1 / 132
Ⅰ章 予兆
1
しおりを挟む
明くる日の転生日和。
僕は転生した。
死んだ先のよく分からない空間で、ただ一言。
『罪人にふさわしい罰を与える』と。
なるほど確かに。僕は罪人かもしれない。
車に轢かれそうになったネコを助けようと飛び出して跳ねられたのだから。
あゝ、なんと馬鹿なことをしたのだろう。
ネコ如きのために死ぬなんて。
常識的に考えて、その辺の野良猫の命と自分の命と釣り合うはずもない。
両親や友人は当然悲しむだろう。恋人や子供がいれば言うまでもない。
そも、飛び出した僕を轢き殺してしまった運転手の心境を思うと、胸いっぱいの罪悪感に苛まれる。
トラウマになってなければ良いのだが。
さらに言えば僕を轢いたことで車がスリップしたり、タイヤに僕の死体が絡まって重大な事故を起こし、周りの通行人や民家すらも巻き込んだ可能性すらある。
その時にはすでに意識はなかったために知らずに死ねたのは不幸中の幸いか。いや、幸いではないな。むしろ気になる。
やはりどう考えてもネコを助けるために人一人が死ぬのは割りに合わない。
仮に命が等価値だと仮定したとて、その結論は変わらない。
一つの命のために二つ以上の命を消費している可能性が高い。
確かに僕は罪人にふさわしいのだろう。
近くに好きな女の子が居るからと、カッコつけたのがそもそもの間違いだった。
というか、その女の子の精神状態も気がかりではある。だって目の前で友人兼恋人予定(になれたらいいな)の人間が血塗れになったのだから。
一体、どれだけの迷惑をかけて、どれだけの命を奪ってしまったのか、どれほどの罪なのかと問うと意外なことを言われた。
『勘違いするな』
再度一言。それからいくらか言われた事を纏めると、声の主からすると人間との格が違いすぎていちいちやることなすことに口出しすることは無いという。
森の中で虫けらが喧嘩しているからと、いちいち仲裁する人間はいない。
猿は共食いすることがあると言うが、共食いしているからと貴様は許されんことをした!罪人だ!なんて糾弾はしない。
極論、世界中の人間を殺したからと言って罪人扱いされる事はないし、世界中の人間を救ったからと言って天国に行けるわけではない、少なくとも声の主はそんな事はしないという。
では罪人とは何なのか、ワケを聞かせて欲しいと聞いてもだんまりで、罰とは何なのかと聞くと
『間引きだ』とだけ。
言葉が足らなすぎて要領を得ないが、纏めると増えすぎた人類の存在する世界で人間を間引くこと。
それが僕の罰らしい。
色々と不可解であれど、拒否すれば僕はこのまま死に消えると言うのだから選択肢は一つだ。
僕はまだ生きていたいのである。
例え、人を間引く、もとい大量虐殺せざるを得ないとしても。
こうして僕は神様らしき超常の存在から罰とやらを与えられた。
とある世界だか惑星だかで増えすぎた人類を減らす、天敵役を。
僕は転生した。
死んだ先のよく分からない空間で、ただ一言。
『罪人にふさわしい罰を与える』と。
なるほど確かに。僕は罪人かもしれない。
車に轢かれそうになったネコを助けようと飛び出して跳ねられたのだから。
あゝ、なんと馬鹿なことをしたのだろう。
ネコ如きのために死ぬなんて。
常識的に考えて、その辺の野良猫の命と自分の命と釣り合うはずもない。
両親や友人は当然悲しむだろう。恋人や子供がいれば言うまでもない。
そも、飛び出した僕を轢き殺してしまった運転手の心境を思うと、胸いっぱいの罪悪感に苛まれる。
トラウマになってなければ良いのだが。
さらに言えば僕を轢いたことで車がスリップしたり、タイヤに僕の死体が絡まって重大な事故を起こし、周りの通行人や民家すらも巻き込んだ可能性すらある。
その時にはすでに意識はなかったために知らずに死ねたのは不幸中の幸いか。いや、幸いではないな。むしろ気になる。
やはりどう考えてもネコを助けるために人一人が死ぬのは割りに合わない。
仮に命が等価値だと仮定したとて、その結論は変わらない。
一つの命のために二つ以上の命を消費している可能性が高い。
確かに僕は罪人にふさわしいのだろう。
近くに好きな女の子が居るからと、カッコつけたのがそもそもの間違いだった。
というか、その女の子の精神状態も気がかりではある。だって目の前で友人兼恋人予定(になれたらいいな)の人間が血塗れになったのだから。
一体、どれだけの迷惑をかけて、どれだけの命を奪ってしまったのか、どれほどの罪なのかと問うと意外なことを言われた。
『勘違いするな』
再度一言。それからいくらか言われた事を纏めると、声の主からすると人間との格が違いすぎていちいちやることなすことに口出しすることは無いという。
森の中で虫けらが喧嘩しているからと、いちいち仲裁する人間はいない。
猿は共食いすることがあると言うが、共食いしているからと貴様は許されんことをした!罪人だ!なんて糾弾はしない。
極論、世界中の人間を殺したからと言って罪人扱いされる事はないし、世界中の人間を救ったからと言って天国に行けるわけではない、少なくとも声の主はそんな事はしないという。
では罪人とは何なのか、ワケを聞かせて欲しいと聞いてもだんまりで、罰とは何なのかと聞くと
『間引きだ』とだけ。
言葉が足らなすぎて要領を得ないが、纏めると増えすぎた人類の存在する世界で人間を間引くこと。
それが僕の罰らしい。
色々と不可解であれど、拒否すれば僕はこのまま死に消えると言うのだから選択肢は一つだ。
僕はまだ生きていたいのである。
例え、人を間引く、もとい大量虐殺せざるを得ないとしても。
こうして僕は神様らしき超常の存在から罰とやらを与えられた。
とある世界だか惑星だかで増えすぎた人類を減らす、天敵役を。
0
お気に入りに追加
173
あなたにおすすめの小説
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
異世界転生はうっかり神様のせい⁈
りょく
ファンタジー
引きこもりニート。享年30。
趣味は漫画とゲーム。
なにかと不幸体質。
スイーツ大好き。
なオタク女。
実は予定よりの早死は神様の所為であるようで…
そんな訳あり人生を歩んだ人間の先は
異世界⁈
魔法、魔物、妖精もふもふ何でもありな世界
中々なお家の次女に生まれたようです。
家族に愛され、見守られながら
エアリア、異世界人生楽しみます‼︎
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
隠れジョブ【自然の支配者】で脱ボッチな異世界生活
破滅
ファンタジー
総合ランキング3位
ファンタジー2位
HOT1位になりました!
そして、お気に入りが4000を突破致しました!
表紙を書いてくれた方ぴっぴさん↓
https://touch.pixiv.net/member.php?id=1922055
みなさんはボッチの辛さを知っているだろうか、ボッチとは友達のいない社会的に地位の低い存在のことである。
そう、この物語の主人公 神崎 翔は高校生ボッチである。
そんなボッチでクラスに居場所のない主人公はある日「はぁ、こんな毎日ならいっその事異世界にいってしまいたい」と思ったことがキッカケで異世界にクラス転移してしまうのだが…そこで自分に与えられたジョブは【自然の支配者】というものでとてつもないチートだった。
そしてそんなボッチだった主人公の改生活が始まる!
おまけと設定についてはときどき更新するのでたまにチェックしてみてください!
おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる