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Ⅳ章
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「ああ…えと、ごめんね?ちょっと見学は無理かなぁ」
と、苦笑しながら答える彼。
なるほど、ホモだったか。
なんて冗談はさておき、見学すらダメとはどういうことなのだろうか?
弟子入りしたいとは思ったが、言ってはいない。
とりあえずの見学すら断られるとはどういうことなのか?
一子相伝の秘伝技術であるとか?その割には道場が大き過ぎる。
1人か2人が格闘技を学ぶにしては広すぎるだろう。一族相伝かな?
「えっとね、数年前にそういう決まりになったんだ」
僕の子供っぽさを全面に出したアホっぽい語尾が祟って、彼の説明はアホの子を相手にするかのようなかなり噛み砕かれた説明で、逆にわかりにくい事この上無かったが、それを要約するに数年前から黄泉国の法律で外国人による弟子入りはもちろんのこと、見学すら禁止する義務が発生したために僕の見学は断られたのだと言う。
「なんでそんな決まりができたなのなの?」
子供の口調ってこんなんかな?いや、これだと売れないアニメや漫画に出てくる性格やキャラデザで個性が出せないから特徴的な語尾でなんとかしようとして生み出されたある意味痛いキャラみたいでキツい…いや、まあ気にしないでおく。
今更普通の語尾に戻すのも変だし。
とにかく、理由を尋ねるとこれまた子供向けの説明で分かりにくかったが、どうも盗賊が問題になったらしい。
ここで驚きの新事実が発覚するのだが、名の通った盗賊団はだいたいが黄泉国の道場出身者であると言う。
と言うのも、黄泉国の道場に通えば大半の人が何も無しに強靭な肉体を手に入れることができると言うのだ。
もちろん修行に時間はかかるものの、才能のないものでも銃弾くらいなら軽症で済むのだとか。
それが本当であれば、なるほど確かに。
得心がいく。
一部の盗賊が僕の超魔法を受けてもピンピンしてたのはソレが原因か、と。
しかも、彼らの技術は物理的な力より魔力に対して特に強い耐性を示すと言う。
どおりでおかしいと思った。
内心、皮膚の下に強固な防御膜的な物を持っていたりする種族なのかな?と思ってあまり深く考えなかったし、だとしてもいくら魔王エルルちゃんの膂力が凄いからと殴ったり蹴ったりすると比較的簡単に仕留めることができることに薄々違和感を感じていたのだが、色々な謎が解けたものである。
さらに言えば東に行くにつれてそうした盗賊団に会う頻度が増えていったのも強い盗賊団が生き残るための技術を得やすい黄泉国に近づいていったからに違いない。
というよりはそれ以外の盗賊はすぐに討滅されるから結果的にそうなっただけだろうな。
さもありなん。
たまに銃器を使ってきた盗賊団もいたが、基本的にそうした複雑な武器は日々のメンテナンスが必要不可欠である。
最新鋭の強力な兵器を仮に手に入れたところで、それらを動かすためのエネルギー源やらメンテナンスに関わる様々な技術力やら費用、手間暇、壊れた際の修理などを考えればそうした人工物に頼った盗賊団は良くて初めだけ快進撃を続けるのが精一杯。
すぐに息切れを起こして倒されてしまうだろう。
前にも言ったが、盗賊団のメインターゲットは食料である。
しかし、食料は生きていくために絶対に必要なものであるため、国側からも本気の討伐隊や調査隊を組まれ、そんな連中と交戦をしていたらすぐに武器などは磨耗して使い物にならなくなってしまうわけだ。
そこで盗賊団、というか盗賊志望の人が考えた手段が自らの肉体を鍛え上げることだったのだろう。
肉体であれば磨耗しても余程の怪我以外、治癒という形で自動的にメンテナンスされるのだから。
一時期、それはもう大変だったらしい。
この国の格闘術には大きく分けて3種類の流派があるらしいのだが、僕が目の前にしている道場はその3つのうちで1番、修めている人口が多い「桜花神拳」を教えている道場で、桜花神拳の流祖の逸話と共に知名度が非常に高い。
そのため、黄泉国の武術を学んでいた盗賊のうち6割くらいが桜花神拳の門下生だったとかで、他国から無視できないくらいに強い抗議文を受けて黄泉国上層部は桜花神拳を含む3つの流派に規制を設けたのだという。
その際に桜花神拳の関係者は様々な意味でたいそうな苦労をしたそうな。
さらに彼はこんなことまで話してくれた。
「桜花神拳はね…」
嘘か真か、桜花神拳の流祖は黄泉国でよく見られるユリザクラというサクラの中でも一際大きく育つ品種の木本で花見をしていた時にサクラが光りだしたら突然に桜花神拳と名付けた術理を使えるようになったのだとか。
色々とツッコミどころしかないエピソードであるが、門下生の一部は強くそれを信じていて、修行をする際は必ずユリザクラの近くで行う者も少なくはないと目の前の彼は言うのだ。
アホくさと思わず呟いたら目の前の彼は困ったように笑うだけだった。
どうやら彼はその話を信じていないらしい。
彼の感性はマトモなようで何より。
「まあ、ユリザクラ自体が光るというのは本当らしいけどね」
「そうなの?」
「ああ、たしか樹齢…ええと、木がうんとおばあちゃんになったやつだけ、数百年周期に光るんだってさ」
樹齢が1000年を超えたユリザクラだけが数百年周期に光るらしく、この国にはユリザクラだけの山まであるらしい。
そこはとても神聖な場とされ、外国人どころか黄泉国の人ですら立ち入りを禁止している。
ちなみにこの国で一番長く存在しているユリザクラは推定樹齢7000年を超える、桜花神拳の流祖が実際に術理を得たという木が旧首都と呼ばれる都市にあるらしい。
7000年前と聞くと凄いと感じないこともないが、たしか地球における最高樹齢は約9500年。
出てきた幹や根は600年ごとに更新されて新しいものが出てくるためにいわゆる年輪による樹齢測定はできないらしいのだが、一万年近く前から生きているということは氷河期の終わり頃からずっと生き続けていることになる。
それを知ってる僕としては7000歳のユリザクラまだまだだねと言わざるを得ない。
いや、まあ7000年分、枯れずに成長し続けたというユリザクラは非常に巨大だろう、立派さで言うならユリザクラが圧勝なんだろうけども。
旧首都で神樹として崇め奉られているのだとか。
余談だが旧首都となっているのは人口増加によって神樹がめちゃくちゃ邪魔になったから新しい首都が作られた結果らしい。
勝手に崇めといて邪魔となったら離れるとは、ひどい話である。
今では聖都市と呼ばれ、外国人による見学は一切受け付けていないのだとか。
なんだかんだで大切にはしているようだが、見学すら受け付けてないとは、ひどい話である。
まあ、僕の場合は魔王蝶々を飛ばせば良いだけなのだけれども。
世界全体が広すぎて半年くらいだと魔王蝶々でも見れてない場所が沢山ありすぎるね。
普通の蝶より成長速度が早いといっても卵から成虫になるまでに一月くらいかかるからなおさらである。
まあ、醤油を求めるついでに、この目で見るのも悪くはないだろう。
7000年もかけて成長し続けた木なら街中に入らなくても見ることはできるんじゃないかと思うし。
そうして話していると彼もいい加減、子供の相手に疲れてきたのだろう。
話を切り上げて僕を追い出そうとする。
僕はそれに抵抗しない代わりに、こんなこともあろうかと、こっそり引き連れていた魔王蝶々のうちの一匹に道場に侵入するように指示をした。
こうしたこっそり何か知りたいことがあった時用に、僕は魔王蝶々を5匹ほど引き連れていて、魔王蝶々が常に周りを飛び回っていた。
そのうちの一匹を使って桜花神拳とやらを拝ませてもらおうと魔王蝶々が道場にこっそりと侵入した瞬間、バチッと音が鳴る。
「え?」
魔王蝶々が弾け飛び、体液を撒き散らしながら死んだのである。
と、苦笑しながら答える彼。
なるほど、ホモだったか。
なんて冗談はさておき、見学すらダメとはどういうことなのだろうか?
弟子入りしたいとは思ったが、言ってはいない。
とりあえずの見学すら断られるとはどういうことなのか?
一子相伝の秘伝技術であるとか?その割には道場が大き過ぎる。
1人か2人が格闘技を学ぶにしては広すぎるだろう。一族相伝かな?
「えっとね、数年前にそういう決まりになったんだ」
僕の子供っぽさを全面に出したアホっぽい語尾が祟って、彼の説明はアホの子を相手にするかのようなかなり噛み砕かれた説明で、逆にわかりにくい事この上無かったが、それを要約するに数年前から黄泉国の法律で外国人による弟子入りはもちろんのこと、見学すら禁止する義務が発生したために僕の見学は断られたのだと言う。
「なんでそんな決まりができたなのなの?」
子供の口調ってこんなんかな?いや、これだと売れないアニメや漫画に出てくる性格やキャラデザで個性が出せないから特徴的な語尾でなんとかしようとして生み出されたある意味痛いキャラみたいでキツい…いや、まあ気にしないでおく。
今更普通の語尾に戻すのも変だし。
とにかく、理由を尋ねるとこれまた子供向けの説明で分かりにくかったが、どうも盗賊が問題になったらしい。
ここで驚きの新事実が発覚するのだが、名の通った盗賊団はだいたいが黄泉国の道場出身者であると言う。
と言うのも、黄泉国の道場に通えば大半の人が何も無しに強靭な肉体を手に入れることができると言うのだ。
もちろん修行に時間はかかるものの、才能のないものでも銃弾くらいなら軽症で済むのだとか。
それが本当であれば、なるほど確かに。
得心がいく。
一部の盗賊が僕の超魔法を受けてもピンピンしてたのはソレが原因か、と。
しかも、彼らの技術は物理的な力より魔力に対して特に強い耐性を示すと言う。
どおりでおかしいと思った。
内心、皮膚の下に強固な防御膜的な物を持っていたりする種族なのかな?と思ってあまり深く考えなかったし、だとしてもいくら魔王エルルちゃんの膂力が凄いからと殴ったり蹴ったりすると比較的簡単に仕留めることができることに薄々違和感を感じていたのだが、色々な謎が解けたものである。
さらに言えば東に行くにつれてそうした盗賊団に会う頻度が増えていったのも強い盗賊団が生き残るための技術を得やすい黄泉国に近づいていったからに違いない。
というよりはそれ以外の盗賊はすぐに討滅されるから結果的にそうなっただけだろうな。
さもありなん。
たまに銃器を使ってきた盗賊団もいたが、基本的にそうした複雑な武器は日々のメンテナンスが必要不可欠である。
最新鋭の強力な兵器を仮に手に入れたところで、それらを動かすためのエネルギー源やらメンテナンスに関わる様々な技術力やら費用、手間暇、壊れた際の修理などを考えればそうした人工物に頼った盗賊団は良くて初めだけ快進撃を続けるのが精一杯。
すぐに息切れを起こして倒されてしまうだろう。
前にも言ったが、盗賊団のメインターゲットは食料である。
しかし、食料は生きていくために絶対に必要なものであるため、国側からも本気の討伐隊や調査隊を組まれ、そんな連中と交戦をしていたらすぐに武器などは磨耗して使い物にならなくなってしまうわけだ。
そこで盗賊団、というか盗賊志望の人が考えた手段が自らの肉体を鍛え上げることだったのだろう。
肉体であれば磨耗しても余程の怪我以外、治癒という形で自動的にメンテナンスされるのだから。
一時期、それはもう大変だったらしい。
この国の格闘術には大きく分けて3種類の流派があるらしいのだが、僕が目の前にしている道場はその3つのうちで1番、修めている人口が多い「桜花神拳」を教えている道場で、桜花神拳の流祖の逸話と共に知名度が非常に高い。
そのため、黄泉国の武術を学んでいた盗賊のうち6割くらいが桜花神拳の門下生だったとかで、他国から無視できないくらいに強い抗議文を受けて黄泉国上層部は桜花神拳を含む3つの流派に規制を設けたのだという。
その際に桜花神拳の関係者は様々な意味でたいそうな苦労をしたそうな。
さらに彼はこんなことまで話してくれた。
「桜花神拳はね…」
嘘か真か、桜花神拳の流祖は黄泉国でよく見られるユリザクラというサクラの中でも一際大きく育つ品種の木本で花見をしていた時にサクラが光りだしたら突然に桜花神拳と名付けた術理を使えるようになったのだとか。
色々とツッコミどころしかないエピソードであるが、門下生の一部は強くそれを信じていて、修行をする際は必ずユリザクラの近くで行う者も少なくはないと目の前の彼は言うのだ。
アホくさと思わず呟いたら目の前の彼は困ったように笑うだけだった。
どうやら彼はその話を信じていないらしい。
彼の感性はマトモなようで何より。
「まあ、ユリザクラ自体が光るというのは本当らしいけどね」
「そうなの?」
「ああ、たしか樹齢…ええと、木がうんとおばあちゃんになったやつだけ、数百年周期に光るんだってさ」
樹齢が1000年を超えたユリザクラだけが数百年周期に光るらしく、この国にはユリザクラだけの山まであるらしい。
そこはとても神聖な場とされ、外国人どころか黄泉国の人ですら立ち入りを禁止している。
ちなみにこの国で一番長く存在しているユリザクラは推定樹齢7000年を超える、桜花神拳の流祖が実際に術理を得たという木が旧首都と呼ばれる都市にあるらしい。
7000年前と聞くと凄いと感じないこともないが、たしか地球における最高樹齢は約9500年。
出てきた幹や根は600年ごとに更新されて新しいものが出てくるためにいわゆる年輪による樹齢測定はできないらしいのだが、一万年近く前から生きているということは氷河期の終わり頃からずっと生き続けていることになる。
それを知ってる僕としては7000歳のユリザクラまだまだだねと言わざるを得ない。
いや、まあ7000年分、枯れずに成長し続けたというユリザクラは非常に巨大だろう、立派さで言うならユリザクラが圧勝なんだろうけども。
旧首都で神樹として崇め奉られているのだとか。
余談だが旧首都となっているのは人口増加によって神樹がめちゃくちゃ邪魔になったから新しい首都が作られた結果らしい。
勝手に崇めといて邪魔となったら離れるとは、ひどい話である。
今では聖都市と呼ばれ、外国人による見学は一切受け付けていないのだとか。
なんだかんだで大切にはしているようだが、見学すら受け付けてないとは、ひどい話である。
まあ、僕の場合は魔王蝶々を飛ばせば良いだけなのだけれども。
世界全体が広すぎて半年くらいだと魔王蝶々でも見れてない場所が沢山ありすぎるね。
普通の蝶より成長速度が早いといっても卵から成虫になるまでに一月くらいかかるからなおさらである。
まあ、醤油を求めるついでに、この目で見るのも悪くはないだろう。
7000年もかけて成長し続けた木なら街中に入らなくても見ることはできるんじゃないかと思うし。
そうして話していると彼もいい加減、子供の相手に疲れてきたのだろう。
話を切り上げて僕を追い出そうとする。
僕はそれに抵抗しない代わりに、こんなこともあろうかと、こっそり引き連れていた魔王蝶々のうちの一匹に道場に侵入するように指示をした。
こうしたこっそり何か知りたいことがあった時用に、僕は魔王蝶々を5匹ほど引き連れていて、魔王蝶々が常に周りを飛び回っていた。
そのうちの一匹を使って桜花神拳とやらを拝ませてもらおうと魔王蝶々が道場にこっそりと侵入した瞬間、バチッと音が鳴る。
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