魔王クリエイター

百合之花

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Ⅵ章 衰亡

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あいも変わらず。
あいも変わらず、凄まじい威力である。

都会の街並み、といった風景を一瞬で更地にしたドーラを見て、自分で生み出した光景ながらに何度目か分からない、畏れを抱く。

ああ、あそこには避難しきれなかった住民が如何程の数いたのだろうと。
そんな詮無いことを考えつつ。

まあ、それはそれとして人類の間引きはしていくが。
避難したとて、結局殺しに行かないと行けないのだが。
というか、今回、命を拾った人はほぼほぼいない。
避難した人も魔王を作るための材料にしたし。
そうすると、そうするしかないのだと決めたのだし。
努めて罪悪感は無視していこう。
それに不幸中の幸い、とでも言うべきかな。
纏めて吹き飛ばすからか中途半端に建造物が残らない分、他の魔王の時に比べて凄惨さは感じにくい。

もういっそのこと罪悪感を感じないようにするスキルでも付与しちゃうか?と何度目かも分からない悩みが再燃する。
そう考えて、やはりやめておこうとなるまでがセットだ。

下手に罪悪感を殺してしまうとやり過ぎてしまいかねないし、自分でやったことから逃げ出すようで情けない気がする。
そもそも論として罪悪感を感じるのも不毛なのだ。
神がいるのかいないのか、少なくとも直接干渉できる神らしき存在がいない地球と違い、神らしきそれに管理されているらしいこの星で、人類が何事もなく生きるためには僕に力を与えた何某かを倒さなくてはならない。
僕が手心を加えたり、僕を打ち倒したりしてもまた別の誰かしらが人類絶対ぶっ殺すマンとして生まれるだけ。
キリがない。
フィクションにおいては神殺しなんて珍しくはないが、まあ、当然ながら現実では無理だろう。
どこにいるのかすら分からんのだ。
いたとしても魔王クリエイターを持つ僕も含めて人類にどうにか出来るとは考えられない。

せめて苦しませずに殺すのが慈悲というもの。
心の底からそう思うよ。

⭐︎ ⭐︎ ⭐︎

「…以上で送られてきた動画データは終了です」
「そうか…都市が…ここまで為すすべなく消し飛んだか」

サドラン帝国、首都サドラン。
他の街の人に対して危険を知らせ、対抗策を練らせるべく、ドーラに消しとばされた超大都市アイヌゥからは戦闘時の映像データがリアルタイムで送り出されていた。

「巨大キノコが現れたと思えばこれまた巨大な黒竜が現れた、と」

魔王キノコによる被害や、それが出てきた原因や対応策を話し合おうと会議室に集まり話し合いを始めた矢先の出来事である。
ざわざわと会議室が一気に騒然となる。

「ばかなっ、竜種はすでに根絶して久しかったはず。何かの間違いでは?」
「しかし、戦闘記録を見る限りではいかにもな見た目で…」
「その見た目とて、竜種のように見えるだけ。真っ黒で輪郭しかわからぬ未知の生物なのだ。シルエットだけで竜種であると判断するのは早計に過ぎる」
「そうした擬態をする全く別の生物である可能性もあるか?」
「正体などどうでも良い。今は防衛をどうするべきかだ。s025車両の増産を急がせろ」
「馬鹿なことを!記録を見る限り、障壁展開車両《s025》では敵の火力に為すすべなくやられている。障壁展開車両を並べて防御に出るのではなくこちらも最大火力を持って攻撃あるのみ!
増産すべきは攻撃車両だ!!」
「住民の避難はどうする?」
「そうだな、今の時代、超大都市はおろか、大都市の人口すら避難させられる余裕ある都市はかなり限られてくるぞ」
「いや、そもそもアイヌゥから避難した人々は現在どうしてる?動画データには避難させているところは映っていても、その後は分からんぞ?」
「たしかに。そろそろ報告があってもおかしくないな」
「避難民はどこへやる?
付近の都市は全て、余裕がないところだぞ?」
「また、プラベリアに頼らざるを得ないということになるな」
「財源を管理する立場からすれば頭が痛いことだ」
「とは言え放置して、自力でどうにかしろと言うわけにもいくまい」

ざわつく会議室にドタドタと激しい足音が響く。
そして、扉が勢いよく開かれた。

会議室にいた人は皆が何かしらの続報かと、頼むから吉報であってくれと祈りながら、扉から入ってきた伝令兵を見つめる。

「緊急連絡です!!避難民は壊滅!避難民は護送していた兵士含めて壊滅とのこと!!」

それを聞いて会議室の大半が何があったのかと不安げな表情を、財源管理職に付いている人の何人かは気の毒そうでありながら、嬉しそうな複雑な表情を浮かべ、サドラン帝国の頂点であるサドラン皇帝は何も反応は示さず、伝令兵の次の言葉を無言にて促した。

「周囲の大都市、超大都市からアイヌゥへ向けた偵察兵や偵察機が数人のアイヌゥ避難民らしき者達を発見。直ちに何があったのかと聴取を続けていますが、どうやら彼らは人に襲われた…とのことです」

伝令兵の言葉に誰もが言葉を失った。
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