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第三章:まぁだだよ
飛田_3-2
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「では、早速ですが日下部という生徒について伺いたいのですが、宜しいですか?」
飛田が尋ねたのは、先程応接室に来た小暮、という四十過ぎのスポーツ刈りの男性教員だった。身体は細いが不健康そうな印象はなく、寧ろ、しなやかなで筋肉質に見える。おそらく、顧問でもあるが、今もテニスなどの運動を続けているのだろう。
彼は応接室のソファに座り、飛田と我孫子を前に少し考えるような仕草を見せた。
「葵ちゃん……ですか」
「葵ちゃん? 随分と親しかったんですね?」
「あぁ、明るくて元気の良い生徒でしたから。そのニックネームで生徒からも教員からも親しまれていましたよ。まぁ、教員は一部ですけど」
「テニス部の部員との交友関係も友好だった、ということですかね?」
「えぇ、もちろん。実力も素晴らしかったですよ。元々は海外の有名なスクールに通っていたので」
「海外からの転入生だったんですか?」
「はい。だから、というのも少し違うかもしれませんがフレンドリーな性格だったので部員とはすぐに仲良くなりましたね」
「実力もあったならレギュラーも奪ったんじゃないのか? だったら、奪われた側の生徒は恨んでるかもしれないだろ?」
話を聞いていた我孫子が口を挟む。嫌な言い方だが、生徒も人間だ。感情、というのを無視するわけにはいかない。
「完全に否定はできませんが、ただ有無を言わせないぐらいのトップレベルの実力でしたからね。全員が認めていた、と思いますよ」
飛田が尋ねたのは、先程応接室に来た小暮、という四十過ぎのスポーツ刈りの男性教員だった。身体は細いが不健康そうな印象はなく、寧ろ、しなやかなで筋肉質に見える。おそらく、顧問でもあるが、今もテニスなどの運動を続けているのだろう。
彼は応接室のソファに座り、飛田と我孫子を前に少し考えるような仕草を見せた。
「葵ちゃん……ですか」
「葵ちゃん? 随分と親しかったんですね?」
「あぁ、明るくて元気の良い生徒でしたから。そのニックネームで生徒からも教員からも親しまれていましたよ。まぁ、教員は一部ですけど」
「テニス部の部員との交友関係も友好だった、ということですかね?」
「えぇ、もちろん。実力も素晴らしかったですよ。元々は海外の有名なスクールに通っていたので」
「海外からの転入生だったんですか?」
「はい。だから、というのも少し違うかもしれませんがフレンドリーな性格だったので部員とはすぐに仲良くなりましたね」
「実力もあったならレギュラーも奪ったんじゃないのか? だったら、奪われた側の生徒は恨んでるかもしれないだろ?」
話を聞いていた我孫子が口を挟む。嫌な言い方だが、生徒も人間だ。感情、というのを無視するわけにはいかない。
「完全に否定はできませんが、ただ有無を言わせないぐらいのトップレベルの実力でしたからね。全員が認めていた、と思いますよ」
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