有栖と奉日本『カクれんぼ』

ぴえ

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第二章:もういいかい?

有栖_2-3

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「お疲れ様」
「はい、疲れました」
 桜華学園からユースティティアに戻った反保を有栖は特務課の部屋で待っていた。
「じゃあ、今日の情報を共有しようか」
「はい」
 一色から、有栖が外回りで得た情報と反保が桜華学園で得た情報については共有するように指示されていた。
 二人は本日得た情報を共有した。


「イジメ、という点に着目すると、その日下部って生徒の自殺が気になる」
 反保の話を聞き終えた有栖は率直な考えを口にした。
「スクールカウンセラーに届いた情報ではないんですか?」
「それも気になるけどね。でも、それもその自殺と繋がっているかもしれない、と考えられるし」
「確かに。スクールカウンセラーに届いた情報はまだ不確定ですが、自殺は既に現実で起きたことですからね」
「学校側の見解は?」
「学園長からは『人生に悲観して自殺した』と。イジメとかは関係ない、という態度でしたね」
「苦しい言い訳に聞こえる」
「ですね。えっと、有栖先輩はどうでしたか?」
 反保の問いに有栖は少し苦い表情を浮かべた。
「イマイチ。でも、目星をつけている場所があるから行くつもり。そういや、裏金については?」
「今日は全く情報を得られませんでしたね。ですが、もう一つのペア……警察側が学園のデータベースを確認したので、こちらも見せてもらうつもりです」
 警察側、という表現になったのは我孫子は調べていないだろうと判断した上でのことだった。
「言い分は素行調査にしといて」
「了解です」
 そこまで会話を交わすと、沈黙が挟まった。
「我孫子から――何か聞いた?」
 有栖は自身の中では、本日の情報よりも気になっていたことを反保に聞いた。いや、彼女からすれば聞くのが怖くて、遠回しに逃げているようなものだ。今の聞き方も含めて。
「いいえ」
「聞いたりしないの?」
 有栖が学園の捜査に参加できないのは我孫子とトラブルがあったことを反保も知っている。一般的には興味があったり、疑問があったりするものだろう。
「聞いて欲しいんですか?」
「いや、そんなことは……」
「じゃあ、僕にとってはどうでもいいことです。今の仕事とは関係ないことですし」
 反保はさらり、と答えた。そして、続ける。
「それに『誰か』から聞いた確証のない一方的な情報より、本人が話す、その言葉に耳を傾けますよ。どこかの先輩は、僕にそうしてくれましたから……僕もそうします」
 反保はそう言うと照れくさそうに、有栖から視線を外した。
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