有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第三章:まぁだだよ

反保_3-2

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 反保を含む四人は一度、応接室に集まったあとそこに常設している内線を利用してカウンセリングルームへとコールした。
「カウンセラーも職員会議に出ているんじゃないか」
 という我孫子の言葉に反して数回のコール音のあとで百井が出てくれた。そのことを受話器を持っていない手と視線で合図し、電話の向こうの相手と話す。
 どうやら百井は職員会議に出席していたらしいが、彼女に関わる内容の議題が話し終えると先に退出させてもらえたらしい。とりあえず、十分後に訪ねることを了承してもらった。


「どうぞ、狭いですけど」
 百井に勧められて中に入った四人だが、彼女の言う通りカウンセリングルームは大人が五人入るには狭く、ソファには虹河原と我孫子が座り、反保と飛田は傍に立つことになった。
「それで、どのようなご用件でしょうか?」
「日下部という生徒についてお聞きしたいのですが……」
「えっ!」
 その名前を聞いたとき、百井は明らかに驚き、動揺した反応を見せた。警察だから、ユースティティアだから気づいた、という以前に彼女の反応が解りやす過ぎた。
「何故、その生徒について?」
「学園内での生徒に関するイジメや教員の指導方法について調べているのですから、過去の事件や出来事も調べますよ。直近ではその生徒の出来事に行き着くのは当然では?」
「そ、そうですよね」
 虹河原が百井の問いに手早く、完結に、論理的に答える。彼の視線は相手がどこを見ていようが真っ直ぐで、逸らさない。端から見ていると尋問に見えるのが可哀想だと、反保は思う。会話については虹河原に任せる方がスムーズだと判断し、他の三人は黙っていた。
「日下部という生徒は自殺したんですよね? その理由は?」
「解らないんです。急な出来事だったので――ただ、編入生だったのが理由なのかと」
「編入生……ここは小中高一貫ですよね。編入生は珍しいのでは?」
「そうですね」
「そこから馴染めなくてイジメに繋がった、ということですか?」
「学園側からも編入生なので、学園生活や友人関係について相談に乗るように、との指示はありました。実際、何度か相談には乗っていました。可愛らしくて愛嬌もある生徒だったので心配はあんまりしてなかったのですが――今、思えばですが、少し馴染めてなかったのかもしれません」
 そう語る百井の口調は少し重そうだった。
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