有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第五章:もういいよ

有栖_5-2

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 反保が桜華学園に調査へ行っている一方で、有栖は姉妹校である華梅学園に訪れていた。ここの学園長に相談し、協力してもらうことに同意をもらい、これまでに数日ほど聞き込みを行うことで、彼女も学園から桜花学園の情報を得ていた。
「……という感じかなぁ、時任さんに関しては」
「そうですか」
「あの若さで、あのスピード出世は異例だよ。まぁ、彼が優秀なのもあるけどさ……でも、あの百井って人の存在はデカいって」
「なるほど」
 有栖は桜花学園の時任と同年代の教員に絞って、彼に対する聞き込みを中心に行った。その中から時任の出世に対して嫉妬の感情を持っている者を見つけることは容易であり、そこから時任とその周囲の人間関係について探っていた。

 ――結果としては上々かな。

 相手に対して負の感情を抱いている者は、その者に対して足を引っ張れそうなら口が軽くなることがある。当然のことながら、情報の精査をする為に、複数人に対して多角的な視点で確認する必要があるのだが。

「ご協力ありがとうございました」
「いえいえ、また、何かあったら話しますよ」
 協力してくれた教員が出て行くと有栖はふう、と息を吐く。
「時任とその周囲の人間関係については解った。あとは反保の情報と照らし合わせれば――『真実』が見えてきそうね」
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