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第四章:もういいかい??
反保_4-2
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「これはどう考えるべきかな……」
桜華学園からユースティティアへと戻る道中で、反保は自身に問いかけ呟いた。
頭の中に点在する情報が上手く整理できない。そして、確かな違和感と疑問が存在する。だが、答えは導けない。このまま思考の渦を作っても、それは混ざり溶けることなく塊のまま残るのが解っている為、呟きは自身の耳に届く声となって零れた。
生徒達へのヒアリング後、急遽、時任達を含む教師達へのヒアリングも行った。突然のことに、彼等は狼狽え、不安そうではあったが出てくる答えは――
「日下部は愛想がよかった」
「日下部は明るく可愛らしかった」
「日下部は誰にでもフレンドリーに接して、周囲を笑顔にしていた」
「日下部は編入生だが友達が多かった」
好印象のものが多く、これは二組に分かれて実施しても、双方で共通のものだった。
となれば、やはり疑問に思うのは、
日下部という生徒は何故、自殺したのか?
この疑問だ。
「そろそろ学園には問題はなく、学園外のことに要因がある、と結論を出す必要があるかもしれませんね」
虹河原は本日のまとめでそう言った。しかし、当人が納得していない表情を見せたのは生徒達のアンケートが引っ掛かっているからだろう。
悪ふざけや悪戯、と無理に結論づけることも出来なくはないが……
――でも、本当に彼等が悪戯でそのようなことをしたのだろうか。
今日、話した生徒達のことを思い、反保は問いかける。飛田のおかげで楽しく話したことに情が生まれたのかもしれない。それを彼は否定できないが、
――学生だから深く考えてはいない、と決めつけたくはないなぁ。
そんな思いもある。今日までの調査を思い返すほど安易に片付けたくはない、とも思った。
「あれ?」
反保は今日までの調査を振り返る中で、一つことに違和感を覚えた。
「『あの人』の発言だけ……」
ぽつり、と呟き立ち止まる。しかし、そこで独りで考えても答えが出ないことを悟ったのか、
「有栖先輩に相談してみよう」
その結論へとたどり着いた彼は、ユースティティアへと戻る足を早くした。
桜華学園からユースティティアへと戻る道中で、反保は自身に問いかけ呟いた。
頭の中に点在する情報が上手く整理できない。そして、確かな違和感と疑問が存在する。だが、答えは導けない。このまま思考の渦を作っても、それは混ざり溶けることなく塊のまま残るのが解っている為、呟きは自身の耳に届く声となって零れた。
生徒達へのヒアリング後、急遽、時任達を含む教師達へのヒアリングも行った。突然のことに、彼等は狼狽え、不安そうではあったが出てくる答えは――
「日下部は愛想がよかった」
「日下部は明るく可愛らしかった」
「日下部は誰にでもフレンドリーに接して、周囲を笑顔にしていた」
「日下部は編入生だが友達が多かった」
好印象のものが多く、これは二組に分かれて実施しても、双方で共通のものだった。
となれば、やはり疑問に思うのは、
日下部という生徒は何故、自殺したのか?
この疑問だ。
「そろそろ学園には問題はなく、学園外のことに要因がある、と結論を出す必要があるかもしれませんね」
虹河原は本日のまとめでそう言った。しかし、当人が納得していない表情を見せたのは生徒達のアンケートが引っ掛かっているからだろう。
悪ふざけや悪戯、と無理に結論づけることも出来なくはないが……
――でも、本当に彼等が悪戯でそのようなことをしたのだろうか。
今日、話した生徒達のことを思い、反保は問いかける。飛田のおかげで楽しく話したことに情が生まれたのかもしれない。それを彼は否定できないが、
――学生だから深く考えてはいない、と決めつけたくはないなぁ。
そんな思いもある。今日までの調査を思い返すほど安易に片付けたくはない、とも思った。
「あれ?」
反保は今日までの調査を振り返る中で、一つことに違和感を覚えた。
「『あの人』の発言だけ……」
ぽつり、と呟き立ち止まる。しかし、そこで独りで考えても答えが出ないことを悟ったのか、
「有栖先輩に相談してみよう」
その結論へとたどり着いた彼は、ユースティティアへと戻る足を早くした。
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