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Ⅵ章 衰亡
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とりあえず、ダンジョンに向かうことにして、直接話を聞かねば。
「ちちうえ!」
ダンジョンにたどり着けば早速とばかりに聖女ニアが僕に抱きついてきた。
抱きつく必要ある?
とか。
見てくれは完全に成熟した豊満な体つきの美女が、ようやく二次性徴期かなぁぐらいの子供に対して父上呼びはどうなの?
とか。
気になる点はあれど、まあ、そこは今はいい。
何もしてないのに必要以上に高い好感度だったりとかも今更ながらに気になるが、まあ、これに関しては魔王クリエイターで作った魔王、特に何かしらの生き物を改造する形ではなく、一から、材料を用意してから産み出した場合に好感度が高いらしいことが分かっていればいい。
多分、反乱防止とか、命令を聞くようにする仕様なのだろう。
何もしてない故に、洗脳じみた好意を受けるのは座りが悪いのだがそれよりも聞かなくてはならないことがある。
ついでに魔王たちの様子を見るがてら、ダンちゃんのダンジョンクリエイトによって設置された動力不明なエレベーターに乗って、降下しつつ、ニアから話を聞く。
「ダンジョンが潰されたってのはどう言うこと?比喩的な意味であって欲しいけど…」
「ああ~えっと、なんだったっけな?」
「ニア…また?」
「えへへ。…てへぺろ」
聖女ニアを初め、聖女アリア、聖女ウリアを生み出してから、このダンジョンで初めて顔を会わせた時からそうなのだが、ニアは他2人の聖女達に比べて些か尖った性格をしていた。
というのも、何か些細なことでも報告と言う口実の元、僕に会うないしは抱きついてくるのである。
今回もそうだろう。
ダンジョンが潰されたと言う話を誰か他の魔王か聖女達からか聞いた段階で即座に僕に連絡したために詳しい話を彼女は知らないのだ。
とにかく僕に会いたくて仕方がない、それを目的に様々な思慮を巡らす彼女は先程話した連絡役の魔王と共に他の魔王達から嫌われていたりするらしい。
それでありながら本人はケロッとしているのだから。
他の魔王や聖女達も僕に対して並々ならぬ好意を抱いており、ゆえに雑な報告はできないと思っている段階でそんなこと知るかとばかりに我先にと僕とスキンシップを取りたがるニアは、まあ嫌われていた。
しかも舌ったらずなちちうえ呼びからてへぺろに至るまで、実は彼女の演出である。
他の魔王達や聖女達からは普通に名前で呼ばれてる。君付けだったり、ちゃん付けだったりとその個体の性格によって多少変われど、父上呼びは彼女くらいなものだ。
それらを狙ってしていると分かっている周りからすれば、なおさらのこと彼女のキャラ付けは鼻につくだろう。
つまり彼女の性格を一言で言うならば、ぶりっ子系腹黒聖女となる。
嫌われるのも無理はない。
まあ、僕としてはそれはそれで個性的なんだなぁといえる範疇だとは思うし、ぶりっ子は程度にもよるが男女問わず嫌われがちであっても、僕は嫌いではない。
むしろ確実に嫌ってくる人が出てくるであろうことが分かっているのにも関わらず、あえてぶりっ子を演じるのはいわばイバラの道を歩もうとするに等しい。
なんならその精神的図太さに敬意を表するほどだ。
女にしておくのが惜しいくらいの漢気すら感じなくもない。
腹黒なのも、腹黒な女の子が好きな男の前では腹黒じゃなくなる、ないしは好きな相手のためにあれこれするのを見て、そんなにしてまで…好きなんだなぁとより愛しく思っちゃうタイプである。
なので、なんら構わないのだが…やはり魔王や聖女達には仲良く過ごして欲しいし、そろそろ真剣に注意してみようかと考えながら、適当にニアと会話していると、エレベーターが止まった。
「止まったけど、住居用の空間はもう少ししたじゃなかったっけ?この階層はドーラの巣のはず」
「口で説明するより見たほうが早いよ!ちちうえ、こっちこっち」
ニアの言葉に従って、エレベーターから降りる。
そして目の前には巨大な空間。
優しげな蛍のような光が全体を照らし、その中央には立派な城が建っていた。
ん?
「あら?」
「どうしたの?ちちうえ」
「あんな城は無かったよね?」
「あれはアリアとウリアが聖女見習い達と一緒にダンちゃんに頼んで作らせたらしいよぉ」
「ていうかドーラはどこにいったの?ドーラの巣が丸ごと無くなってるみたいだけど」
「ドーラはもっと深いところに押し込まれたみたい」
「ひ、ひどい!」
「本人は闇深い方が落ち着くから大丈夫だって言ってたから大丈夫じゃないかなぁ」
「な、ならひどくはない、かな?ん?あれは何?」
蛍の光のように淡い光でライトアップされているのは幻想的で美しいと思うのだが、よく見ると城の背後、壁に大きな彫り込みのようなものが見えた。
まるで巨大生物の爪で引っ掻いたかのように大きな凹みが壁にできている。
後から何かしらの増築をするようのスペースだろうか?
「ああ、あれはドーラを地下に押し込む時に嫌がって、できた傷だね。…まだ直してなかったんだ。城を完成させるのを優先したからかな?」
「え?嫌がったの?」
「?そうだよー」
「闇深いからなんとかって自分で移動したんじゃないの?」
「ちちうえってば、話聞いてたー?自分から移動したのなら押し込んだなんて言わないよ。抵抗したからみんなで半ば叩きのめして…じゃなくて、アリアとウリアがボコボコにして移動させたんだって!
私は止めたよ!そんな酷いことしないであげてって!!」
おおう。これはひどい。
ニアの戯言は聞き流しつつ、後でドーラの様子を見てあげようと思う。
場合によっては慰めてあげなくては。
深いところでも大丈夫と言ったのは負け惜しみなんだろうなと言うのが分かった。
ドーラは魔王クリエイターを使い倒して生み出した現状、最強の攻撃力を持つ魔王種でありながら魔王種、聖女含め、1番争いを好まない特に優しい子だから、仲間達に反撃しなかったであろう画が容易に想像できる。
仮に抵抗したとしても彼女が本気で抵抗するにはこの地下空間は狭すぎる。
なおのこと、何もできなかったろう。
可哀想に。
「ちちうえ!」
ダンジョンにたどり着けば早速とばかりに聖女ニアが僕に抱きついてきた。
抱きつく必要ある?
とか。
見てくれは完全に成熟した豊満な体つきの美女が、ようやく二次性徴期かなぁぐらいの子供に対して父上呼びはどうなの?
とか。
気になる点はあれど、まあ、そこは今はいい。
何もしてないのに必要以上に高い好感度だったりとかも今更ながらに気になるが、まあ、これに関しては魔王クリエイターで作った魔王、特に何かしらの生き物を改造する形ではなく、一から、材料を用意してから産み出した場合に好感度が高いらしいことが分かっていればいい。
多分、反乱防止とか、命令を聞くようにする仕様なのだろう。
何もしてない故に、洗脳じみた好意を受けるのは座りが悪いのだがそれよりも聞かなくてはならないことがある。
ついでに魔王たちの様子を見るがてら、ダンちゃんのダンジョンクリエイトによって設置された動力不明なエレベーターに乗って、降下しつつ、ニアから話を聞く。
「ダンジョンが潰されたってのはどう言うこと?比喩的な意味であって欲しいけど…」
「ああ~えっと、なんだったっけな?」
「ニア…また?」
「えへへ。…てへぺろ」
聖女ニアを初め、聖女アリア、聖女ウリアを生み出してから、このダンジョンで初めて顔を会わせた時からそうなのだが、ニアは他2人の聖女達に比べて些か尖った性格をしていた。
というのも、何か些細なことでも報告と言う口実の元、僕に会うないしは抱きついてくるのである。
今回もそうだろう。
ダンジョンが潰されたと言う話を誰か他の魔王か聖女達からか聞いた段階で即座に僕に連絡したために詳しい話を彼女は知らないのだ。
とにかく僕に会いたくて仕方がない、それを目的に様々な思慮を巡らす彼女は先程話した連絡役の魔王と共に他の魔王達から嫌われていたりするらしい。
それでありながら本人はケロッとしているのだから。
他の魔王や聖女達も僕に対して並々ならぬ好意を抱いており、ゆえに雑な報告はできないと思っている段階でそんなこと知るかとばかりに我先にと僕とスキンシップを取りたがるニアは、まあ嫌われていた。
しかも舌ったらずなちちうえ呼びからてへぺろに至るまで、実は彼女の演出である。
他の魔王達や聖女達からは普通に名前で呼ばれてる。君付けだったり、ちゃん付けだったりとその個体の性格によって多少変われど、父上呼びは彼女くらいなものだ。
それらを狙ってしていると分かっている周りからすれば、なおさらのこと彼女のキャラ付けは鼻につくだろう。
つまり彼女の性格を一言で言うならば、ぶりっ子系腹黒聖女となる。
嫌われるのも無理はない。
まあ、僕としてはそれはそれで個性的なんだなぁといえる範疇だとは思うし、ぶりっ子は程度にもよるが男女問わず嫌われがちであっても、僕は嫌いではない。
むしろ確実に嫌ってくる人が出てくるであろうことが分かっているのにも関わらず、あえてぶりっ子を演じるのはいわばイバラの道を歩もうとするに等しい。
なんならその精神的図太さに敬意を表するほどだ。
女にしておくのが惜しいくらいの漢気すら感じなくもない。
腹黒なのも、腹黒な女の子が好きな男の前では腹黒じゃなくなる、ないしは好きな相手のためにあれこれするのを見て、そんなにしてまで…好きなんだなぁとより愛しく思っちゃうタイプである。
なので、なんら構わないのだが…やはり魔王や聖女達には仲良く過ごして欲しいし、そろそろ真剣に注意してみようかと考えながら、適当にニアと会話していると、エレベーターが止まった。
「止まったけど、住居用の空間はもう少ししたじゃなかったっけ?この階層はドーラの巣のはず」
「口で説明するより見たほうが早いよ!ちちうえ、こっちこっち」
ニアの言葉に従って、エレベーターから降りる。
そして目の前には巨大な空間。
優しげな蛍のような光が全体を照らし、その中央には立派な城が建っていた。
ん?
「あら?」
「どうしたの?ちちうえ」
「あんな城は無かったよね?」
「あれはアリアとウリアが聖女見習い達と一緒にダンちゃんに頼んで作らせたらしいよぉ」
「ていうかドーラはどこにいったの?ドーラの巣が丸ごと無くなってるみたいだけど」
「ドーラはもっと深いところに押し込まれたみたい」
「ひ、ひどい!」
「本人は闇深い方が落ち着くから大丈夫だって言ってたから大丈夫じゃないかなぁ」
「な、ならひどくはない、かな?ん?あれは何?」
蛍の光のように淡い光でライトアップされているのは幻想的で美しいと思うのだが、よく見ると城の背後、壁に大きな彫り込みのようなものが見えた。
まるで巨大生物の爪で引っ掻いたかのように大きな凹みが壁にできている。
後から何かしらの増築をするようのスペースだろうか?
「ああ、あれはドーラを地下に押し込む時に嫌がって、できた傷だね。…まだ直してなかったんだ。城を完成させるのを優先したからかな?」
「え?嫌がったの?」
「?そうだよー」
「闇深いからなんとかって自分で移動したんじゃないの?」
「ちちうえってば、話聞いてたー?自分から移動したのなら押し込んだなんて言わないよ。抵抗したからみんなで半ば叩きのめして…じゃなくて、アリアとウリアがボコボコにして移動させたんだって!
私は止めたよ!そんな酷いことしないであげてって!!」
おおう。これはひどい。
ニアの戯言は聞き流しつつ、後でドーラの様子を見てあげようと思う。
場合によっては慰めてあげなくては。
深いところでも大丈夫と言ったのは負け惜しみなんだろうなと言うのが分かった。
ドーラは魔王クリエイターを使い倒して生み出した現状、最強の攻撃力を持つ魔王種でありながら魔王種、聖女含め、1番争いを好まない特に優しい子だから、仲間達に反撃しなかったであろう画が容易に想像できる。
仮に抵抗したとしても彼女が本気で抵抗するにはこの地下空間は狭すぎる。
なおのこと、何もできなかったろう。
可哀想に。
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