白薔薇のお兄さん3

ふしきの

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ベーゼ

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 時々、この恋人がまるで木の葉のように飛び立ってしまう気がする、護は言葉には表せない不安と痛みを常に持っていました。
「君のことが好きだよ」
 の笑顔も、柔らかい言葉も、まるで保護された子どものように引かれる手のなかで、自分は守られているという悲しさにも似ていたからです。

『いつか、あなたの背を追い越す』と、呟いてみる。
 あなたの寂しさを被う長い手が欲しいと。
 
「おやすみ」
「さよなら」
 のドアのしまる音と鍵をきちんとロックしていることの安心感で、その場を立ち去っていることを護は知らないで、ドアに耳当て、靴音がきえてしまうまで聞く安心感は相手に知られないようにしてはいました。
 お互いが思いやりつつ、表に出せていない状態はとても長く続いたのです。


「玄関のドアが空いているよ。虫が家に入るよ」
「大丈夫、LEDだから」
「御近所さんが見ちゃうよ」
「大丈夫、真実だから。僕は君を愛している」
「いやだな、嬉しいから涙が出る」
「待たせてごめん」
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