有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第五章:もういいよ

百井_5-4

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 そして、現在――記者会見の場で生徒達が起こした行動と言動により、全てを隠すことが不可能になったことを百井は理解した。いや、そもそも理解していたのだ。情報を全て封鎖することはできない。どこかからは必ず、漏れて、知られていく。でも、教師達は汚いものに蓋をするように、触れたくないから口にしなかっただけなのだ。

 百井は自然と小刻みに震える身体を制御出来ず、言及されている時任を見た。そして、彼は百井を見つめていた。
 その視線にどのような意味があったのかは誰にも解らないはずだが、彼女の歪んだ思考回路が侮蔑だと判断した。

 ――嫌われる。見捨てられる。違う、ちゃんと説明しないと。話せば解って貰えるはずだから。私のしたことが正しいって解るはずだから。

 唇が震え、歯をかちかちと鳴らしながら、百井は言葉を発する。

「ち、違うんですよ、時任先生。私は日下部さんを説得したんですよ」
 些細なことなんだと主張するように笑顔を作るが、上手く作ることはできずそれは不気味に張り付いた。
「このままじゃ、誰も幸せにならないもの――だって、何もかも違うじゃない。教師と生徒の恋愛も、男同士だってことも、何もかも違うって。ありえないって。誰も受け入れないって。時任先生にも迷惑だって、気持ち悪がっているって、私は日下部さんにちゃんと伝えたんですよ」
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