有栖と奉日本『カクれんぼ』

第五章：もういいよ

天使_5-3

「あ、天使さん、どうしたら良いんですか！」
「いやぁ、大変なことになりましたねぇ」
　記者会見の翌日。天使は学園長に呼び出されて、桜華学園の学園長室に訪れていた。

　記者会見での時任の告発により、

『有名学校で生徒の死の詳細を隠蔽』
『生徒達の勇気ある行動で明るみになった真実』
『性を軽んじた教職者としてありえない事件』

　様々な報道がされて、学園内は保護者やマスコミから電話がひっきりなしに鳴り続けている。イジメ動画が拡散されたとき以上に炎上していた。
　この状況を打破して欲しい、と助けを求める為に学園長は天使を呼んだ形だ。
「保護者や世間からの要求により、学園の調査は我々ではなく、第三者機関による実施がほぼ確定しています。このままでは裏金の情報も見つかることになる。そうなれば警察にも飛び火が――」
「落ち着いてください、学園長」
　慌てて早口でまくし立てる学園長に天使は優しく言って、落ち着かせる。
「何か、策があるんですか？」
「はい、学園長――いえ、『元』学園長。安心してください、消えてもらいますから――レシエントメンテによって裏金も貴方も」