有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第五章:もういいよ

反保_5-2

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「時任さんの様子……明らかに変だったな」
 ヒアリング用に借りていた多目的室から出ると、飛田は反保に話しかけた。
 警察だから、ユースティティアだから、とそんな職種に関係なく相手の表情と態度が変わったのはあの場にいたら誰でも解っただろう。反保は小さく頷くと、腕を組んで考える。

 ――時任さんの反応。あの人の日下部に対する印象。有栖先輩が事前に教えてくれた情報。情報は揃い、繋がりつつある。

 反保は自身の中で情報を整理し、点を線にしていく。

 ――あとは、今回のイジメ。これだけ異質のようだけど、繋がっているという証拠があれば……

 自身の中で、その点と線を繋げることは出来るが、どうしても無理矢理だ、という感覚が拭いきれず違和感が消えない。
「……そこまでのリスクを? でも……」
「なぁ、何で時任さんにあの質問したんだ?」
「……メリット? いや、度外視で実は……」
「なぁ、無視すんなよ。なぁ、おい」
「あー、五月蝿い。邪魔しないで下さい」
 はっきりと、しっかり聞こえてくる飛田の問いは当然のことではあるが、今の反保には雑音でしかなかった。
「五月蝿いって、何だよ。あんな気になる状況作っておいて、放置するなよ」
「はいはい、あとで構ってあげますから。ちょっと黙ってて下さい」
「犬みたいな扱いすんなよ、ちょくじょーキノコ」
「変なあだ名をつけないで――あれ?」
 売り言葉に買い言葉から口論になろうとしたときだ。反保の視界に五人ほどの生徒がこちらに向かってくるのが見えた。
 男女混合の彼等は真っ直ぐに二人のところへ歩いてくると、通り過ぎることはなく、囲うように立ち止まった。
「何だ、これ? どういう状況?」
「さぁ? 五月蝿かったので苦情ですかね? というか、彼等は……」
「あぁ、日下部とイチさんの娘さんのクラスの生徒だ……何か用?」
 飛田が取り囲む生徒達に聞く、彼等は仲間同士で顔を合わせたあとに頷くと、
「晴太くん、反保さん……話したいことがあるんです」
 彼等は真剣な表情で真っ直ぐに二人を見つめて、そう言った。
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