有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第五章:もういいよ

天使_5-1

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 時間は流れて、桜華学園の記者会見の日が訪れた。
 学園長から助けを求められたこともあって、天使も会場へと来ていた。

 記者会見の場所は桜華学園の体育館。そこにパイプ椅子が並べられて、多くの記者が座っていた。その記者達の視線が集まる場所には長机が二つ並び、その上にはマイクが置いてある。それを使って学園長が説明を行うのだろう。

 ――事前に学園長から話す内容は聞いているが……果たして上手くいくのやら

 会場の雰囲気は重く、異様であることを天使は感じ取っていた。どれだけ話す内容を決めていても、質疑応答は避けられない。

 ――狙うは質問をする記者すらも買収して事前に用意した質疑を行って、時間切れ。だが……

 学園長が考えていることは現時点で出来る最適な方法だろう、と天使も思う。しかし、記者も全てが学園長が用意した者だけじゃない。また、他にも警察にユースティティア、と様々な人物が来ている。このような不特定多数の要素が集まる場所では全てが計算通りにいくとは限らない……天使はそう考えているのだ。
 そんな天使に、一人の女性が話しかけた。
「どうも」
「これは、これは、有栖さん。お久しぶりです」
 不特定要素がまた一人。彼の前には有栖が立っていた。
「腕の調子はいかがですか?」
「……もう少ししたら貴方を殴れるぐらいには回復しそうです」
「回復が順調なのは喜ばしいことです。今日は、貴女が来たんですね」
「えぇ、我孫子は別件で来れないので。別に問題はないですよね?」
「元々、我々に問題は何も無いですよ。問題があったのはそっちでしょう」
 天使の言葉に表情をしかめながら、有栖は一礼したあとに距離を取るよう彼から離れ、同僚である反保がいるところへと行ってしまった。
 時間が経つにつれて、次第に記者会見の席が埋まっていく。そして、記者会見の場に学園長が現れた。彼は大勢のメディアを前に一度、頭を下げる――すると、目映いフラッシュが点滅した。
「本日はお集まり頂き、ありがとうございます。この度は――」
 学園長が口を開き、記者会見が始まった。
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