常に柔らかくなる」という特徴を持つ「キャッチ結合組織」という組織を魔王クリエイターによって再現、強化した代物であり、そのおかげで人腕ナマコに物理的な攻撃はほぼ意味がなくなっている。
普通の地球産のナマコの場合、キャッチ結合組織のお陰で、種類によっては握りしめているだけでバラバラになるほどに柔らかくなることすらあるのだが、これは言い換えれば「物理的な刺激に物理的な反発をせずに、透過」する能力となる。
超キャッチ結合組織スキルとはその能力をより即効性に、かつ強化したことで物理的なダメージを殆ど無効にするスキルである。
仮に銃弾や大砲が人腕ナマコの体に当たったても、当たった瞬間に人腕ナマコの体組織が柔らかくなることで水を貫くように貫通。
そして、貫通したあとですぐに元の体の固さに戻る。
一時的にでも体組織に穴が空くので、体液が多少失われるが、巨体である人腕ナマコからすれば微々たるものであり、超再生スキルもあいまって、実質的にはダメージゼロとなる。
爆弾による衝撃も殆ど意味はなく、熱で多少表皮が焼かれてもそれもまた超再生スキルですぐに治ってしまう。
つまり何が言いたいかといえば、無駄死になので爆弾特攻はやめて貰いたい。
だからといって無抵抗に食われろとまでは言わないけれども、懸命に対抗しようとする姿を見ると考えないようにしている罪悪感が首をもたげるので、あまり見ていたくは無い光景である。
ちなみに現在の御遺体ストックは25万人分ほど。
人腕ナマコ一体につき、10万人分ほどを回収できるで、三つ目の都市に攻め込む段階ですでに人腕ナマコ2.5体分の材料が溜まっていることになる。
あまり時間をかけず、かつ特に作戦もなく雑に攻め込ませてこれなので、流石に人口が多い世界なだけはある。
御遺体ストックがめちゃめちゃ溜まりやすい。
これだけあれば人腕ナマコくらいの巨体を持つ魔王を10体くらい、材料を多めに使ってスキル容量増強をした強めの魔王でも4、5体は創れる。
全部使って、ドーラ以上の魔王を生み出すのもありかも。
当初予定していた戦闘用魔王は人腕ナマコを先に創ったためにまだ創っていない。
人腕ナマコの貯蓄囊も2体分は埋まってしまったわけだし、ここらで一体くらいは完全な戦闘用を創ってみようかと考える。
現状戦闘用と言えるのはドーラと、相変わらず念のための退路確保用として後方に配置してる魔王の2体のみ。
いや、後方に置いてある彼女も完全な戦闘用とは言い難い…超進化スキルを持ってるから闇太郎や聖女たちに比べれば戦闘も出来るが、彼女を戦闘に使うのは些か気が引ける。
せっかく、命を拾ったのだから。
さて。
では、どうするかと悩む。
御遺体ストックを満タンにして取っておくか、今のタイミングで戦力増強に使ってしまうか。
切り札を取っておくかどうかで悩む。
悩むが、そう。
創るべきだな。
取って置かなくても、この調子ならばまたすぐに御遺体は貯まるだろうの精神で御遺体を使い切ってしまうことにしよう。
0
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
クラスメイトのなかで僕だけ異世界転移に耐えられずアンデッドになってしまったようです。
大前野 誠也
ファンタジー
ー
子供頃から体の弱かった主人公は、ある日突然クラスメイトたちと異世界に召喚されてしまう。
しかし主人公はその召喚の衝撃に耐えきれず絶命してしまった。
異世界人は世界を渡る時にスキルという力を授かるのだが、主人公のクラスメイトである灰田亜紀のスキルは死者をアンデッドに変えてしまうスキルだった。
そのスキルの力で主人公はアンデッドとして蘇ったのだが、灰田亜紀ともども追放されてしまう。
追放された森で2人がであったのは――
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
隠れジョブ【自然の支配者】で脱ボッチな異世界生活
破滅
ファンタジー
総合ランキング3位
ファンタジー2位
HOT1位になりました!
そして、お気に入りが4000を突破致しました!
表紙を書いてくれた方ぴっぴさん↓
https://touch.pixiv.net/member.php?id=1922055
みなさんはボッチの辛さを知っているだろうか、ボッチとは友達のいない社会的に地位の低い存在のことである。
そう、この物語の主人公 神崎 翔は高校生ボッチである。
そんなボッチでクラスに居場所のない主人公はある日「はぁ、こんな毎日ならいっその事異世界にいってしまいたい」と思ったことがキッカケで異世界にクラス転移してしまうのだが…そこで自分に与えられたジョブは【自然の支配者】というものでとてつもないチートだった。
そしてそんなボッチだった主人公の改生活が始まる!
おまけと設定についてはときどき更新するのでたまにチェックしてみてください!
槍使いのドラゴンテイマー
こげ丸
ファンタジー
アルファポリス様の第15回ファンタジー小説大賞にて
『槍使いのドラゴンテイマー』
が奨励賞を頂きました~🎉
【アルファポリス累計150万pt突破作品!】
【公開サイト合計、シリーズ累計約750万pv突破の人気作!】
◆第1部あらすじ
とある予定外の出来事で異世界に転生する事になった主人公。
女神様が言うには、異世界転生しても勇者の義務はないようです?
そして異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、
ドラゴンを従える事が出来るギフトを得た事を知る!
その後、涙涙の苦労の末に冒険者になった主人公は、
とうとう念願のドラゴンテイマーになるのだが……。
偶然テイムしたドラゴンは、神をも凌駕する邪竜だった。
ついでで軍勢を壊滅させるようなドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの少女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、
主人公は冒険者として今日も異世界で頑張っています☆
===こげ丸===
※小説家になろう様で連載させて頂いている作品です
※旧題:異世界のドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
※現在、他作品の書籍化作業等で更新ペースはかなり遅めです
異世界宿屋の住み込み従業員
熊ごろう
ファンタジー
なろう様でも投稿しています。
真夏の昼下がり歩道を歩いていた「加賀」と「八木」、気が付くと二人、見知らぬ空間にいた。
そこに居たのは神を名乗る一組の男女。
そこで告げられたのは現実世界での死であった。普通であればそのまま消える運命の二人だが、もう一度人生をやり直す事を報酬に、異世界へと行きそこで自らの持つ技術広めることに。
「転生先に危険な生き物はいないからー」そう聞かせれていたが……転生し森の中を歩いていると巨大な猪と即エンカウント!? 助けてくれたのは通りすがりの宿の主人。
二人はそのまま流れで宿の主人のお世話になる事に……これは宿屋「兎の宿」を中心に人々の日常を描いた物語。になる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる