有栖と奉日本『カクれんぼ』

第五章：もういいよ

反保_5-3

　反保は桜華学園から、有栖は梅華学園からユースティティアへ戻ってくると、情報交換を行うために、早速ミーティングを実施した。互いに得た情報を交換し合い、『真実』の輪郭を浮き彫りにしていく。
「なるほどね。時任の反応からするとビンゴかもね。梅華学園で聞いた噂は本当かも」
「あの、有栖先輩。時任さんにヒアリングを実施した後のことなんですが、その……生徒にですね……実は――」

　そこから、反保は静かに、ぽつぽつと咀嚼するように起きたことを話した。

「なるほど。噂は本当、というよりも『真実』だったわけだ。だから、楓ちゃんは……」
　有栖は手で頭を抱え、反保の話を受け止めて眉間にシワを寄せた。
「はい。これがイジメの『真実』で、日下部という生徒に起きた『悲劇』です」
「それで、反保。どうするの？」
「え？」
「生徒達の『それ』を止めるの？」
　有栖は真っ直ぐに反保を見つめて、彼もそれを感じて自身の気持ちを確認し、決心をして言葉にした。それがユースティティアとして相応しくなかったとしても。
「先輩。僕は――」